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令和3年の民法等の改正(1)

竹下勇夫

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テーマ:民法等の改正

令和3年の民法等の改正(1)

  令和3年4月28日に民法や不動産登記法等の改正に関する法律が公布されました。施行日は、公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日ということですので、施行までに多少の余裕はありますが、後で述べる経過措置等との関係もありますので、改正の内容は早めに理解しておいた方がよいと思います。
 今回の改正案を審議した法制審議会の資料によれば、法務省の調査によると、最後の登記から50年以上経過している土地の割合は、大都市で約6.6%、中小都市・中山間地域においては約26.6%にも上っています。また不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地の割合が約20.1%にもなっており、これは北海道の面積に匹敵する規模になっています。

 このようなことから、土地の円滑・適正な利用に支障を来しており、今後、相続が繰り返される中で、この問題がますます深刻になるおそれのあることから、所有者不明地問題の解決は、喫緊の課題とされてきました。
 今回の法改正は、以上の様な所有者不明地に関する諸々の問題を解決するためになされたものと言えます。

 そのために、今回の改正は、その範囲が比較的広く、民法の改正部分としては、①相隣関係
(お隣さんとの土地の利用に関する諸問題)の見直し、②共有物を利用するためには、共有者を個別に探索して交渉する必要があり、共有者の一部が不明である場合には、その者の同意をとることができず、土地の利用・処分が困難になることなどから、共有制度の見直し、③所有者不明土地の合理化を図るための財産管理制度の見直し、④現行法上は遺産分割に期間制限がなく,相続発生後に遺産分割がされずに,遺産共有状態が継続し,何回も相続が発生した場合に権利関係が複雑化し、また遺産分割がされないために相続登記がされないまま放置されることがあることから、遺産分割を促進するための方策の導入等がなされています。    —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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