フィクションにこそ真実がある。

村越真里子

村越真里子

テーマ:ムラコシズム、つぶやき

タイトルに、「ん?何のこっちゃ」と思うでしょうけれど、ま、ちょっと今日は私の独り言にお付き合い下さい。

このコラムをお読みの方は、夫婦の間に浮気問題を抱えた妻が多いです。

夫の浮気が、年季の入った熟練者の方がいれば、逆に、それを知って、動揺しているというまだ、その世界での悩み期間は短いという妻もいます。

色んな年齢、色んなタイプがいるので、ひとくくりには出来ないのですが、概ね真面目な妻が殆どであると思います。

真面目なゆえ、夫の浮気や不倫と言うことに許せないという気持ちが一番多いと思います。

それだけに、夫の浮気を、正誤で考える傾向がありますが、物事は一面だけで捉えると、見えない部分も発生します。
特に、道徳的に倫理観を問う、なんて事を言っちゃうと、もう、それは全否定になるのです。

今、ここで 私は不倫を肯定しようと、いう話ではありません。

まずは、これだけ世の中に横行して無くならない不倫を否定するだけでは中身は見えなくなってしまいます。

つまり、妻がその不倫を忌み嫌うと、その中身の解明が出来ず、遠ざけるだけになってしまいますから、夫と、それを巡って話し合いになっても、「妻は何も解ってないな」という印象を与えてしまいます。

そうなると、夫も理解のない妻とは、話すらしないままで、距離ができるだけですから、苦しくても、その世界を少しは理解しましょう。
こんな風に書くと、
「私は夫の不倫の事なんて、理解する気もありません」という妻もいるかもしれませんが、まあ、そう言わずに、ちょっとは、私のいう事を聞いてください。

その昔、失楽園という著者、渡辺淳一による小説がありました。
『日本経済新聞』朝刊に1995年9月1日から1996年10月9日まで連載し、その後、映画化され角川文庫からも刊行されました。

まずは驚きだったのが日本経済新聞という朝刊ですから、お堅い新聞です。それをサラリーマンが駅の売店でこぞって購入し、通勤電車の中では、今のようなスマホの無い時代ですから、サラリーマンは株価の欄を見るふりして、実は朝からとても興奮していたと、私の友人等は、懐かしみます。

そんな興奮を隠して、出勤しているもんだから、女性社員を見る目が、ちょっと、桃色。

でも、それは仕事を始めると現実に引き戻されるという悲しい時間を迎えます。

しかし、あの失楽園がどうして、あれほど世のサラリーマンに受けたのでしょうか?
それは、フィクションとは言え、サラリーマンには、「あり得る」ことだからです。

いつでも、どこでもそんな事を考えているわけではないでしょうけれど、全く可能性が無くはない、という「希望」が、非現実のノンフィクションに感じさせてしまったという事です。

実際に不倫が横行している職場もありますし、そういう事をしている仲間がいる事も珍しくないとしたら、あの失楽園は、来るべき日に備えるバイブルのような気持ちで読んでいたと話もよく聞きました。

当然単なる小説として読み物と考えていた方もいるでしょうけれど、人間は在り得ない事は、あまり気持ちが乗りません。

普段は無い事でも、「ひょっとしてあるかも」という現実味を感じてこそ、読み進められますが、SF小説のように本当に現実味のないことなら、恐らくあそこまでのヒットはしなかったでしょう。

あり得ること・・・・・
それが夫にとっては、ちょっとした願望であり、楽しみでもあるのです。
でもそれは口が裂けてもそんな事は言えません。

とにかく、妻は夫の浮気を見つけたときは、それを過ちとして断罪するだけの話になります。
ここで妻とは温度差が生じます。
だから、まるで学校の先生に叱られる生徒のように、うなだれて聞くしかないのです。
そこにはいい訳も事情も通じる話ではないのです。ここで、夫の考えは、確かに不倫を貫き通すなんて考えていません。
しかし、見つかったらと言って、すぐさま止めようとも思っていません。
妻の台風が通り過ぎるのをじっと耐えるだけです。

でも妻は「お願い、何故そんな事をしたのか、教えて」と話し合いを望みますが夫は、言葉に出来る事なんてないのです。

これだけはいえるのが「恋は蜜の味」なのです。
特に退屈な仕事ばかりの生活の中に、好きな女性がいると、同じ職場なら仕事に行く事も楽しいし、違う勤務先の女性なら、夫も定時になるのが待ち遠しい。
だから、仕事が終れば会社を飛んで出て行くことになります。

そんな時期は、気持ちはそちらに行っていて、何とか時間を捻出して、デートを重ねます。だから家庭に帰ってきたら、もうへとへとです。

そして、そのデートの時間は全て仕事をしなければならず、お小遣いの範囲で会うならば、最終電車の時間に間に合うように帰らないといけません。

そうなると、もっと会っていたいのに、家庭という存在が疎ましくなります。

ましてや段々、浮気の事がばれ始め、それを咎められている段階では、頑張って帰宅している努力を理解されないやるせなさに、妻を毛嫌いするようになります。

つまり、妻の家族を大事にしろという説教は、「タクシーも使わず、無駄使いせず、早く帰って来てる夫」の努力を無にする「無理解な妻」ということになります。

もちろん、早く帰ろうが、不倫をしているのでそれはよくない。
しかし夫の言い分は「不倫はしてない前提」ですから、「夜遅くまで働いてタクシー代も節約して帰って来たのに妻は・・・・」と自分のしでかしている事をすりかえています。

こうなれば、益々夫婦の間に距離を生み、妻は正論を言い、夫は真実を隠して妻を遠ざけるという現象が生まれます。
そこで、妻が言う「夫の本音を知りたい」ということですが、夫の本音を言いにくい状態を生むのが、妻の「倫理観」なのです。

不倫する夫は倫理とは別の世界で生きています。
胸キュンや、恋をしていたいとか、毎日顔を見ると仕事の張りが出る、とか。

夫なりに不倫を好む理由はあると思うのです。

よく街中インタビュー等で、「死ぬまでにもう一度恋をしたい」という人は男女問わずいますが、実は口に出さずとも、圧倒的に恋が好きなのは男性です。
男性はロマンチックとか言いますが、私はロマンチックを生活の中で取り入れ恋に発展させたい現実家なのだと思います。

だから、夫の言う「浮気相手とは深い関係ではなく、何もない」と言うのは、妻に向けたガードでしかないのです。

で、話を元に戻します。
フィクションについてですが、在り得ない話は、人は馬鹿馬鹿しいとして取り合いません。
でも、もしかしたら自分にもそういうことが起きるかもしれないと思い、はまって行ったのが失楽園です。
あの堅い朝刊が、失楽園の連載のあった時だけ部数が大幅に伸びたのです。

とりあえず、夫は不倫に興味があって、出来れば、そっちの世界に行ってみたいと考えている人なのだという風に考えると、少しは胸のうちが解るかもしれません。

相手を否定する事から始めると、夫は離れていくだけだと思います。
では、今日はここまで。
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最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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