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竹下勇夫

会社法・労働法・経済法に精通した企業法務のプロ

竹下勇夫(たけしたいさお) / 弁護士

弁護士法人ACLOGOS

コラム

令和3年の民法等の改正(10)

2021年9月29日

テーマ:民法等の改正

コラムカテゴリ:法律関連

~相続法に関わる改正点~

 今回の改正を行うに際し、法務大臣から法制審議会に対して行われた諮問には、相続法に関わるものとして、「第1 相続等による所有者不明土地の発生を予防するための仕組み」のうち、「相続登記の申請を土地所有者に義務付けること」、「遺産分割に期間制限を設けて遺産分割を促進すること等により、所有者不明土地の発生を抑制する方策」、「第2 所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組み」のうち、「民法の不在者管理制度及び相続財産管理制度を見直すなど、所有者不明土地の管理を合理化するための方策」についての意見が求められていました。

 上記のうち、「相続登記の申請を土地所有者に義務付けること」については、今回不動産登記法の改正によって規定されましたが、この点については、民法の改正の説明を終えた後で解説したいと思います。
上記の諮問のうち、「相続財産管理制度の見直し」によって「所有者不明土地の管理を合理化するための方策」に関する改正点から見ていきましょう。

 現行法においては、「相続人が数人あり、相続財産に属する財産が遺産分割前の暫定的な遺産共有状態にある場合において、共同相続人が相続財産の管理について関心がなく、相続財産の管理をしないときなどは、現行の民法上、相続財産の保存に必要な処分を命ずる相続財産管理制度が設けられておらず、相続財産の管理不全化に対応することができない。また、法定相続人の全員が相続の放棄をしたときを含む相続人のあることが明らかでない場合については、現行の民法上、相続財産管理制度(民法第951条以下)が設けられているが、これは、相続財産の清算を目的とするものであるため、手続が重く、コストがかかることから、土地を含めた相続財産を適切に管理しようとしても、この制度を利用することができない場合がある」との指摘がされていました。  今回の相続財産管理制度に対する改正は、この点の見直しに関するものです。  —続—

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