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同一労働同一賃金4

竹下勇夫

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テーマ:同一労働同一賃金

それでは改正法の具体的な内容の説明を行いましょう。ます、短時間・有期雇用労働法第8条です。条文は次のようになっています。

(不合理な待遇の禁止)
第8条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 第8条の改正点はいくつかあります。
 第1に、有期雇用労働者が労働解約法第20条からこちらに移ってきています。
 第2に、短時間・有期雇用労働者と比較すべき通常の労働者との待遇について、例えば賃金であればその総支給総額において比較するのではなくて、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて」比較することとされましたから、賃金を構成する基本給、賞与その他のそれぞれの手当ごとに待遇差を比較して不合理性の判断をする必要があります。
 第3に、不合理性の判断をするに際し、「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮」しなければならないことになりました。それぞれの待遇ごとに、当該待遇はどのような性質を有するのか、いかなる目的でそのような待遇が設けられたのか、ということを個々の待遇ごとに判断しなければならないことが明確化されました。

 この結果、それぞれの手当ごとに、当該手当の性質に・目的に照らして比較対象労働者が変わることもあり得ることに注意が必要です、

 それでは、第2、第3の点について具体的に見ていきたいと思います。この点についてはすでに述べた厚生労働省の指針に詳しく述べられていますので、その点を中心に見ていくことにしましょう。指針は、「基本的な考え方」として次のように述べています。
     
 この指針は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方及び具体例を示したものである。事業主が、第3から第5までに記載された原則となる考え方等に反した場合、当該待遇の相違が不合理と認められる等の可能性がある。なお、この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。このため、各事業主において、労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる。

 裁判所は、判決をする場合に法律には拘束されますが必ずしも前記の指針に拘束されるわけではありません。しかしながら過去の労働判例を検討すれば、裁判所が厚労省の告示(指針)を参考にしながら判断している場合が多いことも否めません。そのような意味で、指針の言うように、指針の原則となる考え方に反した場合、裁判においても当該待遇の相違が不合理と認められる可能性があることに注意しておかなければなりません。

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竹下勇夫
専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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