昔の膝のケガは治っている?痛みがなくても現在の動作を確認したい理由

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「昔のスポーツのケガは今の痛みと関係ある?40〜50代で確認したい身体の変化」という内容になります。
これまでスポーツ外傷シリーズとして、第1弾では「昔の肉離れ」、第2弾では「昔の足首捻挫」、第3弾では「昔の膝のケガ」についてお伝えしてきました。どのケガにも共通しているのは、「今は痛くないから、もう完全に関係ない」と痛みの有無だけでは判断できないということです。
学生時代や20代の頃には、部活動や趣味のスポーツでケガをしても、痛みがなくなればそのまま競技や仕事に戻り、その後は特に気にすることなく生活してきた方も多いと思います。しかし40〜50代になって腰や股関節、膝などに痛みを感じるようになると、「そういえば昔、反対側の足首を何度も捻挫した」「学生時代に太ももの肉離れをした」「若い頃に膝を痛めたことがある」と思い出すことがあります。
では、昔のスポーツのケガと、現在感じている腰・股関節・膝などの痛みには関係があるのでしょうか。シリーズ最終回となる今回は、これまでの第1〜3弾の内容をつなぎながら、過去のケガから現在までの身体の変化をどのように考えればよいのかについて、これまでに報告されている論文や研究を参考にしながら当院の考えをお伝えしていきます。
1.昔ケガした場所と、今痛い場所が違うことはありませんか?
若い頃のケガと40〜50代の痛み
「学生時代に右足首を何度も捻挫したけれど、今痛いのは左膝」
「昔は太ももの肉離れをしたけれど、今気になるのは腰や股関節」
「若い頃に膝を痛めたことはあるけれど、今は膝より腰の方がつらい」
このように、昔ケガした場所と現在痛みを感じている場所が同じとは限りません。 そのため、「昔のケガとは場所が違うから関係ないだろう」と考えている方も少なくないと思います。
ただ、身体は足首・膝・股関節・骨盤・体幹などをそれぞれ別々に使って生活しているわけではありません。歩くときも、階段を上るときも、椅子から立ち上がるときも、それぞれの部分が役割を分担しながら一つの動作を作っています。
だからこそ、現在膝が痛いからといって膝だけを確認するのではなく、過去にどこをケガしたのか、その後どのように回復したのか、そして現在どのように身体を使っているのかまで確認することが大切になります。
一方で、ここで注意したいのが「昔のケガが今の痛みの原因だ」とすぐに結びつけないことです。20年前の足首捻挫が現在の腰痛を直接起こしている、といった単純な関係で説明できるとは限りません。
過去のケガは“犯人を探すための材料”ではなく、現在の身体を理解するための情報の一つ。 まずはこのように考えることが、今回の記事で最も大切なポイントになります。
2.痛みがなくなっても「過去のケガ」という情報は残ります
第1〜3弾に共通していたこと
第1弾の肉離れでは、筋肉は損傷した後に修復していきますが、「痛みがなくなった」ということと、「筋力や柔軟性、走る動作まですべて以前と同じ状態に戻った」ということは分けて考える必要があるとお伝えしました。
第2弾の足首捻挫では、腫れや痛みだけでなく、足首の動く範囲、筋力、安定性、バランス、足の位置を感じ取る感覚など、さまざまな要素を確認する必要があります。特に捻挫を繰り返してきた方では、「今は痛くない」というだけでは現在の足首の状態まで判断できません。
そして第3弾の膝のスポーツ外傷では、ACL(前十字靱帯)やMCL(内側側副靱帯)、半月板、膝蓋腱など、同じ「昔の膝のケガ」でも損傷した場所や程度、その後の経過は人によって違うことをお伝えしました。競技に復帰できたことは大切な回復の一つですが、20〜30年後の身体まで当時と同じ状態であることを意味するわけではありません。
つまり、肉離れ、足首捻挫、膝のケガと種類は違っても、第1〜3弾には一つの共通点があります。
それは、「痛みがなくなったか」だけではなく、「現在その身体をどのように使えているのか」を見ることが大切だということです。
昔のケガについて伺うのも、「昔のケガが悪い」と決めるためではありません。過去のケガから現在までの身体の経過を知るための、一つの大切な手がかりになります。
3.昔のケガは、その後の身体にどこまで関係するのでしょうか?
