ご高齢の方ほどお元気なうちにスペアーの入れ歯をお作り下さい!
皆さん、こんにちは!いかがお過ごしですか?
津谷歯科医院 院長の津谷 良です。
私の患者さんで、もう8年ほど前にお亡くなりになったMさんについてお話します。
Mさんは嘔吐反射のきつい方で、以前他の歯科医院で入れ歯をお作りになろうとしましたが、
入れ歯の型を取るのさえ吐きそうになるため、できずに入れ歯を諦めておられました。
残りの歯が動いたり、抜けて少なくなってくると、食事がやわらかい物しか口にできずに不自由をされていました。
奥さんからご相談を頂いて、ご主人も入れ歯に挑戦しようと言うことで、来院されました。
病気もされ、体も細く痩せておられ、日々の食事についてもご苦労が忍ばれました。
上の入れ歯を作る予定ですが左右の奥歯は7本欠損と前歯が2本欠損のケースです。
しかし残っている歯も何本かは、動いています。.
よくご希望を伺って、まずは初心者用に上顎部分を大きくくり抜いた入れ歯を作製しました。
まずはこれに調整を加えて入れ歯で物を噛める所まで仕上げて行きました。
最初は上手くいきませんでしたが、1~2ヶ月するとMさんの器用さにも助けられて、
少しずつ入れ歯を使っての食事が取れるようになりました。
そうすると動いている歯も少ししっかりしてきて、入れ歯のリハビリが進んで来ました。
そこからMさんは今まで介護食や水分などの飲料の食事形態から、普通食への変化が見られました。
毎月調整に来院されていましたが、
「この前食べた寿司がうまかった」とか「かつを噛んだときの感覚が嬉しかった」
などの食べ物の食べられる喜びを話され、持ち前の頑張りで、グルメとなって色々な物に挑戦されました。
もちろん動いている歯には注意するように警告しました。
「新たに入れ歯を新調しよう」と話ししていた時にお亡くなりになりました。
このMさんケースで
患者さんの体や口の中の状態によって、既存の入れ歯の設計ではなく、
その時期の状態や体調に合わせた設計が必要である事、
そしてリハビリテーションの入れ歯の必要性を学びました。
嘔吐反射で気持ち悪くて入れ歯なんか入れられないとお嘆きの患者さんは現実に多くいらっしゃいます。
でも、そのまま放置していると、残った歯が早くダメになり、
ますます欠損が大きくなり、食べられなくなります。
早い時点で入れ歯をご使用される事をお勧めします。
Mさんや奥さんには大変感謝されましたが、
「もう少し早い時点で入れ歯を作っておきたかった」とのMさんの言葉が心に残ります。