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低額譲受(2)⑤

竹下勇夫

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テーマ:低額譲受・ケース②

■取引金額って自由に決められるんじゃないの?

 「契約自由の原則」という言葉を聞いたことのある方は、本件について、「売買契約で、取引金額は当事者間で自由に決められるんじゃないの? 当事者同士が1500万円で合意したのだから、1500万円の取引金額は有効じゃないの?」と思ったのではないでしょうか?

本件のモデルとなったさいたま地判平成17年1月12日当時おいても、民法上の基本原則として「契約自由の原則」が存在しました。現在は民法おいて明文化されています。「内容の自由」については、521条2項に定められており、その内容は次のとおりです。

「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」

本件においても、XさんとAさんの間で締結された1500万円という金額に問題はありません。取引金額は自由に決定してよいし、実際に行われた売買取引も有効です。
しかし、本件売買契約は有効であるとしたうえで、あくまでも税務上、本件土地の時価は7000万円なので、対価の額との差額5500万円は贈与によりXさんがAさんから取得したとみなして贈与税を課します、というのが課税庁の立場です。(続く)

※ 本件はさいたま地判平成17年1月12日をモデルとしていますが、事実の一部は異なります。
※ なお、本件は納税者側の主張が認められず、課税処分等が確定しています。

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竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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