「昔のケガ=今の痛み」とは限りません
過去にスポーツ外傷を経験した方の身体については、さまざまなことが分かってきています。例えば膝では、過去の大きな靱帯損傷や半月板損傷などが、その後の関節の状態と関連することが報告されています。
足首でも、捻挫を繰り返して不安定感が残っている方では、足首だけでなく股関節周囲の筋力や、ジャンプ・着地などでの身体の使い方に違いがみられる場合があります。つまり、一つの関節の状態を考えるときでも、その場所だけを見れば十分とは限らないということです。
ただし、ここから「昔右足首を捻挫したから左膝が痛くなった」「昔膝をケガしたから腰痛になった」と直接結びつけることはできません。
身体にはさまざまな調整能力があります。ケガをした後でも必要な機能が戻り、その後何十年も問題なく生活している方もたくさんいますし、反対に大きなケガをした記憶がなくても40〜50代になって腰や股関節、膝の痛みが出てくる方もいます。
だから当院では、昔のケガを現在の痛みの「原因」と決めつけるのではなく、今の身体を評価するときに確認しておきたい「既往歴」の一つとして考えています。
「昔のケガだからもう関係ない」と切り離す必要もなければ、「昔のケガが全部悪い」と考える必要もありません。この間にある現在の身体を丁寧に見ていくことが大切です。
4.ケガをしてから現在までの20〜30年間も身体は変わっています
昔のケガだけではなく「その後」を見る
例えば18歳の頃にバスケットボールで足首を捻挫した方が、48歳になって膝に痛みを感じるようになったとします。
18歳の足首捻挫と48歳の膝痛。この二つだけを見ると、「30年前の足首捻挫が膝に影響したのでは?」と考えたくなるかもしれません。
しかし、その間には30年という時間があります。
20代ではスポーツを続けていたものの、就職して運動する機会が減ったかもしれません。30代では仕事や子育てで忙しくなり、座っている時間や車を運転する時間が増えたかもしれません。そして40代になると、以前より歩く機会が減り、「最近は階段よりエレベーターを使うことが多い」という生活になっている可能性もあります。
昔と今では「身体を使う環境」も違う
年齢を重ねること自体が悪いわけではありません。ただ、筋力、柔軟性、活動量、仕事内容、体重、睡眠、運動習慣など、身体を取り巻く条件は20代と40〜50代では変化していることがあります。
特に大分では車で移動する機会が多く、仕事でも長時間座っている方は珍しくありません。学生時代には毎日のように走ったり跳んだりしていた方でも、現在は「家から車、車から職場」という生活になり、一日の中で身体を大きく動かす機会が少なくなっていることがあります。
ですから、40〜50代で身体に痛みが出てきたときに確認したいのは、30年前のケガだけではありません。
「ケガをしたとき」→「痛みがなくなった後」→「その後の生活」→「現在の身体」
この時間の流れをつなげて考えることが重要です。
過去を変えることはできません。しかし、昔ケガをしたからといって、これからの身体まで決まっているわけでもありません。今の筋力や動き、生活習慣を確認することで、現在の身体に合わせてできることを考えていくことはできます。
5.今痛い場所だけではなく「立つ・歩く・階段」を確認する
身体は一つの動作の中で協力しています
40〜50代の方からご相談いただく腰・股関節・膝の痛みは、日常生活の中で感じることが多くあります。
「椅子から立つときに腰が痛い」
「歩き始めると股関節が気になる」
「階段を下りるときに膝が痛い」
「長く歩くと腰から足がつらくなる」
このような場合、痛い場所を確認することはもちろん必要です。しかし、実際の生活では膝だけ、股関節だけを使って階段を上り下りしているわけではありません。
歩くときには、足首が動き、膝が曲がり伸びし、股関節が身体を前へ運び、体幹が姿勢を保っています。階段でも同じように、それぞれの場所が少しずつ役割を分担しています。
そのため当院では、必要に応じて足首・膝・股関節・体幹それぞれの状態だけでなく、「それらを一緒に使ったときにどう動いているのか」を確認していきます。
「できる・できない」だけでは分からないこともあります
例えば「歩ける」という一つの動作でも、短い距離なら問題ないのか、長時間になると痛くなるのかでは意味が違います。
階段についても、「上りは大丈夫だけれど下りがつらい」「手すりがあれば大丈夫」「最初はいいけれど何度も上り下りすると痛くなる」など、人によって困っている場面は異なります。
片脚で身体を支える、しゃがむ、椅子から立ち上がるといった動作も同じです。一つの動作をできるかどうかだけではなく、どのように行っているのか、どの場面で症状が出るのかを見ることで、現在の身体について分かることがあります。
昔のケガを確認することと、今の動きを確認すること。この二つを別々に考えるのではなく、つなげて見ていくことが大切です。
