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鴇田誠治

遺言書作成と相続手続きのプロ

鴇田誠治(ときたせいじ) / 行政書士

社会保険労務士・行政書士 ときた事務所

コラム

自宅を妻に贈与した場合、税金はどうなりますか?

2015年8月31日 公開 / 2020年6月30日更新

テーマ:相続対策のこと

コラムカテゴリ:法律関連

私名義の土地・建物を、今のうちに妻へ名義を変更したいのですが税金などはかかりますか?

配偶者への贈与は2000万円まで非課税

夫婦間には、居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除の特例があります。

この特例を適用できる条件が整っていれば、贈与税を0円で名義変更は可能です。

具体的には、居住用不動産の現物の課税価格、または購入(建築)資金のうちの2000万円までは非課税となります。

暦年課税の方式を選択していれば、年間に110万円の基礎控除がありますので、特例の2000万円と基礎控除の110万円を合計した2110万円までは、非課税で配偶者に贈与することができます。

ご質問の土地建物の評価額が2000万円以下であれば非課税になる可能性がありますが、以下の条件を満たす必要があります。

配偶者控除の条件

・夫婦の婚姻期間が20年以上経過したのちの贈与であること

※婚姻届出の日から贈与までの日で計算します。

※婚姻期間は連続である必要はないので、同じ人と一度離婚して再婚した場合でも、通算で20年以上であれば適用されます。

・自分が住むための居住用不動産そのもの、または居住用不動産を取得するための金銭であること

※住宅の敷地だけの贈与でも対象になります。今現在夫婦で住んでいるマイホームの敷地だけを妻のものにするということもできます。

※持分の贈与や増改築資金の贈与、借地権の購入資金の贈与も可能です。

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した居住用不動産にもらった人が現実に住んでいて、その後も引き続き住む見込みであること

※事情があり翌年の3月15日までに居住できない場合でも、一定の条件を満たせば、実際は住んでいなくとも適用を受けることができます。

・同一夫婦間において、以前に、この配偶者控除の適用を受けていないこと。

・贈与税の申告書を提出すること

これらの条件をすべて満たす必要があります。

ただし、以下の諸費用がかかります

・不動産取得税・・・課税標準額×3%(平成30年3 月 31 日までの軽減税率、本則4%)

※宅地の課税標準(固定資産税評価額)を2分の1に軽減できます。(平成30年3月31日まで)

※相続による取得の場合は不動産取得税はかかりません。

・登録免許税(登記)・・・固定資産評価額の2%

※相続時の登録免許税は0.4%の税率です。

贈与する土地家屋の評価額にもよりますが、おおよそ50万円から100万円程度は経費が掛かる可能性もあります。

相続税の3年以内贈与財産として加算しません

相続開始3年以内に相続人に対する贈与があった場合、その贈与した金額を相続税の計算において加算しなければならないのが原則です。

しかし、贈与税の配偶者控除の適用を受けた部分の金額については、相続税の計算において加算しなくても良いことになっています。
 
簡単にいうと、相続税が課税される財産を減らす結果になり、相続税の計算においてもメリットがあります。

贈与が無効になることもあります

差押えから逃れることが本当の目的で、名目上、配偶者に財産を移転するような贈与は、詐害行為として後から無効とされることがあります。

故意にではなく、例えば資金繰りが厳しく債務超過になっているような経営状況において贈与をしたとしても、その贈与のタイミングによっては、この贈与は詐害行為であるとして債権者から贈与の取り消し請求をされる場合もありますので、債務を抱えている状況などの場合にはこのようなことにも配慮して、贈与を検討する必要があります。


居住用不動産の配偶者の贈与の特例は、相続税対策としてもメリットの大きい特例ですが、適用条件に該当するかどうかや、諸費用がどの程度かかるのか、詐害行為に該当しないかどうかなど難しい面も多々ありますので、配偶者への贈与をご検討している方は、事前に私共へご相談いただいて、確実な方法を選択してください。
 

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