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(1)腸内フローラとは?
私たちの腸の中には1000種、1000兆個もの細菌が住んでいる。
いわゆる腸内細菌だ。
最近ではその姿がお花畑に見えるとのことから腸内フローラよ呼ばれ
マスメディアでも知られるところとなった。
ところが細菌が住んでいるのは腸だけではなかった。
私たちの体の口や鼻や耳や皮膚にまでも常在菌はいる。
これらをマイクロバイオータと呼ぶ。
そしてそれらが私たちに与えている影響が注目されている。
もっと言えばそれらの細菌と私たちの肉体がいっしょになって
ヒトという一つの生命体だと考えられるようになってきた。
これはどういうことだろうか?
1991年に国際協力による「ヒトゲノム計画」がスタートし、
2003年にはその完成版が発表された。
その結果を知った学者たちは愕然としたという。
ヒトの遺伝子はわずか2万数千個であった。
これはみなさんの大好物であろうウニとぼぼ同じ、
また熱帯魚のエサとして知られているミジンコの31000個よりも少ないのである。
ミジンコよりも少ない。
そんな遺伝子の数でどうやってヒトのような複雑な生物がやっていけるのか?
その答えはマイクロバイオータにあった。
マイクロバイオータの中でも一番数の多い、
腸内細菌の研究が進んでいるが
ヒトの腸内細菌がもつ遺伝子数は2000万個もあるという。
桁違いである。
おそらくヒトはその進化の過程で複雑なシステムをそぎ落とし、
その働きを腸内細菌に任せたのだろう。
最近では免疫が人に有益な働きをする細菌を選んで
住まわせていることまで分かってきた。
ようするにヒトは自分の仕事の一部を細菌たちに
アウトソーシングしていたのである。
(2)内なる生態系
したがって我々は生きていく上で
常在菌であるマイクロバイオータの存在を欠かすことは出来ないのである。
またそうしたマイクロバイオータが
ヒトとともに行う生命活動の総称をマイクロバイオームと呼ぶ。
つまりマイクロバイオームとはヒトと常在菌がいっしょになった生命体のことである。
内なる生態系といった方がイメージが湧きやすいか?
ところが、このように我々が生きていく上で
前提条件とも言える内なる生態系を崩すものが現れた。
それが抗生物質である。
抗生物質は確かに数々の病原菌を駆逐し、多くの生命を救ってきた。
それは紛れもない事実である。
だが同時にその強烈な殺菌力で我々の内なる生態系を傷つけてきたのである。
その結果が生活習慣病あるいは現代病と呼ばれるものとして
我々を苦しめる大きな原因となっているのである。
(つづく)
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