昔の肉離れは治っている?痛みがなくても動作を確認したい理由

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「昔の足首捻挫は治っている?痛みがなくても現在の動作を確認したい理由」という内容になります。
学生時代にサッカーやバスケットボール、バレーボールなどをしていて、足首を捻挫した経験はありませんか?当時は大きく腫れて歩くのもつらかったけれど、しばらくすると痛みが引き、そのまま部活やスポーツに復帰したという方も多いと思います。
その後、何年も経って現在は足首にほとんど痛みがないと、「昔の捻挫だから、もう治っている」と考えるのは自然なことです。しかし、痛みがなくなったことと、足首の機能や身体の動きまで以前と同じように戻っていることは、必ずしも同じではありません。
例えば、普通に歩いているときには何も感じなくても、深くしゃがむと片方の踵だけ浮く。片足立ちになると昔捻挫した側だけふらつく。階段を下りるときに左右で身体の使い方が違う。こうした小さな違いは、日常生活では本人も気づいていないことがあります。
前回のスポーツ外傷シリーズ第1弾では、「昔の肉離れは治っている?」をテーマに、痛みがなくなった後も現在の動作まで確認することについてお伝えしました。第2弾となる今回は、スポーツ外傷の中でも経験する方が多い足首捻挫について考えていきます。
足首捻挫後の身体については、痛みだけではなく、関節の動きや筋力、バランス、足首に対する安定感、さらにジャンプや方向転換など実際の動作まで確認することの重要性が研究されています。また、足首に不安定性が残る方では、足首だけでなく膝や股関節を含めた動きにも違いがみられることが報告されています。
今回はこうした論文や研究も参考にしながら、「昔の捻挫を今さら見る必要があるの?」という疑問に対して、当院がなぜ昔のケガから現在の身体の動きまで確認しているのかをお伝えしていきます。
1.昔の足首捻挫は、痛みがなければ治っている?

足首を捻挫した直後は、痛みや腫れがあるため「ケガをしている」という感覚がはっきりしています。しかし、数週間が経って歩けるようになり、走っても痛くなくなると、そこで「治った」と考える方は少なくありません。
もちろん、痛みや腫れが落ち着き、日常生活やスポーツに戻れることは大切な回復過程です。ただ、痛みは身体の状態を確認する一つの情報であり、それだけで足首の機能すべてを判断することはできません。
「歩ける」より条件を少し変えてみる
普段の歩行では問題がなくても、しゃがむ、片足で立つ、階段を下りる、方向を変えるといった動作になると、左右差が現れることがあります。スポーツをしている方なら、走る、急に止まる、切り返す、ジャンプから着地するといった場面では、さらに足首に求められる機能が増えていきます。
例えば右足首を昔捻挫した方が、両足では問題なくしゃがめても、右脚だけになると身体が外側へ逃げたり、十分にしゃがめなかったりすることがあります。本人には「足首が痛い」という感覚がないため、それを昔の捻挫と結びつけて考えることはほとんどないでしょう。
「今は痛くないから大丈夫」から、「今、左右同じように使えているだろうか?」へ視点を変えることが、昔の足首捻挫を確認する第一歩です。
2.足首捻挫の後に確認したいのは関節の硬さだけではない

「昔の捻挫の影響が残っている」と聞くと、足首が硬くなっている状態を想像する方が多いかもしれません。確かに、足首がどこまで曲がるかという可動域は大切な確認項目の一つです。
しかし、足首を動かしてみて柔らかければ、それですべて問題ないとも限りません。足首の機能には、関節の動きだけでなく、筋力や安定性、バランス、足の位置を感じ取る感覚など、複数の要素が関わっています。
片足になると分かることもある
両足で立っているときは安定していても、片足立ちになると昔捻挫した側だけふらつく方がいます。さらに目線を動かしたり、身体を前後左右へ動かしたりすると、左右差がより分かりやすくなることもあります。
足首は地面と身体をつなぐ場所です。歩いているときには、一歩ごとに地面の状態や身体の傾きを感じながら、倒れないように細かな調整を繰り返しています。
そのため当院では、昔の足首捻挫について確認するときも、単純に「足首が何度曲がるか」だけを見るのではなく、その足で身体を支えたときに、現在どのような使い方をしているのかまで確認することを大切にしています。
3.足首の動きが変わると、身体は別の使い方で動作を続ける

