交通事故後の首・背中・腰の痛み|事故時に身体へ加わる3つの衝撃

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「昔の肉離れは治っている?痛みがなくても動作を確認したい理由」という内容になります。
学生時代にサッカーや野球、陸上などをしていて太ももの裏を肉離れした経験がある方や、社会人になってからランニングやスポーツ中に肉離れを経験した方は少なくありません。
肉離れをした直後は走ると痛い、歩くのもつらい、太ももに力を入れると痛むといった症状があっても、時間が経つにつれて痛みは少なくなっていきます。その後、普通に歩けるようになり、仕事やスポーツにも復帰できれば、「もう完全に治った」と考えるのではないでしょうか。
もちろん、昔の肉離れが現在まで傷として残り続け、必ず身体に問題を起こしているわけではありません。
一方で、肉離れをした後には筋肉や筋腱の組織が修復されていくだけでなく、筋力や筋肉の使い方、高速で動いたときの力の発揮などについても考える必要があります。
特に重要なのは、「痛みがなくなったか」と「さまざまな動作の中で以前と同じように身体を使えているか」は、必ずしも同じ意味ではないという点です。
今回から全4回にわたり、肉離れ、足首の捻挫、膝のスポーツ外傷、そして昔のスポーツによるケガと40代・50代以降の身体との関係について取り上げます。
第1回となる今回は「肉離れ」です。肉離れをした瞬間に筋肉へどのような力が加わるのか、傷ついた筋肉がどのように修復されるのか、そして痛みが改善した後に走る・歩くなどの動作を見ることがなぜ大切なのかを順番に考えていきます。
今回はハムストリング損傷などに関する国内外の論文・研究報告を参考にしながら、過去の肉離れと現在の身体をどのように考えているのか、当院の考えも含めて分かりやすく説明します。
1.肉離れは筋肉が「伸びたから」起こるだけではない

肉離れという言葉から、「筋肉を伸ばしすぎた」「身体が硬かったから切れた」というイメージを持っている方もいると思います。
しかし、スポーツ中の肉離れを考えるときには、単純に筋肉がどれくらい伸びたかだけではなく、筋肉がどのような状態で、どのくらいの力を発揮していたのかまで考える必要があります。
走っているとき筋肉は縮むだけではない
筋肉というと、力を入れて「縮む」ものだと思われがちです。
ところが実際のスポーツ動作では、筋肉は縮みながら力を出すだけではありません。筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する「伸張性収縮」という働きがあります。
例えば全力に近いスピードで走っているとき、太ももの裏側にあるハムストリングは脚の動きをコントロールするために重要な働きをしています。
脚が前方へ振り出されて接地に近づく場面では、股関節が曲がり、膝が伸びる方向へ動いていきます。このときハムストリングは長くなる方向へ動きながら、勢いよく前へ出ていく脚にブレーキをかけるように力を発揮します。
「長くなっている筋肉が、大きな力を出して動きをコントロールする」
このような状況が、ハムストリングに大きな力が加わる場面の一つになります。
スピードが上がれば求められる働きも変わる
軽いジョギングと全力に近いダッシュでは、同じ「走る」という動作でも身体に求められるものは同じではありません。
スピードが上がれば脚を前後へ動かす速さも大きくなり、その動きを受け止めたり、次の接地につなげたりするために筋肉へ求められる働きも大きくなります。
そのため、普段歩いたり軽く走ったりできていても、ダッシュや急な加速、減速、キックなどになると違和感が出ることがあります。
肉離れを考えるときには、「動けるかどうか」だけではなく、「どのくらいの速さ・どのような姿勢・どのような力の出し方なら動けるのか」まで分けて考えることが大切です。
2.肉離れをした筋肉はその後どうやって修復される?

