マイベストプロ沖縄
竹下勇夫

会社法・労働法・経済法に精通した企業法務のプロ

竹下勇夫(たけしたいさお) / 弁護士

弁護士法人ACLOGOS

コラム

低額譲受(2)⑤

2021年8月30日

テーマ:低額譲受・ケース②

コラムカテゴリ:法律関連

■取引金額って自由に決められるんじゃないの?

 「契約自由の原則」という言葉を聞いたことのある方は、本件について、「売買契約で、取引金額は当事者間で自由に決められるんじゃないの? 当事者同士が1500万円で合意したのだから、1500万円の取引金額は有効じゃないの?」と思ったのではないでしょうか?

本件のモデルとなったさいたま地判平成17年1月12日当時おいても、民法上の基本原則として「契約自由の原則」が存在しました。現在は民法おいて明文化されています。「内容の自由」については、521条2項に定められており、その内容は次のとおりです。

「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」

本件においても、XさんとAさんの間で締結された1500万円という金額に問題はありません。取引金額は自由に決定してよいし、実際に行われた売買取引も有効です。
しかし、本件売買契約は有効であるとしたうえで、あくまでも税務上、本件土地の時価は7000万円なので、対価の額との差額5500万円は贈与によりXさんがAさんから取得したとみなして贈与税を課します、というのが課税庁の立場です。(続く)

※ 本件はさいたま地判平成17年1月12日をモデルとしていますが、事実の一部は異なります。
※ なお、本件は納税者側の主張が認められず、課税処分等が確定しています。

この記事を書いたプロ

竹下勇夫

会社法・労働法・経済法に精通した企業法務のプロ

竹下勇夫(弁護士法人ACLOGOS)

Share

関連するコラム

竹下勇夫プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ沖縄
  3. 沖縄の法律関連
  4. 沖縄の企業法務
  5. 竹下勇夫
  6. コラム一覧
  7. 低額譲受(2)⑤

© My Best Pro