ゴルフルールで、カラー(グリーン・エッジ)はグリーンの中?それとも外?
南アの名門「モウブレイ・ゴルフクラブ」
モウブレイ・ゴルフクラブ(Mowbray Golf Clubは、南アフリカの世界都市ケープタウンにあります。
開場は1910年。一世紀近い年月を経た南アの草分けゴルフ場の一つ。南アフリカ・オープンの開催も7回を数え、南アフリカでトップ5に入る名門ゴルフ倶楽部と言われています。日本人の会員も多いのが特徴です。
ケープタウン空港から15分という至便な場所で、テーブルマウンテンの東側にあり、コースの真ん中には鉄道が走っているという珍しいクラブです。
ケープタウンにあるゴルフコースは、テ-ブルマウンテンから吹き降ろす秒速40mを超す名物の強風によって、コース内の木々は真っ直ぐには育たず、斜めに生長しています。
この名物の風が吹くとプレーはいっそう難しくなります。ロングアイアンで打ったボールが、プレーヤーの後方にまで戻ってきてしまうこともよくあるそうです。日本にはない環境なので、挑戦しがいがあるかも。
OB杭があるから、のびのび打てない!
このモウブレイ・ゴルフクラブは、英国ゴルフの影響を受けたクラブ思想があります。すべての会員が一同に会して意見を述べ合い、運営の一切を決めていく。経営者のさじ加減ひとつで動かされる日本のゴルフ倶楽部とは全く異なる点です。
現在、モウブレイ・ゴルフクラブの周囲は高級住宅街やハイウェイで囲まれています。
これは、都市整備の開発が進む前の話です。
会員総会の席上で一人の会員が発言をしました。
「よそと比べて、うちのコースにはOBの白杭が多すぎるように思うが、どうだろうか?気にして見ると、実に24か所もOB区域があって、260本もの白杭が墓標のように立ち並んでいる。おかげでわれわれは委縮を強いられ、のびのびとボールを打つこともできない。」
ここで「その通り!」という声が上がりました。
「ゴルファーは常にOB区域を意識し、おびえながらプレーしているものだ。少し白杭の数を減らして、もっと我々を楽にしてもらえないだろうか」
この発言に対して、多くの拍手が沸き起こりました。
この問題は万国共通なんですね。
例えば、ティーに立って、ショットの目標を定めるときに、右サイドに白杭のラインが丸見えになっていると「右サイドに打ってはダメ」と逆に意識をしてしまい、右にボールが飛んでしまうということがよくありますよね。
有馬カンツリー倶楽部のキャディーには、同じ場合、「右を意識させないように『左が広いです』と言うようにしよう」と話をしています。
OBを全て撤去
すぐに理事会が招集され、翌月には次のような貼り紙が掲示されました。
「暫定的に、コース内のすべてのOB杭を撤去し、スルーザグリーンとする」
この告示に際し、一人の理事がつぶやきました。
「この処置から、彼らはまたひとつゴルフを学ぶだろう」
OBがないと知ったゴルファーたちは目の色を変えて、思いっきりボールを叩き始めました。
解禁日は、折りしもクラブ選手権の予選も始まり、出場する選手までが、飛距離を競うようにブンブン振り回しました。
「視界の中から、忌々しい白杭が消えたぞ!」
「これでようやく、自分の飛距離の限界に挑戦することができる。思い切り攻めて、ベストスコアを目指そう!」
選手権で、ある選手が6番パー5ホール、セカンド地点でツーオンを狙おうとしました。左ドッグレッグでグリーンの手前両サイドは狭く、その外側は昨日までOBでした。
「どうせ、失敗してもOBじゃない!ちょっとしたリカバリーでスリーオンできる」
彼はスプーンを持って、目一杯のスイングをしました。
ボールは高く上がり、途中からフックしはじめると、グリーンの手前左斜面に消えていきました。
昨日までは“OB”、今日からは“ジャングル・ゴルフ”
「あっ・・・」
ボールが入ったと思われるあたりの景色を上から見たとき、彼は声が詰まりました。
そこは「フィンボス」と呼ばれる自然の細い灌木が植生する地域。細い針状の硬い葉の常緑樹生い茂っているところ。斜面の下はまさにジャングルそのもの。
現在では、「フィンボス」の珍しい植生は「ケープ植物区保護地域群」の名で、2004年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されています。
そんな中にボールが入ってしまいました。
彼は斜面を駆け下り、硬葉植物をかきわけ、アカシア科のトゲのある木をよけながらボールを探すこと数分、キャディーが叫びました。
「毒ヘビがいるーッ!」
噛まれたら10分で死ぬと言われる毒ヘビが出現。茂みの奥からは猿の悲鳴と、何やら低く唸る野獣の気配も伝わってくる・・・
そしてキャディーが見つけました。
「ボールがあったー!」
キャディーの示す場所に行くと、木の根元にボールが落ちていました。
アンプレヤブルの宣言をしようにも、あたり一面がジャングル、ドロップをする場所もありません。
それからの彼の悪戦苦闘ぶりは涙なくしては語れないものでした。
茂みから力一杯に打ちだしたボールは木に当たり、左右を往復したかと思うと隠花植物帯の中にすっぽりと沈み、やっとの思いでグリーンにたどりついたときの姿は、さながら探検隊の生き残りといった有様。
丸一日を費やしたかと思うほど長く過酷な6番ホールがようやく終わって、彼はうつろな声でスコアを告げました。
「21打・・・」
これはほんの一例、他にも大勢の受難者が出ました。
怪我をして救急車の世話になる者、茂みの奥でハチの大群に襲われた者、OB解禁のその日、モウブレイ・ゴルフクラブは騒然たる雰囲気に包まれました。
そして翌日も、そのまた翌日も、怪我人とダブルスコアに泣く者があとを絶ちませんでした。
解禁から5日目になると、OB杭を元通りにして欲しいという陳情が殺到しました。
OBは、ゴルフルールで最大の救済処置
解禁1か月目にして、260本の白杭は全て元の場所に戻されました。
理事は言います。
「世の中にはOBをペナルティーと誤解している人の、なんと多いことか。そこで私たち理事会は、ゴルファーにとって白杭がいかにありがたい救済処置であるかを黙って教えることにしたのです。
効果はてきめん、今ではたった1打加算するだけで、あの悲惨な現場行きが免除されると、誰もが大喜びするようになりました。OBはルール上でも最大の救済処置なのです。」
日本も山や森の中に多くのゴルフ場があります。
「あのOBがなかったら・・・」という嘆きの声がよく聞かれます。
そんなときには、
「OBがいらないなら、そのまま森の奥や崖の下に行って、あるがままの状態でプレーできたほうがよかった?」と聞いてみてはいかがでしょうか?
■参考文献
「ゴルファーを笑え!」夏坂健著:新潮文庫
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