Mybestpro Members

西田英治プロは長崎文化放送が厳正なる審査をした登録専門家です

コラーゲンで結ばれる「美肌」と「歯周病」の意外な関係

西田英治

西田英治

テーマ:美肌、コラーゲン、歯周病

今回のコラムでは少し歯医者らしく、歯周病のお話を。
歯周病は歯ぐき(=歯肉)におこる「炎症」のことです。「炎症」の原因は歯周病を引き起こす「歯周病原性細菌」ですので、歯周病治療にも予防にも、しっかり歯磨きを!ということを歯医者さんから勧められるのもそのためです。一方で、歯ぐきという組織が何でできているかと言えば、その大半はコラーゲン線維で、概ね皮膚と同じです。また、皮膚コラーゲンも歯ぐきコラーゲンも新陳代謝を繰り返しているという点でも似通っています。
 そこでコラーゲンについて細かくお話しすると、例えば、「お肌プルプル」「もちもち肌」を目指して「コラーゲン鍋」を食べたことがある方もいらっしゃるかと思います。皮膚での代謝が良ければ、鍋を食べた次の日には「肌感」や「化粧のノリ」といった実感できる効果があるのではないでしょうか?もちろん、あまり効果が感じられないという方もいらっしゃると思います。ではその理由はどこにあるのでしょうか?
 そもそも、皮膚や歯ぐきのコラーゲンは3本の紐状の線維が束なってできたものです。作り手は線維芽細胞という細胞なのですが、3本の紐を作るまでにも様々な工程を経ています。コラーゲン作りの材料と言われるのは「アミノ酸」で、この「アミノ酸」同士をくっつけて「ペプチド」と呼ばれる短い紐を作っていきます。そして、このアミノ酸同士をくっつけるのを「ペプチド結合」というのですが、実は、この「ペプチド結合」が1か所作られるたびに水(H2O)分子が1個出来ているのです。
 チョット話はそれますが、「プルプル」「もちもち」などうらやましいと思える肌の持ち主の代表を想像して!と言われて真っ先に思いつくのは誰でしょうか?答えは様々かもしれませんが、「赤ちゃん」と答えて異論を唱える人はいらっしゃらないと思います。また、「プルプル」「もちもち」を言い換えると「みずみずしい」ともいえるのではないでしょうか?赤ちゃんは成長のためにも新陳代謝が活発ですのでコラーゲンも多く作ります。コラーゲンを多く作るということは「水」をたくさん含んだ肌を作っているということです。赤ちゃんの肌が「プルプル」「もちもち」なのはその理由です。最初のコラーゲン鍋に話を戻すと、コラーゲン鍋=アミノ酸のもと、つまりはコラーゲンの材料を食べることにより、皮膚でのコラーゲン作りに結び付けば肌の変化を実感できるでしょうし、コラーゲンを食べても「消化」→「吸収」→「皮膚へ運搬(毛細血管)」→「皮下でのコラーゲン作り」のどこかで障害が起これば実感は乏しいということになってしまうという訳です。(因みに、アミノ酸をくっつけるのは「皮下でのコラーゲン作り」の工程)
 では、歯周病との関連は?というと、ちゃんとプラークコントロール出来ているのに検査すると歯ぐきから出血しやすい、悪玉菌は少ないのに歯周病は進行しやすいなどの傾向にある患者さんが中にはいらっしゃいます。このような口の中の状態はコラーゲンリッチで丈夫な歯ぐきでない証拠かもしれませんので、そういった患者さんには体調(貧血など)の問診やコラーゲン作りに関係する「栄養素・サプリメント」についての相談・指導を行うこともあります。
「歯ぐき」は口の中に隠れていていることもあり、どうしても粘膜の一部としての印象が強いかもしれませんが、歯ぐきに関しては構造的にも皮膚と似通っているため肌感覚と同様に歯ぐきからの出血や歯周病の進行具合についても気を付けた方がいいように当院では考えています。
 そこで今後は「美肌&健康歯肉」を目指して、コラーゲン作りの工程(「消化」→「吸収」→「皮膚へ運搬(毛細血管)」→「皮下でのコラーゲン作り」)別にコラーゲン作りに役立つ栄養素やミネラルなどの情報についてお伝えする予定です。
 最後にもう一つ余談を:「睡眠不足はお肌の大敵」という言葉がありますが、なぜ、お肌の大敵かと言うと、コラーゲン作り(=新陳代謝)は寝ている間に行われるため睡眠不足ではそもそも作れないという理由が大きいのですが、別の理由としては質の悪い睡眠では腸で吸収したアミノ酸を皮膚の隅々の細胞まで毛細血管を使っての運搬ができない、逆に皮膚でできた老廃物(くすみの原因?)の回収もできないといった理由からです。そこで、毛細血管を使って末梢(カラダの隅々)まで「酸素」「栄養」「免疫細胞」などをしっかり届けるために気を付けて頂きたいのが「副交感神経」という訳で8月頃の免疫シリーズでお伝えした内容につながっています。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

西田英治
専門家

西田英治(歯科医)

にしだ歯科医院

全身(カラダ)へ影響を与える口腔環境として①機能、②細菌、③栄養の3つの視点からのアプローチによりカラダの「健康」維持・増進をサポート致します

西田英治プロは長崎文化放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

「噛み合わせ」から健康へ導く「健口」のプロ

西田英治プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