意外に難しい!不動産の相続
A.相続手続きには期限のあるものもあります
3ヶ月以内 : 相続放棄・限定承認
相続放棄と限定承認は、「相続の開始があったことを知ったとき」から3か月以内に手続きをしなければなりません。
相続財産を調べてみたら借金などの「マイナスの財産」が預貯金や不動産などの「プラスの財産」を上回っていて、受け取った財産よりも、返済する金額のほうが大きいことが明らかな場合には、相続放棄を検討します。
また、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合もありえます。
このような場合に、相続した債務(マイナスの財産)を相続した積極財産(プラスの財産)から弁済して、マイナスの方が大きい場合でも、相続人自身の財産から持ち出してまで返済はしません、というのが限定承認です。
どちらの手続きも、家庭裁判所での手続きが必要になります。
4ヶ月以内 : 準確定申告
準確定申告は、「相続の開始があったことを知ったときから4か月以内」に申告と納税をしなければなりません。
被相続人が死亡した場合、故人は確定申告が出来ませんので、相続人が代わって確定申告をしなければなりません。
これを「準確定申告」といいます。
ただし、すべての人に準確定申告が必要なわけではなく、被相続人に確定申告の必要があった場合となります。
具体的には、被相続人が個人事業主であった場合や、不動産所得や譲渡所得があった場合などです。
なお、準確定申告は被相続人の死亡当時の納税地の税務署に申告します。
10ヶ月以内 : 相続税の申告
相続税の申告は、「相続の開始があったことを知ったときから10ヶ月以内」に申告と納税をしなければなりません。
相続財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に相続税の申告をする必要があります。
基礎控除額は次の式で計算された金額となります。
(1)平成26年12月31日までに相続が開始された場合
5000万円+(法定相続人の数×1000万円)
(2)平成27年1月1日以降に相続が開始された場合
3000万円+(法定相続人の数×600万円)
被相続人が亡くなった時期によって金額が異なりますのでご注意ください。
1年以内 : 遺留分の減殺請求
民法では、法定相続人が必ず相続することができるとされている最低限の相続分(=遺留分)が保証されています。
万一、遺言等によって遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、遺留分を侵した相手に対して相続の開始から
1年以内に「遺留分の減殺(げんさい)請求」を行うことで、これを取り戻すことができます
これら以外の人は特に期限はありません!
相続放棄等をせず、準確定申告も相続税の申告も必要とせず、遺留分も問題にならない方は、相続手続きに特に期限はありませんので慌てる必要はありません。
ただし、期限がないからといって何十年も手を付けずに放っておいても仕方ないですし、その間に相続人が認知症になって判断能力が無くなってしまったり、相続人が亡くなって相続人(代襲相続人)が増えてしまうことも考えられます。
このようなことにならないよう、できるだけ速やかに手続きを終えてしまうのが最善かと思われます。
以上、期限のある手続きについてお話いたしましたが、全部を行うわけではありません。
ただし、知らなかったでは済まされないのが、この期限のある手続きです!
もしも、日程が迫っているが、時間の調整が着かないという方は、すぐにお問合せください。