今週の小次郎
釣りをしている人間にとって、逃がした魚は大きいというが、本当のこともある。
小さい魚なら釣り上げられるし、実際に大きすぎて釣り上げられなかったということがある。
小学生の頃、父親と大阪城の堀に釣りに行った(釣りは禁止されていたが、その頃、大阪の人間でそんなことを聞く人はいなかった。今はどうであろうか)。
フナを何匹か釣り上げて、昼近くになり、父親の竿に大物がかかった。
父親が引き上げると、大ナマズがかかっていた。しかし、水面までは2メートルほどあるところで釣りをしていたので、ナマズの顔は見えても釣り上げられない。タモアミなど、フナを釣りに行っているので持っていっていなかった。
結局、抜き上げようとしたが糸が切れてしまい、ナマズは釣り上げられなかった。
私の体感では1メートルくらいはあったと思う(あくまで体感で、実際はそんなに大きくなかったのであろう)。
ノゴイ釣りに興味を持っていた時期があり、田舎でノゴイを釣りに行った。
父親の弟である叔父さんと従兄弟と一緒にいったのであるが、1時間ほど経っても何も釣れなかった。
ノゴイ釣りは同じ釣り場に通い詰めて1日1寸と言われ、30日通ってようやく30センチの鯉が釣れるとされている。
亡くなった祖父の鯉釣り用の太い延べ竿を譲り受けており、その竿で釣っていた。
1時間ほど経過した時に、ウキが突然水面から消え、私が合わせたところ、これは近くで見たので間違いないが、丸々と太った60センチどころではない鯉がかかっていた。ところが、叔父さんにタモアミを頼んでいたのだが、どうせ釣れないと叔父さんはタモアミを持ってきていなかった。これも釣り場から水面までは1メートルほどあり、やむなく引き上げたが、これも糸を切られた。
私が叔父さんに烈火のごとく怒ったことはいうまでもない。
和歌山の日高川というところで釣っていたのだが、言い伝えによると、日高川のある淵には畳一畳分くらいある鯉が潜んでいるという。
河口で虫系のエサで投げ釣りをしていたところ、私の竿に大物がかかり、リールが巻き上げられないほどであったこともあった。
格闘して15分、浜まで後10メートルほどのところでびくとも動かなくなったので、根に入られたということで、父親が水に入って捕らえようとしたが、次の瞬間に糸が切られた。
個人的にはエイだったのではないかと思っているが(エイだと食べられないし、尾には毒針があるし、それはそれで釣り上げても大変だったと思うが)、これは姿を見なかったためにどんな魚であったのか心残りである。
外にも逃がした魚はいるが、釣りをする人は数十年経っても逃がした魚のことを覚えているものなのである。
以上です。


