「オモハラ」という言葉を知っていますか?
今日のテーマは、「ん?私の夫の事?」と思われるかもしれませんが、いいえ違います。
勝ろうとしているのは貴女ではないですか?という事を、胸に手を当てて自分に問うてほしいのです。
ここ2年くらい、とてもこういうタイプが多いので、私自身少しカウンセリングを休んでいました。
カウンセラーとしては、良くない事なのですが、とても疲れていました。
相談者には、この部分を気づいてほしくて、一生懸命に説明するのですが、自分の夫に勝ろうとしている妻は、本当の事を言って、人に注意されたくない人なのです。
これまで、夫との色んな問題に悩んできた妻だからこそ、私の所に来て、何か慰められたり、共感してくれたり、と、妻側の味方に立って、問題解決をしてほしいのは分かります。
だから、まずは妻の苦労を理解して、妻の苦労が報われる答えを言って欲しくて、当方の門を叩かれたのだと思います。
もちろん、それは分かった上です。
妻の貴女は、夫の何らかのモラハラや横暴に長年、耐えぬいて来たのだと思います。
その結果、残念ながら その苦労が報われず、貴女の苦労もナニの役にも立たなかったのです。
夫が間違っている
夫が間違っている
夫が間違っている
心の中で、何度、そんな呪文を唱えても、何も変わらなかったはずです。
私はこのコラムで、何度も書いてきました。
そうです・・・・・貴女のご主人が一番悪い。
家庭がありながら、妻と言う貴女が居ながら、他の女性と浮気をしたのです。
だから、貴女の夫は悪い人です。
そんな事は私が言わなくても、貴女が何年も思い続けてきた事です。
でも、何も変わらなかったのでしょ?
その上、貴女はそんな「悪い夫」と、この後も一緒に暮らすにはどうしたらいいのか?と思っているから、当方に連絡してきたのでしょ?
だったら、貴女の言葉に同調して、私が貴女の味方をして、仲間を増やした所で、何も変わらないのです。
いや、ちょっと待てよ、考えたら貴女には、子供たちという味方がいたはずです。
子供たちは小さなころは、みんな母親の味方で、母親が大好きです。
でも、気が付けば、その子供たちだって、成長して大人になり、恋愛をしたりすれば、親の気持ちというより、男とは、女とはが分かって来て、今は親の不仲を静観している立ち位置にいませんか?
でも、いざとなると母親の気持ちは聞いてくれて慰めてはくれるとは思いますが、何となく孤独感に襲われていませんか?
それはね、ある意味子供が成長したと言う事ですが、大人になって、母親の事も手放しで肩を持てなくなってしまった結果です。
貴女はこれまで自分が正しいと思って来たのに、気が付けば、本当の味方はいなくなって裸の王様状態になっているのではないでしょうか?
例えば、貴女が森の中を行き、道に迷っても、まだ真っ直ぐに突き進みますか?
中々ゴールにたどり着けなかったら、一度、その道で良いのか?と考え直しませんか?
それとも、自分の決めた道は正しいと、そのまま正しいと思う道を行きますか?
私はね、貴女の思う事が正しいと思います。
でも、正しい事を正しいと訴えても、通じない人もあるのです。
それが貴女の夫です。
ご主人にもご主人なりの正義があるのです。
ご主人を問い詰めたところで、シラを切るだけです。
それでも、問い詰めたら、もうシラきれなくなれば、開き直るしかなくなるのです。
つまり、どちらが正しいか、なんて論点ではなく、何なら人間は間違った事もするのです。
ご主人は間違った事をしている自覚はあるのです。
貴女が正論を振りかざせば振りかざすほど「間違っている人間」は逃げていくのです。
では、どうすればよかったのか?
私は全夫婦が壊れて行った理由は分かりません。
まして、その理由を聞いたところで、妻自身も分かってない事もあります。
そんな中、結果的に、貴女の夫は、他の女性に心を移した・・・・それだけが事実です。
そこに、貴女は理詰めで、夫の間違ったところを責め続け、貴女は自分の正しさを唱えた。
何度も言います。
貴方たち夫婦が壊れていった事情は分かりません。
夫婦が多くいれば、その数の分だけ、色んな事情はあるでしょう。
でも、そんな色んな事情や入り口はそれぞれであっても、結果は夫の浮気という共通ゴールに陥ります。
そういう訳で 私は そのゴール時点から、関わるのです。
だから、その間違ったゴールを何とかしないといけないという段階からの、私との出会いです。
でも、貴女は夫婦が壊れて行く前の段階に戻し、夫婦が何も問題なかった頃に戻りたいと言われるのです。
正直言って、貴方たち夫婦は、色んな問題があっても、それを解決せず、結局夫婦は話し合う事なく、そのままで来たのです。
そうです、小競り合いの責め合いはしてきても、本当の話し合いなどはしてこなかったのです。
それなのに、この期に及んで、話し合いという手段で、問題解決をしようと話し合いました。
でも、それは本当の話し合いではなく、プチ戦争だったのです。
戦争…いやな言葉です。
出来れば使いたくない言葉ですが、どちらかが、勝とうとするのは戦いなのです。
では、何がプチ戦争なのでしょうか?
過去の事情は分かりませんが、夫婦仲が壊れていったことの立て直しに、勝とうとする力技になるのは、何なのでしょう?
貴女の苦しんだ日々は、良く分かります。
でも貴女が解決したい問題の解決方法が、何故、夫を負かす事なのでしょうか?
