愛情のケチ
今日のコラムのタイトルはやや、抽象的ですので、説明をしていきます。
私共に相談をして下さる相談者に最も多い「質問」です。
「どうしていいか分かりません」
「どうしたらいいのでしょうか」
こうした質問をされる相談者の殆どが、実は既に自分の中に答えを持っています。
ですので、全くもって「どうしていいか、分からない」のではなく
「〇〇したいが、どうでしょうか?」という事の質問の仕方の方が、問い方としては適切かもしれません。
つまり、相談者には 既に望む答えというのがあって、その答えが実現不可能と感じた時に相談をされる方が多いという事です
どういうことかと言うと、全く見知らぬ土地に行くのに、そのたどり着く先を教えて欲しいという事ではなく、既に行きたい所は決まっていて、何なら、そこまで自分の勘を頼りに行った結果、結局そこではなかったという事で、その土地で迷子になっているという事です。
もっと分かりやすく言うと、熱海に旅行に行きたくて、予約をせずに行ったところ、旅館で予約一杯と断られてしまったような物です。
だから、どうしたら、その旅館に泊まれるようになるでしょうか?という風に 私に問われているいるのです。
つまり 旅行先も宿泊先も全く分からないから、「どこに行ってどこに泊まればいいか」という事ではないのです。
要は、熱海の部屋に露天風呂のある高級旅館に泊まりたいけれど、いきなり行ったら断られてしまったというような事です。
これを私共への相談に例えていうと、「今度の連休に旅行に行きたいけれど、どこか良い所はないですか?」と問われているのではなく、相談者は、熱海の○○という部屋風呂のある老舗旅館に泊まりたいという事が希望です。
そしてそこに旅行に行ったものの、旅館で断られてしまったという事と、同じで相談者は、行きたい所というゴールは既に決まっているのに、そこに泊まれないという事が「悩み」であって、そこにどうしたら泊まれるか、が質問の内容なのです。だから、どこにゴールしたいか、海外なのか、国内なのか、ではなく、旅館から断られない予約の仕方を相談者は「どうしたらいいか、分からない」という問い方をされるのです。
これは、実際に旅行の話であれば、「JTB」とか「じゃらん」とか「ホテルドットコム」のような予約受付システムを使えばいいだけの事です。
しかし、相談者は、予約のシステムはとっくにしっているはずなのです。
それでも、問うという事は、予約をしたけれど、その日は既に旅館が満室だと断られたようなもので、相談者の本当に聞きたい事は、「満室は分かっているけど、どうしてもその旅館に、その日泊まりたいのでどうしたらいいか、何か方法はないですか?」と問われているのと一緒なのです。
実は、目的やゴールは明確になっているが、それが叶わないと知った事が何かあったのだと思います。
と、言う事は、そのゴールが見えなくなっているとか、迷子になっているという事ではなく、ゴールに足を踏み入れたものの却下された経験があるという事なのです。
と、言う事でゴールが明確だという事は良い事なのです。
しかし、そのゴールに行く手段を間違ったという事に過ぎません。
それが旅行に例えると、ちゃんと予約代理人を通して、ある程度の日数の余裕を持って予約すればいいだけです。
でも、その日程については、譲歩や再検討が必要ですね。
と、言う所までは、前置きで、ここからが本題です。
これまでは旅行を例えて書きましたが、実は この旅行を相談者の「夫」という言葉に置き換えて欲しいのです、
相談者は、当方に相談されるときは「どうして良いか分からない」という問い方をされると書きましたが、全く手つかずというのではなく、相談の前に 夫に対峙しているという前提があります。
その結果、上手く相談者の望みが叶わなかったという事が殆どです。妻の望みは決まっていて、その望みどうりの事を要は夫が応えてくれなかったという方が正解かもしれません。
つまり夫が妻の気持ちを分かってくれないという前に、もっと基本的な問題があります。
妻、要するに相談者の望みは、決定事項なのですが、それを夫に伝えると、それを聞き入れてくれるという期待があります。
でも現実はそのように叶う事ばかりじゃなく、夫からの反応は冷たいものであったり、却下されたりすることも多々あります。
そこに失望されて、当方に相談される方が少なくありません。
もちろん、ご自身で一度、夫に向き合い、夫の反応を知るという事は大事です。
