社員のやる気を引き出して、業績を上げる
「どうすれば、仕事のモチベーションを持続することができるのか」
組織や部下をマネジメントする上で、避けては通れない問題です。仕事へのモチベーションが低下すると「離職率が上がる」「仕事の質が落ちる」「組織全体の士気が下がる」といった問題が出てきます。このような組織は、成果を出せず衰退していきます。
今回は、モチベーションを持続させるポイントについてお話しします。
仕事に取り組むモチベーションとは
小さな目標でも大きな目標でも、原動力がなければ達成することはできません。そして、目標を達成するための原動力になるのがモチベーションです。
仕事におけるモチベーションとは、仕事へ取り組む姿勢・会社への貢献意識の度合いです。モチベーションが高い社員であれば、自らの能力を活かしながら、真摯に仕事に向き合って成果を挙げることができます。しかしモチベーションが低い社員は、その態度・発言・作り出す雰囲気によって職場全体の空気を悪くしてしまいます。社員のモチベーションを管理することは、組織全体の成果につながってくるのです。
また、モチベーションには「(1)内的報酬」と「(2)外的報酬」があります。
「(1)内的報酬」は、やりがいや達成感、仕事の面白さなど、仕事そのものに対する思いです。
「(2)外的報酬」は、給与やボーナス、会社の知名度など、本人以外が仕事に与える影響です。
どちらもモチベーション維持には欠かせない要素で、これらを満たすことができたとき、モチベーションの維持・向上を図ることができます。
人間の5つの欲求に基づいてモチベーションをひもとく
アメリカの心理学者・マズローは、人の欲求を5段階あると説いています。これをもとにモチベーションについて具体的に見ていきましょう。
【マズローが唱えた、欲求5段階説】
第一階層:生理的欲求(食べる・寝るなど生きるための基本的な欲求)
第二階層:安全欲求(健康かつ安全に生活したいという欲求)
第三階層:社会的欲求(社会に参画し、帰属したいという欲求)
第四階層:尊厳欲求(周囲の人々に認められたいという欲求)
第五階層:自己実現欲求(自分が望むように生きたい・自分らしくありたいという欲求)
第一、第二階層は物質的な欲求であり、第三~第五階層は精神的な欲求となります。
この理論を仕事に当てはめると、どうなるでしょうか?
まず物質的な欲求でいえば、安全で快適に働くことができる職場環境や法を遵守した勤務時間などが挙げられます。これらが整備されていない職場では不満が生まれ、モチベーションを維持・向上するのは難しいと言えるでしょう。
次に精神的な欲求でいえば、会社や組織に属しているという帰属意識の醸成、良好な人間関係の構築が挙げられます。さらに、自分自身が行った仕事に対して正しく評価され、周囲から感謝・尊敬されるなど、自己の成長を実感できることも重要な要素です。
これらの欲求は、仕事のモチベーションを維持・向上する上で大きな役割を果たします。ただし、どの欲求を大切にしているかは、人により異なります。画一的な指導はせずに、ひとりひとりと向き合って、どの欲求を大事にしているのか把握しましょう。
モチベーションを維持するための方法
ここからは、経営者を含め、働く人たちがモチベーションを維持していくためのポイントをご紹介します。
(1)小さな目標を設定する
いきなり大きな目標に立ち向かうのは難しいので、小さな目標を設定することをおすすめします。日々やるべきことが明確にし、コツコツとクリアした上で、その先にある大きな目標達成を目指しましょう。
(2)目標とする人物を見つける
目標となる人物・尊敬できる人物、ライバルを見つけることもモチベーションを維持する上で重要です。仕事への張り合いが生まれ、モチベーションを維持しやすくなります。
(3)仲間を見つける
1人ではできないことも、仲間がいれば乗り越えることができます。1人ではないというだけで、モチベーションが向上することもあります。
(4)キャリアプランを作る
5年後・10年後など長期的な視野で、将来自分がどうなりたいのかを思い描くことで、日々の努力を続けることができます。
また、仕事に対してまわりから評価されることは達成感につながり、もっと貢献していこうというという意欲がわいてきます。そして、貢献するためには知識を増やそう、スキルを磨こうといったモチベーションにつながります。自身のがんばりだけでなく、まわりの環境もモチベーションに大きく関わるということを、経営者のみなさんは頭に入れておきましょう。
→YouTube「褒めるの効果はあなどれない」
経営者が取り組むモチベーション維持の仕組み
最後に、経営者が取り組むべきモチベーション維持の仕組みについてご紹介したいと思います。
(1)評価制度の整備
社員の能力や成果を適切に評価し、給与やボーナスなど目に見える形で反映することが大切です。また社員ひとりひとりがチャレンジしたいことをサポートするなど、人事領域における仕組みづくりも行いましょう。
(2)気持ちよく働ける職場作り
社内でのいじめ・ハラスメントは、モチベーションを低下させる大きな要因です。誰もが毎日気持ちよく働けるように、職場環境を整備していきましょう。「社員の不満を吸い上げるためのアンケートを行う」「コンプライアンス問題を扱う部署を作る」など、風通しが良い職場を作ることができれば、社員のモチベーションを引き出すことができるでしょう。
(3)経営者が自ら社員に話をする
風通しが良い職場環境を作るためには、経営者と社員の間でコミュニケーションがとることも重要です。今後の会社の展望・現在の状況など、会社の方向性について積極的に伝えるようにしましょう。組織が同じ方向を見て仕事できれば一体感が生まれ、モチベーションを上げることができます。
(4)インセンティブを設ける
昇給・ボーナスなどの金銭的なインセンティブも重要ですが、社員の成果を表彰するのもよいでしょう。社員のがんばりを認め、組織全体としてその人をほめることで、さらなるにモチベーションアップにつながります。
(5)チャレンジできる環境作り
社内公募制度や社内コンペなど、社員の自己実現欲求を刺激する環境を作りましょう。経営者が社員の意見をしっかり聞く姿勢を示すことで、組織全体の風通しも良くなります。また会社への帰属意識が高まり、自主性を持って業務にあたるようになります。
(6)人材育成
社員がどんなにやる気を持っていても、マネジメントする側が機能しなければ意味がありません。管理職がしっかりと部下のモチベーションを引き出せるように、管理職の育成も行いましょう。外部研修や資格取得の補助なども有効な方法です。
(7)ワーク・ライフ・バランス
社員それぞれの価値観・ライフスタイルなどに合わせて働き方を選べるなど、新しい取り組みを行っている企業もあります。こういった時流のなか、サービス残業・休日出勤などが常態化している企業は、社員の離職を止めることはできません。社員が気持ちよく働けるような制度改革を行いましょう。
企業が社員のモチベーションを維持・向上できれば、社員は自ら進んで成果を挙げてくれるようになります。またそういった企業では、会社に対する帰属意識が芽生えやすく、定着率もアップします。今回ご紹介したことを参考にして、社員のモチベーションを引き出せる環境づくりを行ってください。