肉離れによって筋肉が傷ついたとしても、その状態がそのままずっと続くわけではありません。
身体には損傷した組織を修復していく仕組みがあり、時間の経過とともに炎症反応から修復、さらに組織を作り替えていくリモデリングへと進んでいきます。
「傷がそのまま残る」というイメージではない
肉離れを「筋肉が切れて、その傷がずっと残っている」とイメージすると、古傷について誤解しやすくなります。
損傷した筋肉では修復の過程が進み、日常生活や運動によって加わる負荷にも少しずつ適応していきます。そのため、昔肉離れをした場所が現在痛いからといって、何年も前の傷そのものが現在の痛みを起こしていると単純に判断することはできません。
また、画像検査で組織の変化が残っていることと、実際の身体機能や再受傷が必ず一致するわけでもありません。
大切なのは「昔傷ついた場所が残っているか」だけではなく、修復した後、その筋肉を現在どのように使えているのかを見ることです。
修復した後に身体を使い直す
例えばケガをしてしばらく走れなかった人が、痛みが軽くなった翌日から突然以前と同じ全力疾走をすることは通常ありません。
歩く、軽く動かす、少し速く動く、ジョギングする、走る、ダッシュするといったように、身体に加わる負荷を段階的に戻していきます。
これは単に傷が治るまで待っているのではなく、修復した組織を実際の動作の中で再び使える状態へ戻していく過程として考えることができます。
3.「痛みがなくなった」と「元通りに動ける」は同じ?

肉離れを経験した方が「治った」と判断する大きな基準の一つが痛みだと思います。
歩いても痛くない。階段でも大丈夫。軽く走っても痛くない。このような状態になれば、普段の生活では肉離れしたことを意識する機会も少なくなります。
しかし、ここで一度考えておきたいことがあります。
痛みがなくなったことと、筋肉の機能がケガをする前とまったく同じ状態に戻ったことは、必ずしも同じではありません。
「力があるか」だけでも判断できない
筋力というと、「膝を曲げる力が強い」「重いものを持ち上げられる」というように、一つの数値で考えたくなります。
ところが実際の身体では、同じ筋肉でも関節の角度によって筋肉の長さが変わります。
ハムストリングであれば、股関節と膝関節の両方をまたいでいる筋肉があります。そのため、股関節がどの位置にあるのか、膝がどれくらい曲がっているのかによって、ハムストリングに求められる働きも変化します。
だからこそ、「筋力がある・ない」だけではなく、「どの姿勢で、どのように力を発揮できるのか」まで見る必要があります。
4.走るときは「長くなりながら力を出す」能力が必要

ここまでの話を実際の動作に置き換えてみましょう。
ハムストリングを肉離れした方であれば、椅子に座って膝を曲げることができるだけでは、走るために必要な機能をすべて確認したことにはなりません。
接地する直前に脚をコントロールする
走っているときには、後方にあった脚を前方へ大きく振り出します。
脚が前へ出て膝が伸びていくと、太ももの裏側にあるハムストリングは長くなる方向へ動きます。同時に、脚がそのまま勢いよく前へ飛び出していかないようにコントロールする働きも求められます。
車に例えるなら、アクセルを踏んで勢いをつけるだけでなく、必要な場所でブレーキを使いながら次の動作へつなげるような働きです。
この「動きを止める・減速させる」という働きも、スポーツでは非常に重要です。
動作が速くなれば条件が変わる
ゆっくり脚を動かすことができても、速く動かしたときには同じようにコントロールできないことがあります。
さらに実際のスポーツでは、真っすぐ走るだけではありません。
急に走り出す、止まる、方向を変える、ボールを蹴る、ジャンプから着地するなど、次々と身体の条件が変化します。
そのため肉離れ後の身体を見る場合には、安静時の筋肉だけではなく、実際に身体を動かしたときにどのような負担が加わり、どのように力を受け止めているのかを考えることが重要になります。
5.競技に戻れたからといって、すべての機能が同時に戻るとは限らない

肉離れから復帰するときには、
「普通に走れる」
「練習に参加できる」
「試合に出られる」
というように段階があります。
ここで注意したいのは、スポーツへ復帰できることと、身体のすべての機能が同じタイミングでケガ前の状態まで戻ることは別に考える必要があるという点です。
普通に動ける状態から高速動作へ
日常生活で歩く程度であれば、ハムストリングへ求められる負荷は全力疾走とは大きく異なります。
歩けるようになった後にジョギング、さらにスピードを上げたランニング、ダッシュへ進むにつれて、筋肉にはより速く、大きな力を発揮することが求められます。
つまり、「痛くないから100%」ではなく、現在どの程度の動作まで戻っているのかという視点が必要です。
一度できることと繰り返しできることも違う
もう一つ確認したいのが「疲労」です。
最初の1回は問題なく動けても、ダッシュを繰り返した後や運動の後半になると動きが変わることがあります。
これはスポーツだけの話ではありません。
日常生活でも、朝は問題なく歩けるのに夕方になると片側の太ももが張る、仕事が続くと脚が重くなる、長く歩いた後から左右差を感じるという方がいます。
もちろん、それだけで昔の肉離れが原因だとは判断できません。
しかし身体を見る際には、「その動作が一度できるか」だけでなく、「動作を繰り返した後にも同じように身体を使えているか」という視点も必要になります。
6.なぜ肉離れを経験した人は再び傷めることがあるのか?

