組織育成が上手くいっている会社は成功する

小野由樹子

小野由樹子

テーマ:組織基盤を強くする会社づくり

「社内での連携がうまくいかない」「部下が育たない」「誰が何をしているのか、把握できていない」など、組織運営における課題や悩みを抱えている方は少なくないと思います。そういった課題には「組織力」や「組織育成」が深く関わっています。

今回は、経営者や管理職の方に向けて、組織育成についてお伝えします。

組織力とは

組織力とは「成果を出し続けながら、組織が自分たち自身で成長できる力」です。

逆に言えば、組織力がない組織は成果を上げることができず、自分たちで考えることをしない集団です。こういった組織は組織としては成り立っておらず、ただ群れている集団にすぎません。

組織力がきちんとある組織であれば、会社から方針や方向性が示されれば、自分たち自身で考え動くことができるようになります。そうすると成果をしっかりと上げられるようになり、組織自自体が自分たちの力で成長・進化することができるのです。

こういった観点から、組織力を育成することは組織運営にとって重要なことです。

組織育成のうまくいっている組織の特徴

先述のように、組織育成は成果を上げるためにもとても重要です。それでは具体的にどういった組織であれば「組織育成がうまくいっている」と言うことができるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

(1)社内コミュニケーションが取れている
正社員・契約社員・非正規雇用者・外国人社員など、職場にはさまざまなタイプの人が働いているかと思います。

そういった社員同士で、一体どれくらいのコミュニケーションが取れているでしょうか?
また上司は自分の部下について、一体どれだけのことを知っているでしょうか?

組織育成がうまくいっている組織は、コミュニケーションが活発で、成果につながる環境が整備されています。

(2)モチベーションが高い
仕事をする上で成果を出そう・出し続けようとすると、社員がモチベーションを持っているかどうかは非常に重要です。

しかし「仕事が好きでたまらない」という部下はごく少数でしょう。だからこそ、上司や管理職は、部下にモチベーションを上げるための施策を考えなくてはなりません。組織育成がうまくいっている組織は、こういった取り組みが積極的に行われ、社員のモチベーションも高いと言えるでしょう。

(3)上司と部下の間で信頼関係が構築されている
仕事をする上で、上司と部下は信頼関係を構築することが重要です。信頼できない上司のもとで働くことほど、部下にとって辛いことはありません。また上司や管理職にとっても、信頼関係が構築されていない部下には、仕事を任せることができなくなります。だからこそ、信頼関係を築き、互いに気持ちよく働ける環境づくりが大切なのです。

組織育成がうまくいっている組織は、上司と部下の間でコミュニケーションが十分に図られ、信頼関係が構築できています。

組織力アップにはコミュニケーション・モチベーション・信頼関係

それでは組織を育成するためには、どのような施策が有効なのでしょうか?それぞれ見ていきましょう。

(1)積極的にコミュニケーションを取る
社内でのコミュニケーションは大きく2つに分かれます。

1つ目は「上司と部下などの間で行われるコミュニケーション」で、2つ目は「チーム内や部署間などで行われるコミュニケーション」です。組織力をアップさせるためには、どちらのコミュニケーションも大事にしなくてはなりません。

上司と部下の間でうまくコミュニケーションを取ることができれば、会社内での連絡事項や伝達事項もスムーズに伝わるようになります。また管理職や上層部が何を考えているかがわかるようになり、部下にとっても働きやすい環境となるでしょう。

またチーム内や部署間でのコミュニケーションが増えれば、会社内や組織内に一体感が生まれます。そういった一体感が新しいアイデアを生むきっかけになります。

部署間などのコミュニケーション活性化のために「フリーアドレス制」を導入している企業もあります。「フリーアドレス制」とは、自分のデスクを持たずに、自分が希望する席で自由に仕事をする制度です。こういった制度を導入することにより、今まで接点がなかった人同士に交流が生まれ、コミュニケーションが活発になります。

(2)モチベーションの向上を図る
組織力アップのためには、社員のモチベーションアップも欠かせません。モチベーションが低い社員が周囲に与える影響は大きく、そういった社員がいるだけで組織内の雰囲気が悪くなってしまいます。そのような状況を作らないためにも、社員のモチベーション向上に努めましょう。

モチベーションを上げるためには、以下のような施策が有効です。

□チームや組織が進むべき道をしっかりと示す
□部下を信じて仕事を任せる
□サンクスカードやピアボーナスなど、小さな成果や貢献に対しても感謝を伝える

まずチームや組織の目標やゴールを明確にしましょう。これらが明確になっていることで、日々何のために仕事をしているのかがわかるようになり、モチベーションを維持することができます。

次に、部下を信じて仕事を任せてみましょう。上司は部下の仕事を取り上げるようなことがあってはいけません。部下に仕事を任せることにより、部下は「上司や管理職から信頼されている」と自分に自信を持てるようになり、モチベーションがアップします。

小さな成果や貢献に対して感謝を伝えることもモチベーションにつながります。誰かを評価するときには、大きな成果に目が行きやすく、小さな成果や貢献に対しては目が行きにくいものです。

しかしそこにもしっかりとスポットライトを当てることにより、部下のモチベーションを上げることができます。

社員同士でサンクスカードを送り合う、ピアボーナス制度を作るなどが有効です。ピアボーナス制度とは、日々の成果や貢献に対してボーナスを送り合う制度のことです。たまったポイントは現金やギフトカードに交換できるなど、ちょっとした工夫で仕事に取り組む気持ちに変化が生まれます。

(3)上司と部下の間で信頼関係を構築する
部下が気持ちよく働ける環境にはいろいろな要素がありますが、上司と部下の間で信頼関係を構築することは非常に重要です。そのためには「1 on 1 meeting」を導入するなど、上司と部下でコミュニケーションの時間を作りましょう。

「1 on 1 meeting」とは、上司と部下で面談や会話をする時間を作り、仕事のことだけでなくプライベートについても話すことです。そんなに長い時間を取る必要はなく、1回あたりは10分程度で構いません。そういったコミュニケーションを通して上司は部下の考えや立場を理解することができ、部下は上司に対して安心感を持てるようになります。


組織育成がうまくいっていない組織は、ただ群れている名ばかり組織になってしまいます。そういった組織では当然ながら、成果を上げ続けることはできません。今回ご紹介したようなことを参考に、日々の業務を見直してみましょう。

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