AIで記事を量産するほど信頼を失う時代へ 沖縄企業に必要な「人の編集力」

「会社の業務を全部、書き出してください」
そう言われたら、僕でも少し身構えます。日々の仕事で手いっぱいなのに、会社全体を整理する時間なんて、なかなか取れません。
ですから、最初から全部やらなくて大丈夫です。
昨日、自分がやった仕事を思い出す。それも、朝から晩までではなく、「面倒だったな」と感じた一つだけ。
例えば、夕方に送った見積書。金額を考えるより、昔のファイルを探す方に時間がかかっていなかったでしょうか。
AIを仕事に取り入れる話は、こういうところから始めると具体的になります。今回は、その見積書を例に、業務の棚卸しを実際に進めてみます。
見積書を一枚、机に出してみる
ここからは、ある会社で見積書を作る場面を想定した例です。
お客様から「前回と同じ内容で、数量だけ変えた見積もりをお願いします」とメールが届きました。担当者は過去の見積書を探し、内容をコピーし、数量と日付を書き換えます。仕入れ価格が変わっていないか社長に確認し、金額を直して送信します。
「見積書作成」と書けば一言ですが、実際にはいくつもの作業が入っています。
棚卸しでは、この一言をほどいていきます。
紙でも、いつも使っているノートでも構いません。「メールを読む」「前の見積書を探す」「数量を変える」「価格を確認する」「社長に見てもらう」「送る」と、やった順番に書いてみてください。
正しい業務用語を使う必要はありません。「あのフォルダを探し回る」「社長の返事を待つ」で十分です。むしろ、その書き方の方が困っている様子が伝わります。
社員の方が担当している仕事なら、記憶だけで説明してもらうより、実際の画面を見せてもらう方が早いこともあります。
「普段どおりにやってみてもらえますか」
その横で見ていると、社長が知らなかった手間が見つかるかもしれません。
時計を見ると、直す場所が変わる
次に、書き出した作業の横に、だいたいの時間を添えます。最初からストップウォッチで測るほど細かくなくて大丈夫です。
仮に、過去の見積書を探すのに10分、数字の入力に5分、価格の確認に5分、送信用のメールを書くのに5分かかっていたとします。
ここで「AIでメールを書けば早くなる」と考えることはできます。ただ、一番時間を使っているのは、ファイルを探す作業です。
お客様の名前で保存している人もいれば、日付だけで保存している人もいる。それなら、先にファイルの名前や置き場所をそろえた方が、すぐに楽になるかもしれません。
もう一つ、作業時間と分けて見ておきたいのが、待ち時間です。
社長の確認自体は3分でも、社長が外出中で送信が翌日になる。お客様が待っているのは、その一日です。
この場合は「どの見積もりも社長が確認する必要があるのか」を考えます。価格や条件が変わらないものは担当者が進め、値引きや特別な条件があるものは社長に確認する。そんな分け方ができる場合もあります。
手を動かすのに時間がかかるのか、探すのに時間がかかるのか、誰かの返事を待っているのか。ここを分けると、改善策を選びやすくなります。
AIに任せる仕事は、最後に選ぶ
作業が見えたら、一つずつ「これはどうしたら減らせるだろう」と考えます。
やめて困らない作業なら、やめる。二度入力しているなら、一度で済むようにする。保存の仕方がばらばらなら、そろえる。
それでも残る手間のうち、AIに手伝ってもらうとよさそうなものを選びます。
先ほどの見積書なら、お客様のメールから依頼内容を整理することや、送付するメールの下書きを作ることが候補になります。一方、数量と単価の計算は、表計算ソフトの計算式で対応できる場合があります。
何でもAIにする必要はありません。電卓で済むことまで、わざわざAIに頼まなくてもいいんです(笑)。
そして、価格を決める、値引きを認める、納期を約束する、といった判断は、誰が責任を持つかをはっきりさせます。
「メールを読んで、見積書を作って、送っておいて」と一度に任せるより、まずは「送付メールの下書きまで」と区切った方が、確認しやすくなります。
使うサービスによって情報の扱いも異なるので、最初の試運転は、顧客名や実際の取引情報を入れないサンプルから始めると進めやすいでしょう。
「毎日やっている小さな面倒」を選ぶと続きやすい
最初に試す仕事は、一番大きな仕事でなくても構いません。
年に一度しかない複雑な資料作成より、毎日の問い合わせ返信や、週末の売上報告など、繰り返す仕事の方が変化を確かめやすくなります。
例えば、社長が毎週、各担当者の報告を読み直して、会議用にまとめているなら、その整理をAIに手伝わせる方法があります。
ただし、報告に必要な情報が抜けていると、AIも正確にはまとめられません。「何をしたか」「何が決まったか」「次に何をするか」を担当者が残すようにする。それから整理を任せます。
営業の記録でも同じです。
「訪問しました」「反応はよかったです」だけでは、次に何をすればよいか分かりません。お客様が何に困っていたのか、どんな条件なら検討できるのか、次の連絡はいつか。そこが残っていれば、引き継ぎにも、次の提案にも使えます。
僕らが営業を支援するときも、記録する量をむやみに増やしたいわけではありません。次の仕事を進める人が、また最初から聞き直さなくて済むようにしたいのです。
棚卸しをするときは、ぜひ担当者に「何を何度も聞き直していますか」と尋ねてみてください。社内の小さな手戻りを見つける、よい質問になります。
一週間後、「本当に楽になった?」と聞く
試す仕事が決まったら、担当者と期間を決めます。毎日ある仕事なら、まず一週間ほど試す方法があります。
その間は、以前と比べてどう変わったかを簡単に残しておきます。
例えば、返信文を考える時間は短くなったものの、修正に以前と同じくらいかかるなら、まだ使い方を直す余地があります。必要な説明が抜けるなら、AIに渡す情報が足りないのかもしれません。
操作に迷って担当者が毎回社長を呼んでいるなら、それも見逃せません。一人の仕事は減ったのに、別の人の仕事が増えていないかを見る必要があります。
数字だけでは分からない変化もあります。
「夕方までためていた返信を、その場で返せるようになった」
「休んだ人の仕事を、ほかの人が引き継ぎやすくなった」
そんな実感も、続けるかどうかを考える材料になります。
合わなければ、やり方を変える。前の方法に戻す。その余地を残しておけば、現場も試しやすくなります。
社長が全部まとめてから、相談しなくても大丈夫です
ここまで読んで、「整理する時間がないんだよ」と思った方もいるかもしれません。
その場合は、きれいな一覧表を作らなくて大丈夫です。
毎月使っている集計表。何度も書き直しているメール。担当者が休むと止まる仕事。社長の机にたまっている確認待ちの書類。
どれか一つについて、「これが、どうにも面倒で」と話していただければ、そこから一緒に整理できます。
BLUE LEAFでは、AIの操作説明だけではなく、実際の仕事の流れを伺い、減らせる作業を見つけ、日々使えるところまでお手伝いします。営業の準備や問い合わせ対応も含め、誰が何を担当し、どこを人が確認するかまで考えます。
高機能な仕組みを作る前に、一つの仕事が滞りなく終わるようにする。
昨日の面倒を、来週も同じように繰り返さなくて済む。そのくらい身近なところから始めてみませんか。
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