6.今の痛みを「昔のケガ」だけで説明しないことも大切です
痛みには一つではなく複数の要素が関わります
ここまで読むと、「やっぱり昔のケガが今の痛みに関係しているのでは?」と思われるかもしれません。
確かに過去のケガは大切な情報です。しかし、40〜50代の現在感じている痛みを、20〜30年前のケガ一つだけで説明することも適切ではありません。
現在の筋力や関節の動き、活動量、仕事での身体の使い方、運動習慣、睡眠など、痛みにはさまざまな要素が関係する可能性があります。また、長く痛みが続いている場合には、身体を動かすことに対する不安が強くなっている方もいます。
「また痛くなるかもしれないから歩かない」
「昔膝をケガしたから運動はしない方がいい」
「腰が悪いと言われたから、なるべく動かさないようにしている」
そうして動く機会が少なくなれば、以前できていた動作が少しずつ大変に感じるようになることも考えられます。
もちろん、痛みを我慢して無理に動けばよいという意味ではありません。大切なのは、「痛いから全部休む」「昔ケガしたから動かさない」と一律に考えるのではなく、現在の状態に合わせてできることを探していくことです。
画像だけでも、痛みだけでも決めつけない
また、レントゲンやMRIなどで身体の変化を指摘された方の中には、「画像で変形していると言われたから、もう良くならないのでは」と不安になっている方もいます。
画像検査は身体の状態を知るために非常に大切ですが、画像で確認できる変化と、その人が感じている痛みや日常生活での困りごとは、必ずしも一対一で一致するわけではありません。
反対に、「画像では大きな問題がないと言われたから何も問題はない」とも限りません。画像所見だけではなく、どの動作で症状が出るのか、筋力や関節の動きはどうなのか、普段どの程度身体を動かしているのかなどを合わせて考える必要があります。
そして、症状の出方や経過によっては医療機関での検査や診断が必要な場合もあります。昔のケガとの関係だけで判断せず、必要なときには医療機関と連携しながら身体の状態を確認することも大切だと考えています。
7.昔のケガを「原因」と決めつけず、今の身体を知る手がかりに

今回でスポーツ外傷シリーズは最終回になります。
第1弾では肉離れ、第2弾では足首捻挫、第3弾では膝のスポーツ外傷について、それぞれ「昔のケガ」と「現在の身体」という視点からお伝えしてきました。
そしてシリーズを通して一番お伝えしたかったのは、「痛みがなくなった=何十年後の現在もすべて元通り」とは限らない一方で、「昔ケガした=現在の痛みは全部そのせい」でもないということです。
若い頃にスポーツでケガをした経験がある方が40〜50代になり、腰や股関節、膝に痛みを感じるようになったとき、過去のケガについて確認することには意味があります。
しかし、本当に確認したいのは「30年前に何があったのか」だけではありません。
昔どこをケガしたのか。
その後どのように回復したのか。
ケガをしてから現在まで、どのような生活をしてきたのか。
そして何より、今の身体で立つ・歩く・階段を上り下りするときに、どのような動きをしているのか。
この一連の流れを見ることが大切です。
例えば、学生時代の足首捻挫そのものをなかったことにはできません。しかし現在の足首の動き、膝や股関節の筋力、歩き方、活動量などは、今から確認することができます。
「昔のケガだから、もう仕方がない」
「年齢だから仕方がない」
そう考えて、身体を動かす機会をさらに減らしてしまう前に、まずは現在の身体がどこまで動けているのかを知ることから始めてみてもよいのではないでしょうか。
一方で、痛みが強くなっている、症状が急に変化した、しびれや筋力低下が進んでいる、腫れや熱感が強いなど、症状によっては先に医療機関での確認が必要になることもあります。すべてを昔のスポーツ外傷や身体の使い方だけに結びつけず、必要な検査や診断を受けることも大切です。
大分駅前整体院では、現在痛みを感じている場所だけではなく、必要に応じて過去のケガや運動歴、仕事や日常生活、そして立つ・歩く・階段などの現在の動作まで確認しながら身体を見ていきます。
昔のケガは、今の痛みの犯人を決めるためのものではなく、現在の身体を理解するための一つの手がかりです。
学生時代や若い頃に肉離れ、足首捻挫、膝のケガなどを経験し、現在は腰・股関節・膝など別の場所に痛みを感じている方も、「昔のケガだから関係ない」「今痛いところだけを何とかすればいい」と決めつけず、一度現在の身体全体を確認してみることをおすすめします。
過去の身体は変えられなくても、これから確認し、整えていくのは「今の身体」です。
立つ、歩く、階段を上り下りするといった日常の動作が今よりつらくなる前に。身体から出ている小さな変化をそのままにせず、早めに現在の状態を確認していきましょう。








