築50年近くの空き家を宿泊施設へ|灯ゲストハウス石巻の立ち上げ事例
親が住んでいた実家を相続したものの、自分や家族が住む予定はなく、どうすればよいか決められないという相談は少なくありません。
「使わないのであれば、すぐに売却した方がよい」と考える方も多いと思います。しかし、空き家の選択肢は売却だけではありません。
物件の立地や状態、家族の意向によっては、賃貸住宅として貸し出す、店舗や宿泊施設などに活用する、将来の利用に備えて一定期間保有するといった方法も考えられます。
大切なのは、最初から一つの方法に決めつけず、その不動産にどのような可能性があるのかを整理することです。
まず確認したい5つのポイント
相続した実家の今後を考える際は、最初に次の点を確認します。
1. 土地と建物の名義
2. 相続人の人数と意向
3. 建物の劣化状況
4. 売却価格や賃料の見込み
5. 維持管理や改修にかかる費用
特に注意したいのが、不動産の名義です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請することが原則とされています。売却や賃貸を検討する前に、現在の登記名義や相続関係を確認しておく必要があります。
また、相続人が複数いる場合、一人の判断だけで不動産を処分することはできません。売却するのか、残すのか、誰が管理するのかについて、早い段階で家族間の認識を合わせておくことが重要です。
売却が向いているケース
次のような場合は、売却を優先的に検討する価値があります。
* 今後も家族が利用する予定がない
* 遠方に住んでいて管理が難しい
* 建物の劣化が進んでいる
* 固定資産税や修繕費の負担を減らしたい
* 相続人間で現金化して分けたい
空き家は、所有しているだけでも固定資産税や火災保険料、庭木の手入れ、換気、清掃、修繕などの費用と手間が発生します。
使用する予定がないまま保有を続けると、建物の老朽化が進み、将来的に売却や賃貸が難しくなる可能性もあります。国土交通省も、空き家は放置期間が長くなるほど老朽化や損傷が進み、売買や賃貸が難しくなると案内しています。
売却する場合は、「建物を残して売る」「解体して土地として売る」という二つの方法があります。
どちらが適しているかは、建物の状態、解体費用、土地の需要、接道状況などによって異なります。古い建物だからといって、最初から解体した方がよいとは限りません。
賃貸が向いているケース
建物の状態が比較的良く、周辺に一定の賃貸需要がある場合は、住宅として貸し出す方法も考えられます。
賃貸にすることで、家賃収入を得ながら建物を維持できる可能性があります。
一方で、賃貸には次のような費用やリスクもあります。
* 修繕やリフォーム費用
* 入居者募集の費用
* 設備故障への対応
* 空室期間の負担
* 退去時の原状回復
* 管理会社への委託費用
「家賃収入が入る」という点だけで判断せず、改修費を何年で回収できるのか、継続的な賃貸需要があるのかまで計算することが必要です。
大規模な改修をしても、周辺の賃料が低ければ、投資額を回収できないケースがあります。
店舗や宿泊施設として活用する方法
住宅としての需要が見込めない場合でも、別の用途に転換することで活用できる可能性があります。
例えば、次のような活用方法です。
* 店舗や事務所
* シェアスペース
* 福祉施設
* 宿泊施設やゲストハウス
* 地域交流拠点
* 駐車場や資材置場
ただし、空き家であれば何にでも転用できるわけではありません。
建物の用途や立地によって、都市計画法、建築基準法、消防法、旅館業法などの確認が必要になります。用途変更や消防設備の設置に想定以上の費用がかかる場合もあります。
弊社では、所有者から貸与を受けた築50年近くの空き家を活用し、宿泊施設として整備したうえで、2026年7月1日に営業を開始しました。
空き家活用は、単に建物を改修するだけでは成立しません。許認可、資金計画、集客方法、運営体制まで含めて事業として成立するかを検討する必要があります。
当面保有する場合にも管理は必要
家族が将来住む可能性がある、気持ちの整理がつかないなどの理由から、すぐには売却しないという判断もあります。
保有すること自体が問題なのではありません。
問題になるのは、方針を決めないまま放置してしまうことです。
人が住まなくなった住宅は、換気や通水が行われないことで、カビ、湿気、給排水設備の劣化などが進みやすくなります。庭木の越境、害虫、不審者の侵入などが近隣トラブルにつながることもあります。
当面保有する場合でも、定期的な換気、通水、清掃、郵便物の確認、庭木の管理、外壁や屋根の点検が必要です。
自分で管理することが難しい場合は、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
売却前に税制も確認する
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が適用される可能性があります。
対象期間や建築時期、売却期限、耐震基準、売却価格などに細かな要件があり、すべての空き家に適用される制度ではありません。現行制度では、対象となる売却期間は2027年12月31日までとされています。
賃貸や事業利用を始めることで、特例の要件から外れる場合もあります。
売却、賃貸、活用のどれを選ぶかによって税務上の扱いが変わる可能性があるため、実行する前に税理士などの専門家へ確認することが重要です。
「売るか、残すか」だけで考えない
相続した実家については、売るか残すかという二択で考えがちです。
しかし、実際には次のような選択肢があります。
* 現状のまま売却する
* 建物を解体して土地を売却する
* 住宅として賃貸する
* 店舗や宿泊施設などに転用する
* 一定期間管理しながら保有する
* 家族や親族が利用する
どの方法が適しているかは、不動産ごとに異なります。
売却価格が低いからといって、必ずしも活用した方がよいわけではありません。反対に、古い空き家だからといって、すぐに解体することが正解とも限りません。
立地、建物の状態、改修費、想定収入、管理負担を具体的に整理したうえで、現実的な方法を選ぶことが重要です。
まとめ
相続した実家をすぐに売却するべきかどうかは、物件の状態や家族の状況によって異なります。
まずは登記や相続関係を確認し、売却価格、賃料、改修費、維持費などを把握することから始めましょう。
株式会社Blue Keyでは、空き家や相続不動産について、売却だけを前提とせず、賃貸、管理、事業利用、宿泊施設などの活用可能性も含めて検討しています。マイベストプロのプロフィールでも、空き家や未活用不動産について幅広い選択肢を提案する相談窓口として紹介されています。
「まだ売却すると決めていない」「家族間で意見がまとまっていない」という段階でも、状況を整理することはできます。
宮城県内の空き家や相続不動産についてお困りの場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
※本コラムは一般的な情報をまとめたものです。個別の登記、相続、税務、建築、許認可については、司法書士、税理士、建築士、行政機関などへの確認が必要です。