ここからが今回の記事で特にお伝えしたい部分です。
人の身体は、一つの関節だけを使って歩いたり、しゃがんだりしているわけではありません。足首、膝、股関節、骨盤などがそれぞれ動きながら、一つの動作を作っています。
例えば、しゃがむ動作を考えてみましょう。身体を下げていくときには股関節と膝が曲がり、それに合わせて足首も前方へ曲がっていきます。
ところが、片方の足首が十分に使いにくい状態では、そのままでは同じ深さまでしゃがみにくくなります。そこで膝や股関節の使い方を変えたり、身体を左右どちらかへ移動させたり、踵を浮かせたりしながら、身体は「しゃがむ」という目的を達成しようとします。
動作ができることと、以前と同じ使い方ができることは違う
これは階段でも同じです。足首が使いにくくても、膝や股関節、体幹の動きを変えれば階段を上り下りできることがあります。
その状態が長く続けば、本人にとってはその動きが「いつもの動き」になります。昔どのように動いていたかを覚えていないため、左右差があっても違和感を感じなくなることもあるでしょう。
身体は動きにくい場所があれば、ほかの場所も使いながら動作を成立させます。
だからこそ、昔の足首捻挫を確認するときには、「足首が痛いか」「足首が硬いか」だけで終わらず、現在どのような動作になっているかを見ることが大切だと考えています。
4.何度も同じ足首を捻っているなら、その後の経過まで振り返る

初めて足首を捻挫したのは中学生や高校生の頃。その後も部活中に何度か同じ足首を捻ったけれど、そのたびに数日休むと痛みが引いたので、そのまま競技を続けていたという方もいます。
大人になってスポーツをやめてからは大きな捻挫をしていないため、本人の中では「昔の話」になっています。しかし、一度目の捻挫だけでなく、その後に何度も同じ側を捻っていなかったかという経過も、現在の足首を見るための大切な情報になります。
「ガクッとする」「不安な感じ」も確認したい
強い痛みはなくても、段差を踏み外しそうになったときに足首がガクッとする、砂利道を歩くと昔捻挫した側だけ不安に感じる、片足で立つと安定しないという方もいます。
一方で、昔大きな捻挫をしていても、その後しっかり機能が戻り、現在ほとんど左右差がない方もいます。大切なのは「昔捻挫した」という事実だけで現在の身体を判断せず、その後どのように回復して、今どのように使えているかを見ることです。
昔のケガを振り返るときには、「いつケガをしたか」だけでなく、「何回くらい繰り返したか」「どのくらい休んだか」「どのようにスポーツへ戻ったか」「その後、不安定感はなかったか」と時間を追って確認すると、現在の身体とのつながりが見えやすくなります。
5.歩ける足首でも、片足立ち・階段・着地では使い方が変わることがある

日常生活で足首の状態を確認するなら、「歩いて痛いか」だけでは情報が足りないことがあります。
平らな道を普通に歩く動作と、片足で身体を支える動作では条件が違います。さらに階段を下りる、深くしゃがむ、小走りをする、急に方向を変えるとなれば、必要になる足首の動きや安定性も変わります。
条件を変えると左右差が見えてくる
例えば両足スクワットでは左右差が目立たなくても、片脚スクワットになると昔捻挫した側だけ膝が内側へ入りやすくなったり、身体が大きく傾いたりする場合があります。
ジャンプから片足で着地すれば、さらに短い時間の中で足首・膝・股関節を使い、地面から受ける力を身体全体で受け止める必要があります。慢性的な足首の不安定性がある人では、こうした着地動作で足首だけでなく、膝や股関節の曲げ方にも違いがみられることが研究されています。
もちろん、昔捻挫した方全員にこうした変化が残るわけではありません。だからこそ、「捻挫したことがあるから問題がある」と考えるのではなく、実際の動作を見て現在どうなっているかを確認することが重要です。
6.足首だけでなく膝・股関節まで確認する理由

