本当の課題は表面には出ない 沖縄企業が営業前に確認したい課題設定
「これ、あったら使いますか?」
自分で作ったサービスを誰かに見せるとき、聞きたくなる質問です。
「いいですね。便利そうです」と返ってきたら、うれしい。ところが、販売を始めても申し込みが来ない。あの反応は何だったのか、と戸惑うことがあります。
相手が嘘をついたとは限りません。便利だとは思っても、今お金を払って変えたい仕事ではなかったのかもしれないからです。
今回は、AIで作ったサービスを売る前に、誰と、どんな話をすればよいかを具体的に書きます。商品を褒めてもらう会話ではなく、売ってよい相手を見つけるための会話です。
まず5人。「AIに詳しい人」より、その仕事をしている人へ
最初の目安として、5人に話を聞くところから始めてみてください。5人で市場全体が分かるわけではありません。答えを出す人数ではなく、自分の思い込みに気づくための小さな始め方です。
ここでは、問い合わせメールへの返信案をAIが作るサービスを考えてみます。以下の人物や会話は、説明のための仮の例です。
話を聞きたいのは、AI好きの友人ではなく、実際に問い合わせへ返信している人。小さな会社なら社長自身、大きめの会社なら事務や営業の担当者かもしれません。
「中小企業の社長なら誰でも」では広すぎます。たとえば、少人数で運営し、毎日問い合わせメールに対応している会社。その中でも、返信が翌日に持ち越されることがある会社なら、確かめたい話に近づきます。
最初に使ってくれた知り合いだけで5人をそろえないことも大切です。その方から、同じ仕事をしている別の会社の担当者を紹介してもらう。業界の集まりで、事情を説明して短時間だけ話を聞かせてもらう。自分との付き合いが浅い人の反応も入れたいところです。
お願いするときは、目的を隠しません。
「問い合わせ対応を楽にするサービスを考えています。今の仕事の進め方を20分ほど教えていただけませんか。今日は購入をお願いする場ではありません」
こう伝えたなら、その日は約束どおり、売り込みを始めない。相手が困っていなければ、それも知りたかった答えです。
画面を見せる前に、「最後に困った日」を聞く
せっかく作ったので、最初に動くところを見せたくなります。でも、いったんパソコンを閉じておきましょう。
「問い合わせの返信、大変ですよね?」
これでは、こちらの考えに合わせてもらう質問になりがちです。代わりに、こんな聞き方をします。
「最近、返信に時間がかかった問い合わせはありましたか?」
「ああ、先週ありました」
「どんな内容で、どこに時間がかかったのでしょう?」
ここから話を聞きます。文章を考えるのに困ったのか。料金を確認するために別の人の返事を待っていたのか。そもそもメールを見落としていたのか。
同じ『返信が遅れる』でも、必要な助けは違います。文章を書くことが原因でなければ、返信案を作るだけでは解決しません。
「普段どうですか」より、「最後に起きたとき、何をしましたか」。
具体的な日の話になると、実際の仕事が見えやすくなります。
その20分で、確かめたい話
話を進めるなら、まず「そのとき、どうやって対応しましたか」と尋ねます。
過去のメールから似た文面を探した。担当者に電話した。社長が帰社するまで待った。今のやり方には、困っていても仕事を回すための工夫があるはずです。
次に、「それは、どのくらいの頻度でありますか」。毎日のことなのか、年に数回なのかで、急いで直したい度合いは変わります。時間を聞く場合も、無理に数字を出してもらわず、分からなければ後日一度測ってもらう方が確かです。
「遅れると、何か支障がありますか」とも聞いてみます。残業になるのか、お客さんを待たせるのか。特に困っていない、という答えもあるでしょう。こちらから『売上を逃していますよね』と決めつけないことです。
さらに、「これまで改善しようとしたことはありますか」。別のソフトを試したけれど使わなくなったなら、その理由が参考になります。設定が難しかった、確認する手間が増えた、担当者が変わった。機能を足すより先に考えることが見つかります。
