心理的安全性ってそういうことだったのか! Ⅱ
従業員の健康を守るという意味でも、
職場の過剰な残業体質は改めなければなりません。
これは医学的な知見からも裏づけがあります。
法定時間外労働が月に100時間以上になる場合、脳卒中などの脳血管疾患や、
心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症との関連が強いとされています。
法定時間外労働が月45時間以上になるくらいから、徐々にその関連性が強まるとの知見です。
ただ、メンタル面の健康というポイントから考えると、
単純に労働時間を短くすればいいのかというと、そうでは無いようです。
長時間労働自体も、メンタルヘルス不調の「1つの要因」ではありますが、
その他にも「仕事との向き合い方」「仕事に対する意識のあり方」も重要になります。
Aさんは月120時間の残業をこなしても、まったく問題が起こらなかった一方で、
Bさんは月80時間の残業でメンタル面での不調を抱えてしまうといった例があります。
長時間労働の場合、不調になるか、ならないかを分けるのは
「仕事そのものを楽しいと思っているかどうか」が重要な要素になるのです。
シンプルに言うとその仕事を好きか、嫌いかが、大きく関係してきます。
Aさんは好きな仕事のため、「楽しい、完成度を上げたい」という意識が強く、
それほど労働時間が長いと感じていません。
反対に、Bさんは、望まない業務を担当していたため、やりがいを感じられず、
働くことそのものが苦痛だったのです。
好きな事は誰でも「没頭」することができます。そのため、時間があっという間に
過ぎていきます。反対に、嫌な仕事だったり、「やらされ感」が強かったりすると、
とてつもなく時間が長く感じられるはずです。
没頭して時間がすばやく過ぎ去ることを、心理学用語で「フロー」といいます。
「フロー」の状態であれば長時間にわたって働いても、
心理面ではさほど苦痛とは思わないようです。
「活力」「熱意」「没頭」をもって「ワークエンゲイジメント」を向上させることで、
仕事に積極的に関与することができます。
つまり単に「仕事量を減らせばメタルヘルス不調が解決」するというわけではないのです。