経営者が取り組む「部下のやる気が育つ」環境づくり

小野由樹子

小野由樹子

テーマ:部下から信頼されるコミュニケーション

現在、働く人々は「職場環境」に重きを置くようになってきました。世の中には求人情報があふれ、転職活動も非常に活発に行われています。

そんな時代だからこそ、「職場環境」に納得できない人材は、他の企業へどんどん流出していきます。特に優秀な人材は、他の企業からも引く手あまたなので、見切りをつけるのも早い傾向にあります。

今回は、部下がやる気を感じられる職場環境づくりについてご紹介いたします。

やる気を引き出す環境とは

まず、やる気が感じられる職場について考えてみましょう。

□職場全体の雰囲気が非常に良い

□やる気がある部下が、しっかりと成果を残している

□そういった部下が周りにも良い影響を与え、他のメンバーも変わり始める

上記などが、やる気を引き出す環境の特徴として挙げあられます。

こういった職場では、仕事に対する不満や愚痴がなく、部下同士がつながりを持って業務が行われています。部下たちがどういう働き方をしたいと思っているのか、どういう仕事にチャレンジをしたいのか、しっかり把握できているからこそ、成り立つ環境です。

逆に仕事に対する不満や愚痴が蔓延し、部下同士も他人に興味がない職場はどうでしょうか? ギスギスした空気が流れ、なんだか居心地が悪い職場です。こういった職場では、部下のやる気を引き出すことはできません。

まずは部下の考えや目標などをしっかり把握し、気持ちよく働ける環境に整えましょう。そうすれば自然と、やる気が育つ職場になります。

やる気が出る瞬間を把握する

ではここからは、部下のやる気が出る瞬間・タイミングをご紹介します。そういった瞬間・タイミングを見逃すことなく、マネジメントをすると部下のモチベーションもぐんとアップします。

(1)今までできなかったことが、できるようになったとき
「今までミスが多かった」「サポートなしではできなかった」ことを、部下が1人でやり遂げられたときは、やる気が出るタイミングです。
やり遂げたことに対して、きちんとねぎらいの言葉をかけるようにしましょう。部下も自分自身の成長を感じることができ、仕事に対するモチベーションもアップします。

(2)困難な課題・業務をこなしたとき
日々業務に取り組んでいると、困難な課題や問題に直面することがあります。思い悩んでいた部下が困難を乗り越え、問題などを解決したときはやる気が出るタイミングです。
陰ながらサポートをしつつ、部下自身が成長を感じられる環境を作りましょう。

(3)ほめられたとき
人には「承認欲求」という欲求があります。成果を出し、誰かから認められれば、これほどやる気の出る瞬間はありません。特に部下が信頼・尊敬している上司や先輩からのほめ言葉は効果バツグンです。部下をしっかりとほめて、やる気をどんどん伸ばしていきましょう。
→効果的な褒め方のご参考に。

(4)仕事を任されたとき
難しい業務を部下に任せることに不安を感じる場合もあるかと思いますが、部下を信頼し、仕事を任せてみましょう。部下は期待されていることを実感し、やる気がぐんとアップします。

部下のやる気が出る瞬間は、「成長している」ということを実感できるときです。つまりやる気を引き出すには、そういった成長を実感・体感できる環境が必要だということです。

やる気を引き出す環境づくり 部下の達成動機を把握する

それでは、成長を実感・体感できる環境づくりについてお話しします。

【部下の達成動機を正しく把握する】
「達成動機」とは、目標に向かって突き進む気持ちのことです。この達成動機は個人差があるため、部下一人ひとりのことを正しく把握する必要があります。

仮に達成動機が強い部下に、難易度の低い仕事を任せるとどうなるでしょうか? 部下は、「もっと自分はやれるはずなのに、簡単な仕事しか回ってこない」と感じ、やる気を出すことはできません。

また達成動機が低い部下に対して、難易度の高い仕事を任せるとどうなるでしょうか?「こんな仕事できるわけない。なぜ、自分に回してくるんだ」とネガティブな感情を持つでしょう。そして同じく、やる気は出てきません。

