弁護士の引退

中隆志

中隆志

「何歳まで弁護士をされますか?」と下の期の人から聞かれることがある。
 40代、50代になって、いつまで仕事をするのか、どういう弁護士人生の終わらせ方をするのか悩むのだと思う。
 自由業である弁護士には定年がないため、理論的には頭と身体が元気でありさえすればいつまでもできるのである。

 90歳を超えて国選をされていた先生が過去におられたが、法廷でも全く年齢を感じさせず、かくしゃくとされていた。
 引退して数年後、「疲れたから昼寝をする」と息子の配偶者に伝えて昼寝をされて、中々起きてこないので見に行くと亡くなっておられたという話を以前聞いて、「理想的な亡くなり方であるな」とずっと思っている。
 中々理想通りには行かないと思うが、私は「死ぬまで」と冗談で言っていて、「法廷で死ねたら本望だ」ということを冗談で言っていた時期もあったが、法廷でいきなり死なれたら裁判所も迷惑であろう。また、最近はWeb会議が主流となり、法廷で死ぬということもできないであろう。
 逆に「この年齢になったら辞める」と宣言されている人もいて、実際に70歳になったら事務所を閉めて登録を抹消された先生もいる。
 私の周りでは、近い年齢で、「この仕事はしんどいので、長くやりたくない」「最近疲れてきた」という人もいて、「60歳で辞めたい」とか、「65歳で辞めたい」という人もいる。
 短期的に忙しくて疲れている時はあるものの、私は今のところ仕事をすること自体には疲れてはいないので、まだそれくらいでは現役でいそうな気がする。

 認知機能が低下した状態で弁護士を続けるのも晩節を汚すことになるのだとは思うが、認知機能が低下してしまっていると自身ではそのことが認識できないので、「この人から言われたら弁護士を辞める」という一札を書いておいて、「その人から言われたら登録を抹消しよう」というようなことを弁護士同士で話をすることもある。
 ただ、おそらく、認知機能が低下した時は、「自分はそんなものは書いた記憶がない」と言い出しそうだし、近い年齢だとどちらが先に認知機能が低下するか分からないという問題点がある。

 今のところ、いくつまでやろうということもあまり考えておらず、頭と身体が元気ならやっていようというところである。
 身体は個人差が大きいので、自分はどうなるだろうなとぼんやりと考えている。
 若い頃のように無理が利かないので、今は自分のできるペースで仕事をするようになったが、年齢がいくとさらにペースダウンしないといけないのだろうなと思っている。

 以上です。

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