お礼とお詫びは早い会社が強い 沖縄企業の信頼を守る初動対応
提案書は、以前よりずっと短い時間で作れるようになりました。
相手の会社を調べる。業界の動きを整理する。メールの文面を考える。こうした準備をAIが手伝ってくれることで、営業に使える時間は増やせます。
では、営業という仕事は要らなくなるのでしょうか。
僕は、むしろ逆のことが起きると考えています。
商品やサービスを作り、情報を届けることが簡単になるほど、似たような提案が相手に届く。その中で話を聞いてもらい、「うちに必要なのはこれだ」と納得して選んでもらう仕事は残ります。
これから必要とされるのは、説明が上手な人だけではありません。
相手の事情を聞き、提案を変え、決められない理由を一緒に整理できる人。さらに、その営業をほかの人にも教えられる人です。
提案が増えるほど、お客さんは選びにくくなる
AIが普及すると、営業する側は助かります。人手の少ない会社でも、見込み客を調べ、提案を準備し、連絡するところまで手を広げやすくなるからです。
ただ、お客さんの側に立つと、少し景色が変わります。
営業メールが増える。
どの提案書も、きれいにまとまっている。
どの会社も、自社の課題を理解してくれているように見える。
それでも、予算も時間も限られています。全部の話を聞くわけにはいきません。
ここで差が出るのは、資料の見栄えだけではないはずです。
「なぜ、今うちにこの話なのか」
「導入したら、誰の仕事がどう変わるのか」
「良さそうだけど、現場が対応できるだろうか」
こうした疑問に、相手の状況に合わせて答えられるか。
営業への需要が高まると僕が考えるのは、この部分です。営業職の人数が必ず増えるという話ではなく、相手が判断できるところまで商談を進められる力が、より必要になるということです。
「御社向けに調べました」だけでは足りない
営業では、相手に合わせた提案を「パーソナライズ」と呼ぶことがあります。
難しく聞こえますが、要するに「どの会社にも同じ話をするのをやめる」ということです。
ただ、会社名を差し替えたり、ホームページで見つけた情報を冒頭に入れたりするだけでは、提案の中身は変わっていません。
例えば、同じ「人手不足」の会社でも、困り方は違います。
問い合わせは来るけれど、返信が遅れて仕事を逃している会社。
紹介が減り、新しいお客さんを探す人がいない会社。
商談までは進むけれど、社長以外は契約をまとめられない会社。
最初の会社に、問い合わせをさらに増やす提案をしても、忙しさを増やしてしまうかもしれません。
営業が最初に確かめたいのは、「人が足りませんね」ではなく、どの仕事が止まり、その結果、何を逃しているのかです。
AIは事前に調べ、質問の候補を整理する手助けになります。ただし、調べて分かったことと、こちらが想像したことは別です。
「御社はこういう課題をお持ちですよね」と決めつけるより、「こういう場面で困ることはありますか」と聞く。その返事によって、用意した提案を変える。
相手に合わせるというのは、相手について調べることだけでなく、聞いた後に自分の考えを直すことでもあります。
電話に慣れていない人へ、「まず100件かけて」は厳しい
一方で、営業の入り口に戸惑う人は増えるのではないかとも感じます。
普段の連絡がメッセージ中心なら、知らない相手に突然電話をして、短い時間で用件を伝える経験は多くありません。もちろん、若い世代をひとまとめにはできませんし、年齢に関係なく電話が苦手な人はいます。
電話が難しいのは、文章のように書き直せないからです。
相手が忙しそうなら、話を短くする。
予想外の質問をされたら、その場で受け止める。
断られたら、引くべき場面か、説明が伝わっていないのかを考える。
こうした対応を、数秒の間に求められます。
そこへ台本だけ渡して「慣れるまで頑張って」と言われても、なかなか楽にはなりません。
僕なら、まず冒頭で何を伝えるかを一緒に考えます。
自社サービスを全部説明するのではなく、相手が「それなら少し関係がありそうだ」と思える話題を選ぶ。話を続けてよいか確かめる。必要がなければ、無理に押さない。
電話の目的を「何とかアポを取る」にすると、断られるたびに追い込まれます。「この話を必要としている会社か確かめる」と捉えれば、聞くべきことも変わります。
