罪の度合い

村越真里子

村越真里子

テーマ:ムラコシズム、つぶやき

私はテレビドラマの中では、とりわけ「相棒」が好きです。
昔でいうと、刑事コロンボのようなタッチで、犯人はだいたい最初から分かっているのに、最初から犯人扱いはせず、まずは、犯人の立場を解ってあげるという、接近をします。
そしてアリバイ崩しの為に、犯人を追いつめていくというのが、だいたいのパターンです。

犯人探しはもとより、犯人と刑事との心理戦ということでしょうか。

そして、時々、ドラマの中で、いいセリフを言うので、それも参考になるのです。

私の所に来られる相談者は浮気問題で悩んでおられます。

そしてこれまで夫婦で数多くの話し合いを重ね、その結果、挫折をして、当方のドアをノックされます。

妻にとれば、それは夫婦がよりよくなる為の話し合いと思っているでしょうけれど、浮気をする夫は、話し合いが必要なんて、さらさら考えていません。
それどころか一つ間違って尻尾を出せば、大変な事になると、身構えています。
何なら 最初からけんか腰で、夫の頭の中は、妻の疑いを、どう否定しようかとしか考えていません。

つまり、話し合いと妻は考えていても、夫にすれば、取り調べ。何なら、尋問です。

だから、夫の方も本当の事を言わず、戦々恐々と身構えているのです。

でも妻は、その取り調べを?有効に、進めたいと思ってますので それなら相棒くらいを見て刑事になったつもりで、勉強してほしいのです。

またドラマの中でも下手な刑事や、若い刑事は、犯人以上に、興奮し、大声を出し、直ぐに机をどーんと叩き、犯人を威嚇しますが、犯人の方が逆に、堂にいったものです。

反対に落とすことが上手い刑事は、色々、周りから外堀を埋めて、犯人が逃げる事が出来ないように、アリバイを崩していきます。そして真綿で絞めるようにじわじわ、攻めて自白へと導きます。
これを「完落ち」と言います。

どうせ話し合いをするなら、この完落ちを目指さないといけませんが、実は、妻の方が、平常心を保てず、白状させようと躍起になります。

そして、直ぐに、証拠を突きつけて・・・という発想になるようですが、刑事は証拠は見せません。

証拠があるなんて匂わせる事もしないから、犯人は油断するのですが、どこまでの事を掴まれているのかと、不安なのです。

こうして、取り調べや尋問をする場合、こちらの手の内を明かしません。

しかし、妻は話し合いをする時に、「私、携帯を見たのよ、何月何日、浮気相手と、デートしてたでしょう」とばかりに、自分の知っている情報を言ってしまいます。

これでは、夫は自分のスマホが無防備だと知るだけですから
今後は、益々、ロックを掛けたりするようになるのです。

つまり夫は何も実態を明らかにしてないのに
妻は、夫より先に自分の情報収取したことの事を先に、
白状してしまうのです。

この段階で、負けです。

犯人に、「これだけの証拠を持っている」と先に公開してしまうのは、手の内を明かすようなもの。

相手が降参してないのに、こちらが先に手の内を明かすのはコ降参と同じ。懇願をしている段階で、白旗挙げた降参なのです。
何なら「こちらは、手の内をあかしているのだから、あなたも正直に言って、お願いだから」という懇願のようなもの。

犯人より弱い刑事なんて役に立ちません。

こんな心理合戦を、刑事ドラマから、日々学習している私は無駄に深夜までぼ~と、録画番組を見てるのではないですよ。

そこで、先日相棒ドラマの中で、とても参考になる言葉を知りました。

「違法収集証拠排除法則」です

例えば、ですが、違法な手段によって、証拠を手に入れたとしたら、それの証拠価値を認めないと言う事が、過去の裁判の判例にあります。
 最判昭和24年12月13日裁判集刑事15号349頁によると、
「押収物は,押収手続が違法であっても,物それ自体の性質,形状に変異を来すはずがないから,証拠たる価値に変わりはない。それゆえ,裁判所の自由心証によって,これを罪証に供すると否とはその専権に属する」

もう少し、分かりやすく言えば、下記に説明があります。

【証拠価値の変化】
 捜索・差押え許可状なしに被疑者のアパートを捜索し,覚せい剤を押収したとしても,その覚せい剤は小麦粉に変わるわけではない

つまり、証拠の入手方法が、褒められたことではなくても、証拠の価値が下がったり、証拠力が変わるものではないと言う事です。

よく、妻と浮気をした夫と話し合い(私はお勧めはしてませんがの際)妻が夫のスマホを覗き見て、浮気相手とのメールのやりとりを見つけてしまい、問い詰めたとしましょう。

そうしたら、必ず、世の夫は、「人のスマホを盗み見て、そんな奴とは今後、夫婦としてやっていけない、だから離婚をしよう」と言います。

つまり、証拠の中身の話ではなく、スマホを見たという事に、話をすり替えられているのです。
これをごまかしたと言う事だけならいいのですが、スマホを見た事を、どんな事よりも罪悪だと言わんばかりの攻め方をしてくる夫がいます。

しかし、こんなものは、どちらが悪いのかと、二つ並べて比べられる罪ではないし、異質のものです。
浮気よりも、スマホを見たことが悪いと、妻を責めます。

いやいやいや・・・・その発端は夫だし。

もっと言うなら、妻が探偵を雇って、不貞の証拠を掴んだとしましょう。

それを夫が、「探偵なんか、雇って・・・・だからもう離婚だ」と言ったとします。

これも上記と同じく話のすり替えです。
でも、妻は そのすり替えられる事を恐れているのです。
「もし、探偵を雇った事がばれたら、夫は怒るでしょう」と。

いやいやいや、妻の貴女も浮気をされた事は、怒らないのですか?
夫が怒ると何がいけないのでしょうか?
探偵を雇う事がそんなに悪い事ですか?

それも、次の言葉で、説明がします
「罪の度合」です。

つまり、罪には重い軽いがあります。
人から10円盗むのと、1000万円盗むのと、窃盗には変わりないのですが、じゃ、同じ罪の度合いですか?と言う事です。

道で落ちている100円玉を拾って、届けないのと100万円の札束を拾って届けないのとでは、罪は同じですか?
拾得物の隠匿と言う事には変わりありませんが、罪の度合いは違うと思うのです。

それと、罪の種類や、価値が違うと言う事もあります。

つまり、夫のスマホを盗み見た罪と、実際に家族を苦しめる不貞をしちゃっている夫とは、同罪ではありませんし、罪の種類が違います。
もがき苦しんだ妻が、苦しさに耐えられず、スマホを見た罪の度合いと、夫が何年も不倫関係を続けている罪の度合いは違います。
ましてや、偉そうに不倫をしている夫から「探偵を雇った」事を責められている場合じゃないのです。

ここは問題をはっきり分けて、夫のごまかしや、すり替えに、負けないようにしないといけません。
かと言って、真正面からぶつかっても、負けるだけですから、もう少し、非合法と言う意味ではなく解らないように、水面下で、動かないといけません。
何でも、かんでも、問題を表に、むき出しにしては、簡単に跳ね除けられるだけですから。

そんな風に、テレビドラマを見ていくと、中々面白いですよ。

時々、私の意見が勇ましいのは、テレビドラマの影響だと思って下さって、結構です。

私の友人などは韓流ドラマにはまっていますが、私はそんなのより、刑事ドラマ。

惚れた晴れたのドラマより、ずっと勉強になりますよ。
では、今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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