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鴇田誠治

遺言書作成と相続手続きのプロ

鴇田誠治(ときたせいじ) / 行政書士

社会保険労務士・行政書士 ときた事務所

コラム

意外に難しい!不動産の相続

2015年12月23日 公開 / 2020年6月30日更新

テーマ:相続のこと

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

相続財産と聞かれて、まず頭に思い浮かぶのは、預貯金と不動産(土地・建物)ではないでしょうか。

さて、その不動産の名義人ですが、大抵の場合「父親」が多いのではないかと思います。

そして、その不動産を相続をするのは「母親と子供」となるケースが比較的多いかと思います。

そこで今回は、このような「母親と子供が相続人」のケースにおける不動産の相続について考えてみましょう。

相続する不動産が自宅(子供から見れば実家)である場合


相続する不動産が自宅(子供から見れば実家)である場合、どのように考えればいいのでしょうか?

この場合(実家を相続する場合)には、次の3つパターンが最初に検討されるでしょう。

(1)実家に居住している母親が単独で相続する

(2)親の世代を飛ばして子供が相続する

(3)親と子供が共同で相続(共有名義に)する

(1)実家に居住している母親が単独で相続する


まず(1)の場合、母親としては「自分が住んでいる家なのだから自分の名義にしておきたい」という気持ちになることもあるでしょうし、子供の世代としては「現時点では、将来的に実家をどうするか決められないので、とりあえずお母さんの名義にしておこう」ということもあるかもしれません。

これまでどおり親名義の家には違いないため、子供たちの間で不公平感も生まれません。ある意味「平和的解決」といったところでしょうか。

特に大きいデメリットはありませんが、あえて挙げるとすれば、母親の相続のときに、再度登記費用がかかるということです。

このデメリットを重視して、何度も手続きをするのは面倒だし、費用がもったいない、となれば(2)を検討することになるでしょう。

(2)親の世代を飛ばして子供が相続する


相続人が母1人と子1人の計2人だけであれば、いずれはその子供の名義になるのですから何ら問題はないと思われます。

しかし、子供が複数人いる場合、誰の名義に相続するかは「将来的にその実家をどう扱うか」によって考え方が変わってきます。

(2-1)実家を引き継ぐ子供がいる

(2-2)子供たちはそれぞれ家を建てているので実家には帰らない。いずれは売却を検討する。

(2-1)実家を引き継ぐ子供がいる


さて、(2-1)の場合、子供達の間で不公平が生じます。この不公平に納得できれば何も問題はありません。

不動産は相続しないけれど法定相続分は保証してほしい、ということになれば、不動産を相続しない人に「相続分に相当する代償金」を支払うことになります。

「相続分に相当する代償金」を計算するベースになるのは、基本的には「時価」、そうでなければ土地であれば「路線価額を元に算出した評価額(相続税評価額)」または「固定資産税の評価額」となります。

一般的に「 時価 > 相続税評価額 > 固定資産税評価 」の関係にありますので、どの価格を選ぶかによって、代償金の額は変わってきます。

ここで、不動産の他に預貯金が相続できる場合に、その預貯金の残高が不動産を相続しない人の相続分を満足できる残高であれば、不動産を相続する人は預貯金を相続しないという選択をすれば代償金の問題は生じません。

ところが、相続分を満足できる残高がない場合には、不動産を相続した人自身の保有財産から支払うことになるでしょう。

(2-2)いずれは売却を検討する。


次に(2-2)の「いずれば売却」というケースです。

「とりあえず母親の名義にするが、将来は売却」というケースも同様です。

売却は子供世代の名義になってからとなりますが、この場合には、可能であれば「共有名義(共同所有)」を検討してもいいでしょう。

共有にする場合、子供の頭数でその持ち分を割り振ります。

2人なら「2分の1ずつ」3人なら「3分の1ずつ」となります。

そして、売却した場合には、売却代金をその持ち分に応じて受け取ることとなります。

これは「換価分割」という遺産分割の方法です。

とりあえず長男の名義にしておいて、売れたら次男に売却金の半分を支払うという取り決めをしていた場合、次男にお金が移動した時に「贈与税」の対象になる可能性がありますのでご注意を。

贈与税の対象にならないようにこのような取り決めをするのであれば、遺産分割協議の際にそのことの取り決めをし、遺産分割協議書に記載しておく必要があります。

これは「代償分割」という遺産分割の方法です。

なお、いずれの場合にも、不動産を売却したことによる「譲渡所得税」が課税される場合があります。

譲渡所得税との関係については、また改めてご説明しましょう。

(3)親と子供が共同で相続(共有名義に)する


最後に(3)の親と子供が共同で相続(共有名義に)するケースです。

いろいろな事情があってこのケースを選択することもあるかと思いますが、個人的にはあまりお勧めはできません。

「もともと父親と子供の共有名義の不動産」について、父親が亡くなったため「父親の持ち分を母親が相続した」状態の不動産は

たまに見かけますが、あえて親と子供が共同名義にするという方法の合理的なメリットはないように思われます。



ここまで、一般論としてご説明致しましたが、相続税の課税対象になる場合や、自宅以外にも不動産や財産がある場合などには、ここでお示しした考え方がそぐわないことも多いにございます。

どのように相続するのがベターなのかについては、それぞれの家族の状況や資産の保有状況で千差万別です。

不動産の相続でお悩みの方は、どうぞ弊社の無料相談をご利用ください。

※本コラムにおける記載事項は、各テーマについて一般的な概要を述べた個人的な見解であり、実行にあたっては専門的な知識を要します。本コラムの閲覧者が、これに基づき被った損害等について、一切の責任を負いません。 また、個別的な内容については、お答えしかねる場合がありますのでご了承ください。

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