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【相談内容】
当社では36協定に代わるものとして衛生委員会を設置しています。
36協定と違って過半数代表者をそのつど選任しなくてもいいメリットがありましたが、法改正により見直しの対象となるようです。
見直しの施行期日や適用猶予などはどうなっているのでしょうか?
【結論】
国では、使用者と労働者を構成員として労働時間等に関する事項を話し合い、使用者に対して意見を述べることを目的として、労働時間等設定改善委員会の設置をすすめています(努力義務)。
この労働時間等設定改善委員会については、衛生委員会をもってそれに代える“みなし規定”というものがありますが、2019年4月1日の法改正で削除されます。
ただし経過措置を設け、決議によっては2022年3月31日まで効力があるものもあります。
法改正で決まった“みなし規定”削除
衛生委員会(安全衛生員会を含む)は、使用者と労働者を構成員として、労働災害防止の取り組みや、労働時間などに関する事項を話し合うことを目的とし、その決議を、労基法上の労働時間などの協定主体として活用するもので、労使が一体となって会社を健全に運営していくための仕組みです。
衛生委員会は、従業員数50名以上の事業場ごとに、毎月1回以上の開催が義務づけられています。
現行では、使用者は、衛生委員会をもって労働時間等設定改善委員会に代える旨の書面協定を過半数代表者と結んでおけば、これが解約されるまで有効と解されています(安西愈『新しい労使関係のための労働時間・休日・休暇の法律実務』中央経済社)。
この衛生委員会のみなし規定は、労働時間等設定改善法7条2項に定められていますが、法改正により削除されます。
施行は2019年4月1日です。
ただし、すでにみなしの対象となっている衛生委員会を対象として経過措置を設けており、決議の有効期間は、2022年3月31日までとなります。
そのうち有効期間のあるもの(2022年3月31日を越えないもの)はその期間の末日までということになります(働き方改革関連法附則10条)。
衛生委員会が36協定を代替する期限
主な労使協定の有効期間を確認してみましょう。
・1カ月単位の変形労働時間制の労使協定…3年以内が望ましい(平11・3・31基発169号)
・時間外および休日労働(36)に関する労使協定…1年間が望ましい(前掲通達)
なお、法改正により対象期間は1年間に限られます(改正法36条2項2号)。
たとえば、時間外の上限規制の適用が猶予される中小企業の場合、原則として2020年4月から適用ですが、衛生委員会で代替する仕組みは、協定の有効期間にもよりますが2019年3月までの可能性はあります。
その場合、過半数代表者の選任が必要です。
労使協定に有効期間の定めは必要ないものとして、たとえば一斉休憩の除外(法34条2項)などは、2022年3月31日まで有効となります。
改正後の名称や仕組み
今後は『労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)』に基づいてこれまでの事業場単位の仕組み(労働時間等設定改善委員会)に加えて、労働時間等設定改善『企業』委員会で労使協定を代替することが可能になり、企業単位の協定も一部可能になります。
代替できる協定は、下記が示されています(改正労働時間等設定改善法7条の2)。
(1)月60時間超の時間外発生時の代替休暇(労基法37条3項)
(2)年休の時間単位付与(法39条4項)
(3)年休の計画的付与(法39条6項)
法改正後の衛生委員会の細則についてほかにも疑問や不安に思われたときは、専門家にご相談することをおすすめします。