「自分を犠牲にすること」の落とし穴

松尾聡子

松尾聡子

テーマ:生きづらさ

自分より他の誰かを優先して
ついつい自分を犠牲にしがちで
虚しくなってしまう・・・

そんなふうに感じること
ありませんか?

たとえば、自分のことよりも
子どもや夫の用事を優先してしまう。

みんなが居心地よく暮らせることが
母として、妻として、
自分の仕事であり、喜びだから。

そういう人は、責任感が強くて
さらに、相手に優しく、
自分に厳しい人かもしれません。

それは、とても
ステキなことだと思います。

でも、そればっかりだと
正直、つらくなってしまうものです。

今日は、そんなつらさから
抜け出す方法をお伝えします。




●子どもを優先して、自分を犠牲に

以前、知り合いのMさんから
聞いたお話です。

Mさんは、久しぶりに会う
お友だとの約束を
すごく楽しみにしていたそうです。

でも、前日にお子さんから
「明日、部活の試合が決まったから
会場まで車で送っていって」

と頼まれてしまいました。

さらに、AくんとBくんも
親が用事があって行けないから
一緒に乗せて行ってほしいと言われました。

Mさんは、自分が行かないと
息子だけでなく、AくんとBくんも困ってしまう・・・

ということで、
自分の楽しみをあきらめ、
お友だちとの約束をキャンセルしたそうです。

「久しぶりの友だちとの約束も叶わない、
そんな自分の人生って何なんだろう・・・」

そう思うと、
すごく虚しくなってしまった、
と言っていました。



●見落としている大事なこと

Mさんの選択について
「わかるわかる!」と共感した方もいれば

「ん?」と、なんとなく
違和感を持った方も
いらっしゃるかもしれません。

じつは、Mさんがひとつ
見落としていることがあります。

それは
「自分ばかり犠牲になっている」
と思っているために

「約束していたお友だちを犠牲にしている」

ということが
すっぽり抜けている、ということです。



●「自分」ではなく「誰か」を犠牲にしているとしたら

お友だちも、Mさんとの会う日を
楽しみにして

他の用事があっても
「この日は予定があるから」と
空けてくれていたはずです。

それを、いきなり
「子どもを送っていかなくちゃいけないから」

と、前日に
ドタキャンされてしまったわけです。

もちろん「私との約束が先でしょ」なんて
言わないでしょう。

それで無理やり会ったとしても、
きっと楽しくないでしょうから。

でも、お友だちはきっと

「私との約束って、Mさんにとっては
その程度のものなんだな」

と、自分の存在を軽んじられた、
大事に扱われなかった、
そう感じたかもしれません。

つまり。

自分を犠牲にすることで、
知らず知らずのうちに
他の誰かを犠牲にしている、

ということもあるのです。



●それは、ほんとは誰の問題?

ちなみに
AくんのママもBくんのママも
自分の予定を優先しています。

急に決まった試合に対応するために
お母さんたちは
常に用事を入れずに待ってなくてはいけない、

ということはないわけです。

もし、それで
誰も会場に送ってくれる人が
いなかったとしても

それは、急に試合を入れた
部活の顧問が考える問題です。

そもそも、Mさんが
車を持っていなかったら、

あるいは、家に車があっても
ペーパードライバーで運転できなかったら、

あるいは、運転できたとしても
車を修理に出していて使えなかったら、

子どもたちは
どうしたんでしょうね?



●自分を犠牲にする以外の選択肢がある

自分を犠牲にして
相手のためにしていることが、

自分以外の
誰かの犠牲の上に
成り立っていることもあります。

そこに想いを向けてみると、
違った景色が見えてくるかもしれません。

そうすると、
自分を犠牲にするだけですませない、

新しい選択肢が
きっと見つかるはずです。

自分を犠牲にすることなく、
自分を大事に扱うことが、

結果的に、自分の周りの人を
大切に扱うことになる、と考えると

「自分を犠牲にしなくては」の呪縛から
ちょっと抜け出せるかもしれません。

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松尾聡子
専門家

松尾聡子(カウンセラー)

Le Port(ル・ポール)

聞いて終わりではない、変化を起こすカウンセリング。知識だけではなく、実際に普段の生活ですぐに役立つ心のスキルを伝える講座。

松尾聡子プロは長崎文化放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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