高血圧マフィアとは?

白石光彦

白石光彦

テーマ:薬屋のひとり言

病気と健康の違いってなんだろう?

もちろん何らかの症状が出てたら病気だってすぐに分かるんだけど

症状もないのに病気と言われることもある。


たとえば高血圧。

「高血圧治療ガイドライン2019」によると

治療の目標は75歳未満は130/80、75歳以上は140/90となっている。

したがってそれを越えてくると
何も症状がなくても治療対象になったりするわけである。


だけど問題はその基準値だ。

昭和の時代には「年齢+90」であった。

つまり60歳なら150以上、80歳なら170以上が高血圧と診断されたわけだ。

それが平成の30年の間に大きく変わってしまった。

さらに先日の日本高血圧学会の発表によると

75歳以上の治療目標を10引き下げ75歳未満と同様130/80するという。


人間の体って短期間にそんなに変わるものじゃないのに

基準値ってそんなに変えていいものなのだろうか?


しかも気になるのが今回の改訂だ。

75歳以上の治療目標を10引き下げるということだが

そもそも高齢になると血圧は上がるもの。

年齢とともに血管の弾力性が落ちて来るので血液の流れは悪くなる。

とくに心臓より上にある脳に血液を送るためには血圧を上げる必要があり
そのために自律神経が頑張っているんだ。

つまり血圧は必要だから上がっているのである。

それを75歳未満と同じ130/80にする必要があるのか?

しかも高齢になるとふらつきや転倒、認知症のリスクも上がって来る。

いったいこれほど基準値を下げるのは何のためなんだろうか?


ここで外国の例を見てみよう。

たとえばアメリカ。

アメリカでは高血圧の基準はWHOと政府の合同委員会JNCによって決められている。

1992年までは科学的データに基づいた正常な診断基準で何ら問題はなかった。

というのも昔は高血圧は大して注目されていなかった。

なぜなら平均寿命が低かったから。

絶対数が少なかったのだ。

ところが寿命が延びて60歳以上の高齢者が増えるにつれて
血圧の高い人が増えて来た。

しかし年齢が上がるにつれて血圧が高くなるのは当たり前。

だから積極的な治療はされず
明らかな原因疾患があればそれを治療するというのが通常のやり方だった。


ところが1993年のJNCと1999年のWHOが改定したガイドラインでは
基準値を大きく下げて世界中から厳しい批判を受けるということが起こった。

基準値を下げると当然高血圧の患者が増える。

当時は製薬企業が多くの降圧剤を開発し、
ガイドラインに力を持つ臨床学会や医師に利益供与することで
薬を売るために市場をつくるというビジネスモデルがなされていたのだ。

このような集団は『高血圧マフィア』と呼ばれていたそうな。


しかしこんな横暴がいつまでも続くわけがない。

アメリカでは医療を改革しようという機運の高まりとともに
有名な内部告発などもあり

医療保険改革法の中に『サンシャイン条項』が盛り込まれた。

これは製薬企業が医師に対して何らかの利益供与を行った場合
千円単位まできちんと報告せねばならないというものだ。

違反すれば莫大が罰金が科せられる。

そして2014年、JNCのガイドラインで
60歳以上の基準値が収縮期血圧150とされた。

「年齢+90」という昔の基準に戻ったのだ。


いかがですか?

これがアメリカの高血圧基準の歴史です。

お医者さんに言われるがままに薬を飲むのが怖くなるよね。

なお、この話は大櫛洋一先生の『高血圧のウソに気づきなさい』を参考にさせてもらいました。

もっと詳しく知りたい人はぜひ本を読んでね。


そういうわけで高血圧の闇は深い。

日本の場合問題なのは高血圧の基準値を決めるのが
「日本高血圧学会」という民間の団体という点である。

アメリカなら政府が責任を持って発表しているわけで
前述のような自浄作用もあるが

日本の場合ははっきり言って野放しである。

さらに恐ろしいことには基準値の根拠である臨床データすら怪しいもんだ。

有名なディオバン事件やブロプレス事件。

それに伴う利益供与。

現在日本の降圧剤の市場は1兆円規模だ。

今回の改定はさらにそれを広げようとする意図が見えている。

さらには日本高血圧学会は日本の高血圧患者は4300万人という。

いったい成人の半分近くが高血圧なんて国どこにあるのだろうか?


日本は国民皆保険である。

それ自体は大変ありがたいことではあるが
結局その財源は我々が出している税金であることを忘れてはならない。

医療は専門的な分野であるがために今まで見えにくいことがあったのも事実だ。

しかし今やネット社会である。

情報はいくらでも入るしたとえ素人でも疑問に思うことも多いだろう。

我々はもっと声を出すべきではなかろうか?


大櫛洋一先生は言う。

医療改革のために必要なことは
国民が「医療消費者」としての意識を持ち
もっと勉強して発言することだと。

まさにその通りでここまで医療マフィアをはびこらせて来たのは
医師の言うがままにすべてを任せて来た我々の側にも責任があるのではないか?

自分の体は自分で守る。

そのために必要な知識を得るべく勉強をする。

さらには発現する。

我々にも努力が必要なのである。


今回の参議院選挙でも自公は過半数割れという結果となった。

日本もようやく変革の時期を迎えているのかも知れない。

私ももっと声を上げていこうと思っている。




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白石光彦(漢方薬剤師)

光る堂薬店(株式会社 光る堂)

大阪の心斎橋、難波神社前で「光る堂薬店」を営む漢方薬剤師。ダイエットや健康相談、漢方スクールやセミナー講師も務める。腸の大切さを訴え、酵素断食約1万人指導。書籍も評判。

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