口コミは待つものではなく設計するもの 沖縄の小さな会社の紹介戦略
「AIには危険があります。ルールが必要です」
AIを作っている会社が、そうした注意を呼びかけています。
もちろん、作った人だから分かる危険もあるでしょう。AIが間違った情報を出したり、大切な情報を外に漏らしたりする可能性は、きちんと伝える必要があります。
でも、商売をしている僕は、ちょっと気になるんです。
「自分たちの商品が危険だと伝えることで、商売の面では何が起きるんだろう?」
今回は、そこを考えてみます。最初にお伝えしておくと、ここから先は僕の想像を含む考察です。AI企業が裏で何かを企んでいると分かったわけではありません。
同じルールでも、大きな会社と小さな会社では負担が違う
例えば、AIを開発する会社に「安全を確認する専門の担当者を置いてください」というルールができたとします。
これは、仕組みを分かりやすくするための仮の話です。
社員が何千人もいる会社なら、担当者を置けるかもしれません。一方、数人で始めたばかりの会社には、採用するお金も、人を割く余裕もない場合があります。
同じルールでも、守るための負担は同じではないんですね。
もし高額な検査や、たくさんの書類まで必要になれば、新しくAIを作ろうとする会社は、さらに始めにくくなるかもしれません。
その結果、すでにお金も人もいる大手が有利になる可能性があります。
ただし、ルールが全部悪いわけではありません。安全の基準がはっきりすれば、小さな会社も「私たちも、この基準を満たしています」と説明しやすくなります。
大切なのは、ルールが厳しいかどうかだけでなく、何を、どこまで求めるかです。
本当に心配していても、商売にプラスになることはある
ここが、今回いちばん伝えたいところです。
危険を本当に心配していることと、その発言が自社の商売に役立つことは、同時に起こり得ます。
例えば、AIの危険性について丁寧に説明する会社を見て、「ここは問題を隠さず話してくれる」と安心する人もいるでしょう。
「そんなに注意が必要なくらい、高度なAIを作っているのか」と、技術のすごさを感じる人もいるかもしれません。反対に、怖くなって使わなくなる人もいるはずです。
どんな受け取られ方をするかは、人によって違います。
だから、「宣伝になるのだから、危険だという話も嘘だ」と決めつけるのは飛躍です。一方で、「安全のための発言だから、商売とは無関係だ」とも言い切れません。
僕は、この二つを分けて見たいと思っています。
「なぜ言ったのか」は、本人でなければ分からないことがある。でも、「言ったことで、お客様の考え方がどう変わるか」は、外からでも考えられます。
営業では、説明によってお客様の選び方が変わる
この話は、中小企業の営業にもつながります。
例えば、AIで問い合わせへの返信を手伝うサービスを、二つの会社が提案したとします。これも説明のための架空の例です。
一社は、こう説明します。
「AIが自動で返信するので、仕事が速くなります」
もう一社は、こう説明します。
「AIが返信案を作ります。ただ、料金や納期を間違えると困るので、最初は担当者が確認してから送る形にしましょう」
前者を聞けば、どれくらい速くなるのかが気になります。後者を聞けば、速さに加えて、間違いを防ぐ方法にも目が向きます。
説明によって、お客様が比べるポイントが変わるんです。
営業では、自社の長所を話すだけでなく、お客様が買った後に困りそうなことを一緒に考える。その説明に納得してもらえれば、価格以外の理由でも選んでもらえる可能性があります。
ただし、心配させるために問題を大げさに言うのは違います。
実際に起こり得ることを伝え、どう対応するかまで説明する。そこまでが、提案する側の仕事だと思います。
「AIを使わないと遅れます」だけでは、社長は困る
僕らのようにAI活用を支援する側も、「今すぐ使わないと、他社に負けますよ」と言おうと思えば言えます。
でも、それを聞いた社長は、不安になるだけかもしれません。
「それで、うちは何をすればいいの?」
この質問に答えられなければ、役に立つ提案にはなっていません。
例えば、少人数で営業している会社を考えてみます。社長が現場から戻り、夜になって問い合わせのメールを返している。
ここで僕なら、まず、返事のどこに時間がかかっているかを聞きます。
文章を書くのが大変なのか。料金を調べるのに時間がかかるのか。それとも、社長しか判断できない内容なのか。
文章を考える負担が大きいなら、AIに返信案を作ってもらう方法があります。でも、料金を決められる人が社長しかいないなら、文章だけ速く作れても仕事は止まったままです。
同じ「返信が遅い」という困りごとでも、直す場所は違います。
だから、いきなりAIを入れるのではなく、仕事の様子を聞いて、一つだけ試す。実際に手間が減ったか、確認が増えてかえって大変になっていないかを見て、やり方を直していく。
僕らが営業の支援で大切にしているのも、この進め方です。最初に考えた方法を正解にせず、現場の反応を見ながら変えていきます。
提案を受けたら、この続きを聞いてみてください
AIのサービスを勧められたときは、こんなふうに聞いてみてください。
「うちの、どの仕事が楽になりますか?」
「間違えたときは、誰が、どう直しますか?」
難しい専門用語を知っている必要はありません。自分の会社で使う場面が浮かぶまで、聞けばいいんです。
例えば「メールの作成が速くなります」という説明なら、作った文章を確認する時間も含めて楽になるのか。自動で送るなら、間違った相手に送らないために何をするのか。
そうやって話を具体的にすると、本当に必要なサービスかを考えやすくなります。
説明が上手な会社と、自社の仕事をよくしてくれる会社が、必ず同じとは限りません。これはAIでも、営業代行でも、広告でも同じです。
僕の話も、うのみにしなくて大丈夫です
僕自身、AIや営業の支援を仕事にしています。この記事を読んで関心を持っていただければ、ご相談につながる可能性があります。
つまり、僕も売る側です。
だからこそ、「AIに詳しそうな人が勧めているから」だけで決めてほしくありません。自分の会社で役に立つかどうかを確かめてください。
何から考えればいいか分からない方には、20問で分かる無料AI社員採用診断も用意しています。診断を受けたから、何かを契約しなければいけないという話ではありません。
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営業の相談に来たのに、営業されて帰れない。そんな時間にはしたくありませんので、ご安心を(笑)。
AI企業が危険性を語る本当の理由を、僕が外から決めつけることはできません。
ただ、その話を聞いて、自分は何が心配になったのか。そして、勧められた商品は、その心配を本当に解決してくれるのか。
そこまで考えてから選ぶ。それくらいの落ち着きは、AIがどれだけ速く進歩しても、持っていたいと思います。
参考情報
AI企業によるリスク管理の公開例として、Anthropicの安全方針を参照しました。また、AI市場の競争については、英国競争・市場庁の発表を参照しています。これらは、特定企業が競合を排除する目的で危険性を語っていることを示す資料ではありません。