このように部下の達成動機を把握していないと、やる気が出るどころか、やる気をそいでしまう可能性もあります。適切な仕事の振り分けを行うためにも、事前にそれぞれの達成動機をチェックしておきましょう。

部下の達成動機を把握する際には、いくつかのチェック項目を作っておくと便利です。
例えば…

□たとえ困難な目標であっても、達成に向けて努力するほうだ

□日々地道に、そして着実に仕事をこなしたいほうだ

□誰も挑戦したことがない、大きな仕事にチャレンジしたいほうだ

□少しずつステップアップして、成長を感じたいほうだ

といったチェック項目です。ぜひ活用してみてください。

失敗を否定しない環境を作る

また、大前提として「失敗」を不可としない雰囲気作りも重要です。達成動機が強い部下であっても、弱い部下であっても、失敗が認められない職場ではのびのびと働くことができません。

失敗したことを頭ごなしに叱ったりせず、サポートをする仕組みを整備しておきましょう。そういった仕組みがあれば、再び困難に直面しても、チャレンジする部下が育つようになります。

そして、下記のように業務の意義などを伝え、その結果についてきちんと評価、フィードバックしていくことが大切です。

(1)業務の意義を伝える
日々の業務の中で「なんでこんな仕事をしているのだろう?」「この仕事に意味はあるのかな?」と感じる瞬間があります。こういった感情は、やる気を低下させる原因になります。
そんなときに実践していただきたいのは、業務の意義を伝えることです。部下自身が成長を実感できれば自然とやる気が出ますが、それだけではやる気を継続することはできません。
部下が行っている業務が、「まわりにどのような影響を与え、貢献しているのか」をきちんと伝えるようにしましょう。

その際は、自分の考えや会社の考えを伝えるだけではいけません。

□会社が目標としているもの

□会社が存在している意義

□今期、会社が目標としているもの

□会社の目標達成のために、チームが果たすべき目標

と具体的な内容を示し、部下がきちんと納得できるように伝えましょう。

(2)効果的にほめる
部下のやる気を引き出す環境づくりには、ほめることが欠かせません。社長や経営者からほめられれば、うれしくない部下はいないでしょう。部下が出した成果やチャレンジに対して、しっかりと評価することが重要です。

しかし、ただやみくもにほめればいいというわけではありません。ほめ方にもコツがあります。

「ほめる」と「注意する」のバランスについて

部下に対して何か注意をするときには、はじめにほめるようにしましょう。90%はほめて、10%は注意をする、といったイメージです。

注意されるだけでは、部下のやる気は減少してしまいます。良い点はほめて評価しつつ、どうすればさらに良くなるのか、といった視点で話をしていきましょう。

ただし、その場で注意しなければならないことは、すぐに注意をしても構いません。その場に応じた対応で、部下のやる気を引き出す環境を作りましょう。

(1)第三者を通してほめる
「社長が○○さんのことを、とてもほめていたよ」と、第三者に言われるとうれしいものです。部下に対しても、こうしたほめ方を活用しましょう。
第三者や周囲の人から自分の評価を聞くことにより、ますますやる気を引き出すことができます。

(2)大勢の前でほめる
部下をほめるときには、なるべく多くの人がいる前でほめるようにするのがポイントです。会議や打ち合わせの場などでほめると効果的な場面です。

(3)成果に結びつくまでの過程をほめる
成果をほめることはもちろんですが、どうしてそのような成果を得られたのかという過程をほめることも重要です。

「こんなところまで見ていてくれたのか」「自分の仕事ぶりをきちんと見てくれている」と、社長・経営者に対する信頼度もアップします。そういった職場であれば、部下のやる気は自然と上がり、より良い職場環境をつくることができますよ。
→「褒めるの効果はあなどれない~褒め方がわからないあなたへ~」

部下のやる気をうまく引き出し、モチベーションアップにつなげることが自社の発展には欠かせません。今回ご紹介した方法を、ぜひ実践してみてください。
→管理職、リーダーに身につけてもらいたい方はこちらから。

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