ここまで聞いたら、理解が合っているかを短く確認します。
「文章を考える時間より、料金の確認待ちが長いのですね」
違っていたら直してもらう。僕はこの確認を大事にしています。聞いたつもりで、自分の商品に都合のよい話へ置き換えないためです。
使う人が欲しくても、会社が買えるとは限らない
担当者から「助かります」と言われたら、次は購入までの流れを聞きます。
「こういうサービスを使う場合、ほかにどなたの確認が必要ですか?」
実際に使う人と、費用を決める人が違うことは珍しくありません。担当者には便利でも、社長には費用に見合う変化が伝わっていない場合があります。メールの内容を外部のサービスへ渡してよいか、確認が必要な会社もあるでしょう。
確認する相手への説明が必要なら、担当者に丸投げせず、何を説明できれば判断しやすいかを聞きます。必要に応じて、担当者の了承を得て一緒に話す機会をお願いする。
購入を決める方には、「今は何に費用がかかっているか」「導入するなら、どんな変化が必要か」を伺います。現場の負担と、会社として支払う理由。その両方がつながるかを確かめます。
「安ければ使う」を、予定のある話に変える
仕事内容を聞いたうえで、自分のサービスが役立ちそうなら、初めて内容を説明します。合わないなら、無理に紹介しなくて構いません。
ここで「いくらなら買いますか」と聞くだけでは、実際の判断は分かりません。相手にも、まだ分からないことが多いからです。
例えば、「この範囲まで対応し、月額はこの金額。確認作業は御社にお願いし、困ったときはこの時間帯に対応します」と条件を示す。そのうえで「導入を考えると、何が引っかかりますか」と聞く方が、話が具体的になります。
まず試したいという話になれば、期間、対象にする仕事、担当する人、費用の有無を決めます。『そのうち』で終わらせず、いつ結果を一緒に確認するかまで相談します。無料で試せても、その後の料金は事前に伝えます。
問い合わせ対応なら、実際の顧客情報をいきなり預からず、架空の問い合わせや個人情報を取り除いた例から始める方法があります。自動送信はせず、人が確認する形で確かめることもできます。
そして、今より仕事が楽になったかを見ます。下書きが速くても、修正にそれ以上の時間がかかるなら、喜べません。
試す日程を決めてくれたことは、「便利そう」という感想より一歩進んだ反応です。ただし、それでも購入の約束ではありません。有料で続けてもらえるかは、別に確認する必要があります。
5人の話を聞いた夜に、商品を直す前にやること
聞いた内容を、会社ごとに短く並べてみてください。
「いつ起きたか」「今どうしているか」「何が困るか」「誰が購入を決めるか」「次に何をすることになったか」。この程度で十分です。相手の言葉と、自分の解釈は分けて残します。
仮に5人中3人が同じ話をしても、『市場の6割に需要がある』とは言えません。似た立場の知り合いに偏っているかもしれないからです。それでも、次に誰へ話を聞くかを絞る材料にはなります。
毎日のように困っていて、既に時間やお金を使って対処し、具体的に試したいと言ってくれた会社。そこに共通点があれば、同じ状況の会社をもう少し探してみる。
反対に、ほとんど困っていないと言われたら、機能を増やす前に、聞く相手が違ったのか、解決しようとした問題が小さかったのかを考えます。断られた理由を全部『説明不足』にしないことです。
この作業は、営業を始める前の遠回りではありません。誰に連絡し、何から話せばよいかを決める営業の準備です。
BLUE LEAFでは、商品を売るための電話や商談だけでなく、こうした最初の聞き取りや、小さく試す進め方からお手伝いしています。
「何を聞けばいいか分からない」という段階なら、まずは今考えているサービスと、最初に役立った相手の話を聞かせてください。いきなり営業先を何千社もそろえる前に、次に会う一人を一緒に考えましょう。
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前回のコラム:AI副業で「作れた」のに売れない。営業代行に頼む前に確かめたいこと