電話を使い慣れていないことと、営業に向いていないことは、同じではありません。
なお、電話がいつも正解とも限りません。相手や商材によっては、メールや紹介、問い合わせへの対応から始めた方がよい場合もあります。連絡する手段も、営業を教える側が考える仕事です。
質と量を両方求めるなら、全部を人がやらない
「一社ずつ丁寧に調べると、営業する件数が足りない」
「件数を増やすと、同じ話を繰り返すだけになる」
人手の少ない会社では、この悩みがつきまといます。
ここでAIを使う意味があります。
例えば、営業前の企業情報の整理や、商談メモからの要点の抜き出し、次に確認したいことの整理、連絡文の下書き。こうした準備や記録にかかる手間を減らせれば、人は相手と話す時間に集中できます。
ただ、AIで文章を大量に作って送れば、質と量を両立できたことになるわけではありません。
相手に関係のない提案を増やしても、反応は得にくいままです。場合によっては、会社の印象まで悪くします。
僕らが営業を考えるときは、最初から大量に広げるのではなく、まず相手と入口を絞って試します。
誰が話を聞いてくれたのか。どの一言で関心を持ったのか。どこで話が止まったのか。実際の反応を見て、次の連絡先や伝え方を直す。
AIには、その記録を整理する手助けをしてもらう。人は、整理された結果と実際の会話を照らし合わせ、次の打ち手を決める。
質と量の両立は、単なる送信件数の増加ではありません。準備の手間を減らしながら、反応を見て直す回数を増やせることに価値があります。
売れる人の隣に座るだけでは、営業は育たない
営業ができる人の価値が上がるなら、その人に任せればいい。そう考えたくなります。
でも、一人の経験者が売上を支え続ける会社には、別の心配が残ります。その人が休んだり、退職したりすると、営業が止まってしまうことです。
そこで必要になるのが、営業を教え、チームで続けられるようにする人です。
ただし、自分で売れることと、人に教えられることは別の力です。
経験者は、商談中にたくさんの判断をしています。
相手の返事が曖昧だったから、説明を止めて質問した。
価格の話が出たけれど、値引きではなく導入後の負担を聞いた。
担当者は乗り気でも、社内で決める人が別にいると分かったので、次回の進め方を変えた。
本人には自然なことでも、隣で聞いている人には、その理由が見えません。
だから「今の話し方を覚えて」だけでは伝わらないんです。
商談の後に、「あそこで説明を続けなかったのはなぜか」を話す。次に似た場面が来たら、どんな質問をするかを一緒に考える。実際にやってみて、また振り返る。
録音などの記録を使う場合は、相手への説明や社内の取り扱いルールも必要ですが、AIを使って振り返りの材料を整理することはできます。
その材料から何を教えるかは、人の仕事です。
これから会社に残したいのは、売上だけではなく「売れるまでの考え方」
AIで準備が速くなっても、相手の事情を無視した提案では選ばれません。
電話をたくさんかけても、関心を持つ理由が伝わらなければ話は進みません。
優秀な営業担当者がいても、その判断が本人の中にしかなければ、会社としては不安が残ります。
だから僕は、これからは営業をする人に加えて、営業の進め方を整え、人を育てる人の価値も上がると考えています。
誰に連絡するか。
何を入口に話すか。
相手の返事から何を確かめるか。
どんな状態になったら提案するか。
そうした考え方を社内に残せれば、新しく入った人も、経験の浅い人も、前の人がつかんだことから始められます。
BLUE LEAFでも、営業代行で接点をつくることだけでなく、その後の商談の進め方や、社内で営業を続けられるようにする支援をしています。AIは、そのための準備や記録の負担を減らすところで使います。
「営業できる人がいない」と感じたとき、採用だけが答えとは限りません。今いる人が動けるように、任せ方や教え方を変える余地があるかもしれません。
営業を外に任せるべきか、社内で育てるべきか。どこにAIを使えば、人が相手に向き合う時間を増やせるか。今の営業の進め方から、一緒に考えます。
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