肉離れについて考えるうえで避けて通れないのが「再受傷」です。
「以前と同じ場所をまた肉離れした」
「何年かおきに同じ太ももの裏を痛める」
という経験がある方もいるのではないでしょうか。
研究でも、過去にハムストリング損傷を経験していることは、その後のハムストリング損傷と関連する重要な要素の一つとして報告されています。
ただし、ここでも「古傷が残っているから再発する」と単純に考えないことが重要です。
再受傷を一つの原因だけで説明しない
肉離れを繰り返す理由を、
「筋肉が硬いから」
「柔軟性がないから」
「筋力が弱いから」
「瘢痕が残っているから」
と一つだけに決めてしまうと、実際の身体で起きていることを見落とす可能性があります。
肉離れについては、過去の損傷歴だけでなく、筋力、スポーツで求められる動作、高速走行への適応など、さまざまな要素との関連が研究されています。
つまり、肉離れは「ここが硬いから傷めた」という一つの答えだけで説明できるものではありません。
痛かった場所だけを見るのではなく動作を見る
例えば右のハムストリングを肉離れしたことがある方なら、右の太ももの裏だけを触って硬さを確認すれば十分なのでしょうか。
実際に走るときには、股関節が動き、膝が曲げ伸ばしされ、足が地面に接地し、反対側の脚も同時に動きます。さらに骨盤や体幹も、その動きに合わせて働いています。
だからこそ当院では、昔の肉離れについて相談を受けた場合でも、痛かった筋肉だけではなく、その筋肉を実際の動作の中でどのように使っているのかを見ることが大切だと考えています。
7.昔の肉離れから「現在の身体の使い方」まで確認する

学生時代に肉離れをしたのが20年前だったとします。
20年間ずっと太ももが痛かったわけではなく、普通に仕事をして、歩いて、旅行に行き、運動もできていたのであれば、「20年前の肉離れが今の症状の原因です」と結びつけることはできません。
むしろ確認したいのは、過去に何があったのかと、現在どう動いているのかを分けたうえで、その両方を見ることです。
「いつ・どこを・どのように傷めたか」
当院では現在の痛みだけでなく、過去のケガについても確認することがあります。
何のスポーツをしていたのか。どのような動作で肉離れしたのか。左右どちらだったのか。何回くらい繰り返したのか。どの程度休んで、どのように運動へ復帰したのか。
こうした過去の情報とともに、現在の立ち方や歩き方、股関節・膝・足首の動き、片脚で身体を支えたときの状態などを確認していきます。
例えば現在腰が痛い方に昔のハムストリングの肉離れがあったとしても、「肉離れが腰痛の原因」と最初から決めるのではありません。
昔肉離れした側が現在どのように動いているのか、反対側との差はあるのか、股関節や膝を含めて身体全体でどのように動作を行っているのかを見ることが大切です。
痛みがなくなった後まで身体を見る
肉離れは、痛みが強かった時期だけに注目されやすいケガです。
しかし身体を考えるうえでは、
「傷めた瞬間」
「組織が修復していく期間」
「痛みが少なくなった時期」
「運動を再開した時期」
「現在どのように身体を使っているか」
まで時間軸で考えてみることが重要です。
昔の肉離れがあるから、現在の身体が悪いということではありません。
一方で、何度も同じ側を傷めている、運動するといつも片側だけ張る、昔肉離れした側の脚を使いにくい感じがするなど、気になる状態が続いているのであれば、痛かった場所だけではなく現在の動作まで一度確認してみる価値があります。
昔のケガだけを見るのでも、今痛い場所だけを見るのでもなく、「過去のケガから現在の動きまで」をつなげて身体を見る。
大分駅前整体院では、このような考え方を大切にしています。
次回の第2回では、スポーツで非常に多い「足首の捻挫」について取り上げます。
「昔の捻挫だから関係ない」と思っている足首で、痛みがなくなった後にどのような機能変化がみられることがあるのか。足首の感覚やバランス、歩行などとの関係を含めて詳しく説明していきます。