それは貴女のプライドだと思います。
これまで、苦労をしてきて、間違った事はしてきてないのに、夫が無理解なのです。
それだけではなく、妻の言葉に耳を傾けるどころか、妻から離れて行くという理不尽さ。
ここに正論を唱えるしかなかった貴女は、それしか手法はなかったのです。
それが貴女の根本的な性格です。
相手に勝ろうとすることで、自分を保つ性格です。
実はこんな風に他人事のように言ってますが 私がそういう性格でした。
正しい事は通る、と考えてました。
でもね、人生長く暮らしていたら、正しい事が通らない事もいっぱいあると気づくのです。
相手の勝ろうとするだけでは、結局人は離れていくのです。
それが分かったから、私は、少し角度を変えてみようと提案します。
ここで、改めて告げますが、正しさだけで勝てるなら、裁判すればいいのです。
裁判とは、どちらが正しいかをジャッジする場所ですから、裁判をしたらいいのです。
だから、裁判は、戦う場所なのです。
貴女は日頃から、家の中で裁判をしているのです。
原告と被告という戦う間柄ではありますが、持ち前の気の強さから、貴女は裁判官になってしまっているのです。
戦いは勝か負けるかの戦さです。
裁判は、勝訴か敗訴しか答えはありません。
貴女はこれまで、正しさを主張しながら、自分が勝とうとばかりしてきました。
夫を打ち負かしたいという裁判のような家庭の状態だったのに、貴女の希望は、夫婦が仲よく暮らす事というから、話がややこしい。
裁判なら、自分を訴えた相手と、その後、仲良くしたいとは思っていません。
つまり、貴女は夫を打ち負かす方法しかとって来なかったのに、勝った暁には、夫と仲よくしたいと矛盾した事を言っているのです。
浮気をされて傷ついた貴女の気持ちは分かります。
自分を苦しめた夫を負かしてやりたいと思うでしょう。
でも、ご主人には、今、心の中で思う人がいるのです。
夫に嫌な家庭内裁判を繰り広げる貴女の鬼の形相を見ながら、きっとご主人は、浮気相手に会いたくなっているのでしょう。
私が言いたいことは、正しい事を主張するだけでは能がないと言う事です。
本当に正しい事は、夫婦が、お互い修復しようと、向き合った時に言えばいい。
本当にご主人が、貴女の言葉に耳を傾けるのは最後の最後なのです。
それなのに、今の段階で夫に対して妻の正しさを唱えるならば、それは決裂しかないのです。
悔しくっても、悲しくっても、憎くっても、正論を言うだけでは馬の耳に念仏です。
時には、妻の自分を苦しめた夫に打ち勝ちたいでしょう。
意地悪をしたくなることもあります。
でも本当に離婚を避ける為には、歯を食いしばって、頑張るしかないのです。
私の所に来られた方で、最初から離婚を望む人は一人もいません。
でも、残念ながら、結果的に離婚になった事例は、いくつかあります。
その離婚になったケースの内容を見ると、2パターンあります。
一つは、離婚を避けたいと思っていたが、夫と浮気相手とを別れさせる対策を取っている最中、夫の色んな面が初めて分かり、妻は、一挙に夫への愛情が失せてしまい、離婚をしたと言う方です。
しかし、それは不幸な離婚ではなく、別れた後、再婚をし、新たに子供を授かり幸せになったと近況を送って来てくれます。
も一方で、離婚を結果的に選択した方は、夫婦修復対策の中で、自分自身が、夫に足止めされる人生は嫌だ、と気づいた方は、急にシフトチェンジされます。
要は、この方向転換を、きちんと自分で選択できるようになった方は離婚をします。
相談を受けてから、何年かしてから、幸せになりましたと再婚のニュースや、離婚時に幼かった子供が大きくなりましたと、写真を送って下さいます。
実際、保育園に入れてない乳飲み子を連れて相談に来られた方は、私は自分の孫とかぶってしまい、本当は涙をこらえるのに必死な事もありました。
そんな子達が、大きくなった様子を見聞きして、離婚が間違ってなかったと思う瞬間です。
でも、そういう方は 私の相談の中でも、数名で、決して多くはありません。
でも、基本は離婚はしてほしくないというスタンスですから、最終形は貴女が決めたらいいのです。
その決めたゴールを目指すのに、その前に、夫婦が決裂したら、元も子もありません。
貴女が歩んでいる道のその先に、夫婦の修復がありますか?
正しさだけを主張するだけで、ゴールにたどり着けますか?
貴女が、夫に勝ろうとするのは、貴女のやり方です。
でも、そのやり方にご主人がひれ伏した時には 本当の意味で夫婦は終わります。
貴女の正しさに、只々、完敗するご主人が、貴女に対して「負け」を認め、何なら貴女の望む「謝罪」もして謝ってくれます。
でも、自分に勝った相手に、心を戻す事はないでしょう。
何故なら、力技で負かされた相手に、くやしさはあっても、愛は失せるでしょう。
正しさって、何なのでしょうね。
貴女は、世の中の問題を正誤だけでしか、捉えてないのです。
負かす事に全身全霊を注げば、そりゃ、勝ちますよ。
でも、そうして勝ったところで何が残りますか?
ご主人は、貴女の元を去っていくときに、心の中で、こう思うでしょう。
「負けるが勝」と。
では今日はここまで。