契約書について(4) 記載例
私が弁護士になってよく感じるのは、請負契約の難しさです。
そもそも、建築の専門家でない弁護士にとって、常用契約ということも当初はよくわかりませんでした。
一番驚くのは、請負工事~特に業者間の契約において、契約書が存在しないことです。
注文書一枚で工事にとりかかったりすることもめずらしくはありません。
では一体いつ合意が成立したのかということが、非常に分かりにくいです。
現在の民法では請負契約というのは、物の完成を目的とする合意とされていますので、ビルならビル建築することがその内容となります。そして、代金とビルの引渡とが同時履行になりますので、ビルの引渡しを受けるまでは、代金の支払いを拒絶することができます。
話を元に戻しますが、発注書というのは、注文者がこのような内容の工事、代金は○○円でして欲しいという旨の一方的な書面です。これに対して請負人はその内容の工事を完成させる、代金は○○円で合意するという旨の意思表示があって初めて契約が成立します。よくあるのも注文書に対して注文請書(そのないよう野発注書に合意します)を提出するということがなされています。
実際は、工事の範囲の特定、材料費込みであるとか、常用工事だとか、代金支払い時期等等よくつめておく必要があり、やはり契約書を作成しておくことが後々のトラブル回避のためには必要です。特に請負の場合は、金額が何千万円、時には何億円にもなることがありますので、よく注意しておくことが必要です。