でも、そこには、夫との話し合いがあり、話し合いをする以上、相手の思いも受け入れてみるという事が大事です。
でも、夫から返ってきた答えが、妻の意に沿わないものであったり、中には夫から、無視に近いような反応をされて困った結果、どうしていいか分からないという事なら、何故希望が叶わなかったのか、を検証する必要があります。
それを妻の希望が、かっちり決まり過ぎている場合は、夫も一歩も譲らない姿勢であれば、話し合いは物別れに終わります。
だから、そこには、譲歩や交渉を継続する必要があるのですが、だいたい「どうしていいか分からない」という場合は、妻の希望を夫に伝えたけれど、理解して貰えなかったという事の失望です。
「どうしていいか分からない」というのは 相談者が自分の希望を押し通すにはどうすればいいか?という事の他なりません。
押し通すという表現は、妻へのダメ出しという意味ではありません。
でも、夫にも考えや望みはあるので、それを夫が口に出して抵抗する場合もあれば、心を隠して抵抗だけをしている場合もあります。
こうした夫の抵抗の意味が読めなければ、妻の希望が通らない理由も分からないのです。
夫の抵抗の中に、答えがあります。
夫はどういう理由で、妻の要求をうけいれられないのかを分析しましょう。
それを相談者が自分の要求を受け入れられなかったという事ばかりに頭を抱えるので、自分の嘆きばかりが悩みだと考えてしまうのです。
結論から言うと、相談者の希望はもう決まっているのです。
そして相談者の悩みは その期待どうりの答えを夫が言ってくれなかったという事が悩みになって、本来の悩みが形を変えてしまっている事にあります。
妻の希望が固定され過ぎている。
そして同時に夫の希望も固定されている。
その為、夫は妻からの要求を跳ねのけるか、無視するか、しかなくなっているという事が実は問題になっているのです
これでは、幾ら話し合っても、夫婦の溝は埋まりません
そこで、少し角度を変えて考えてみないといけません。
当方ではたった一度の相談で、全てが解決するとは言いません。
でも、夫との交渉方法が間違っている事で、物別れになっているのが問題だとしたら、少しだけ妻のゴールの位置をずらしてみると、夫も交渉のテーブルに着いてくれる事はあるのです。
それなのに、妻の期待は、「夫はこんな風に答えてくれるべき」と、夫から返ってくる答えにさえ、妻の希望のテンプレートを当てはめています。
妻は、「夫はこうあるべき」「妻にこうして応えてくれるべき」「妻の希望は○○と知っているはず」という期待で夫に向き合うと、それが受け入れられない時の妻の失望は倍ほどきつくなります。
と、言う事は、妻の希望がもしかしたら夫からは、受け容れられない事かもしれませんし、もしかしたら要求が受け入れられて当然と妻が考えている場合、その妻の横柄さに、夫も対抗しているのかもしれません。
当方の相談事は夫の不貞や不倫というカテゴリーです。
しかし、中には、それが、もう終わった事で過去の事になっている場合もあります。
もちろん、妻の苦しみは終わったからと言って、全てが消える訳ではありません。
むしろ終わった後の方が、じわじわと妻を苦しめる事もあります。
でも夫からしたら、妻がそんな気持ちを伝えたところで「終わった事をいつまで言っているんだ」とばかりに相手にしてくれず、突き放される事も多々あります。
でも、それは本当の意味で、望みが全て却下されたかもしれませんが、その望みは「夫が分かってくれるはず」という期待値が高すぎるが故に、失望感も強くなります。
と、言う事で、妻の固定観念から来る決めつけの分量を少し減らすか、方向転換してほしいのです。
そうすれば、うんと気持ちは軽くなります。
妻が望む事を、夫が100%聞き入れてくれるのは理想の形ですが、そんなに意思の疎通ができている夫婦なら、そもそも、浮気や不倫事件は起きません。
でも、そんな事件が起きてしまったからこそ、夫への要求や締め付けが倍増してしまうという気持ちは分ります。
しかし、元々がずれていたので、そういう問題が起きたとしたら、締め付けのルールが厳しくなってしまうと、それがアダとなって夫婦の距離が益々開く事になります。
強い意志、強い希望、強い決めつけ
これは時として、自分の首を絞める事にもなります。
ちょっと緩めが、丁度いいくらいという事もありますので、あまり最初から、高い山は目指さないでください。
では、今日はここまで。