「昔捻挫したのは足首なのに、なぜ膝や股関節まで見るのですか?」と思う方もいるでしょう。
歩行を例にすると分かりやすくなります。踵が地面についてから足裏へ体重が移り、身体が前へ進み、最後に足が地面から離れるまで、足首・膝・股関節は連続して動いています。
そのため、どこか一か所の使い方が変われば、同じ歩行を続けるためにほかの場所の使い方も変わることがあります。慢性的な足首の不安定性がある人では、歩行や着地などで足首だけでなく、膝・股関節を含めた下肢全体の動きや筋機能にも違いが報告されています。
「どこが痛いか」から「どう使っているか」へ
例えば現在、膝が痛い方がいたとします。その場合、膝の状態を確認することは当然必要ですが、立ったときに左右どちらへ体重をかけているか、足首は十分に動いているか、股関節を使えているかというところまで見ていくと、膝だけを見ていたときとは違う情報が得られることがあります。
腰痛や股関節痛についても同様です。昔の足首捻挫だけで現在の腰や股関節、膝の症状を説明することはできませんが、現在の身体の使い方を考える材料として、過去のケガとその後の動作を確認することには意味があります。
「痛い場所はどこか」だけではなく、「その場所へどのように負担がかかっているのか」まで見る。
これが、大分駅前整体院が昔のスポーツ外傷についてもお聞きしている理由の一つです。
7.昔の足首捻挫から現在の身体まで、時間をつなげて確認する

昔の足首捻挫について考える目的は、何年も前のケガを探し出して現在の症状と無理に結びつけることではありません。
大切なのは、ケガをした瞬間から現在までの身体の変化を、一つの流れとして見ることです。
足首を捻挫した。当時は痛みや腫れがあった。しばらく休んで痛みが引いた。スポーツに復帰した。その後、同じ足首を何度か捻った。競技をやめてから足首は痛くなくなった。そして10年、20年と時間が経ち、今は膝や股関節、腰など別の場所に不調を感じている。
ここで確認したいのは、「昔の捻挫が今の痛みを作ったのか」という一点ではありません。
昔のケガのあと、足首の機能はどこまで戻ったのか。その後どのような身体の使い方を続けてきたのか。そして現在、足首・膝・股関節・骨盤などをどのように使って立ち、歩き、しゃがんでいるのか。
そこまで時間をつなげて見ていくことで、現在痛みを感じている場所だけを確認するよりも、身体の状態を詳しく把握できる場合があります。
前回の肉離れも、今回の足首捻挫も、ケガをした場所や傷めた組織は違います。しかし共通して確認したいのは、「昔ケガをした場所」だけではなく、「そのケガから現在まで身体がどう戻り、今どのように動いているか」です。
スポーツ外傷シリーズでは、次回以降も別のケガを取り上げながら、昔のケガと現在の身体について考えていきます。シリーズを通して見ていただくと、「昔のケガだからもう関係ない」と切り離すのではなく、現在の身体を知るための情報として過去を振り返る意味が少しずつ見えてくると思います。
学生時代や若い頃に足首を何度も捻挫した経験があり、現在は足首そのものには痛みがない。それでも最近、歩くと膝や股関節がつらい、左右で身体の使い方が違う気がする、以前より片足で踏ん張りにくいと感じている方は、一度現在の動きを確認してみるのも一つです。
大分駅前整体院では、現在痛みを感じている場所だけではなく、これまでのケガや身体の使い方、左右の動きなども確認しながら身体の状態を見ています。
昔の足首捻挫を「昔の話」で終わらせるのではなく、今の身体を知るための一つの情報として振り返ってみてください。


