免疫力を上げる「〇〇〇」習慣
前回のコラムでは、副交感神経に注目して過ごしていただくことが「免疫力を上げる」ために役立つことをお伝えいたしました。今回は、「なぜ副交感神経」なのか?というところまで詰めてみたいと思います。(理由やメカニズムがわかると、ご自身の実生活の中でも応用が利くと思います。難しいとは思いますが是非読み進めてください。分からなければ、Facebook等のリンクやメールにてお気軽にご質問ください)
まず、副交感神経についてご説明いたします。副交感神経とは自律神経の一種です。大きなカテゴリーとして自律神経があり、自律神経には交感神経と副交感神経があるという構図です。また、交感神経と副交感神経はよくシーソーの関係にたとえられます。一方が優位(高い位置にあるとき)、もう一方は低い位置にあるといった具合です。
そもそも、自律神経とはその名が示す通り、「自律」して働いており、ヒトが意識してコントロールしているわけではなくご自身の脳の判断で自動的にコントロールしている神経になります。たとえとして分かりやすいのは心拍数や呼吸数だと思います。1分間に何回心臓を動かして、血液を全身に巡らせよう!とか、1分間に何回呼吸してフレッシュな空気を吸って、酸素を脳に届けよう!なんて誰も考えないですよね?普段はみんな考えないで、無意識のうちに自動的に働いているのが自律神経というわけです。そして、自律神経のうち、「興奮しているとき」「極度の緊張やストレス時」に働く(優位になる)のが『交感神経』で、「リラックスしているとき」「睡眠中の一部」が『副交感神経』というわけです。
交感神経が優位=興奮しているときにはドキドキして、心拍数が上がると思います。また、息も荒くなり、口でゼエゼエ、ハァハァなんてこともあると思います。逆に副交感神経が優位=リラックスしているときには心拍数も落ち着いて、顔が紅潮するなんてこともないと思います。また、呼吸もゆっくりとしており、鼻息が荒いなんてこともないと思います。
「交感神経」と「副交感神経」には、もう一つ大きな特徴があります。それは、年齢とともに「副交感神経」の働きは低下しているということです。(一説では、男性では30歳、女性では40歳ごろから低下する一方と言われています)。繰り返しますが、「副交感神経」だけが低下するというところが重要なポイントです。そして、「自律神経失調症」や「更年期障害」をはじめとした自律神経のバランスにかかわる疾患はもとより、様々な生活習慣病、「がん」に至るまで様々な疾患についても、この副交感神経の低下が影響しているのでは?と考えています。(「がん」については機会を作って、別途ご説明いたします)
話を元に戻すために、前回のコラムでお伝えした「毛細血管括約筋」を思い出してください。(細)動脈から毛細血管へ血液が流れる際に、その調整を行っているのが「毛細血管括約筋」で、この括約筋は副交感神経が優位になると緩んで、血液の流れがよくなるということでした。毛細血管にはもう1つ裏話があって、成人の血管の総距離は10万キロ(地球2周半)と言われています。さらに、そのうち、毛細血管は99%(私が調べた書籍等の中で最低の表現でも95%)を占めると言われています。その毛細血管への入り口で調整している「毛細血管括約筋」、この括約筋を緩めることでそれぞれの臓器や組織、末梢へ
・酸素を多く含んだ血液
・栄養をたくさん含んだ血液
・「監視、攻撃能力=免疫力」のある免疫細胞
を十分に届けてあげることが免疫力のアップにつながるのでは?というのが今回ご説明している核心です。
ここまで、ずいぶんな長文となりましたがしっかりご理解いただいた方は「じゃあどうしたらいいの?」「そもそも自律神経だから自分の意志でコントロールできないのでは?」と思われるかもしれません。実際に副交感神経が優位な状態を作ろうとしたら、リラックスしているとき、リラックスタイムを長くとることがおススメで「食事をしているとき」や「寝ているときの一部」「笑ってるとき」などの時間を増やすことが挙げられるのですが、長時間食事するわけにもいかず、ずっと寝てられないし、お笑いのビデオをずっと見て過ごすわけにもいきません。そこで私からオススメする唯一の方法が「呼吸」です。
「呼吸」と言っても副交感神経を優位にするような特殊な呼吸です。(当院では機能的鼻呼吸と呼んでます)。次回のコラムにて、機能的鼻呼吸の方法についてご紹介いたします。