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「安楽死」について考える

三上隆

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テーマ:尊厳死と安楽死

 先日、国外で「安楽死」をするという選択をされた女性を題材にした、NHKのドキュメンタリーを見る機会がありました。
 また、その中では安楽死を選択した女性と対比するように、同じように進行性の病になり、家族の支えによって生きて闘う、という選択をされた方の事も描かれておりました。

 私はこれまで、安楽死というものについて、深く考えた事はありませんでしたが、安楽死を選択された女性の「病気が進行して、身のまわりの世話をしてもらっても、有り難うと言えなくなる者の気持ちがわかるのか」という言葉は、その当事者となった方でないと、決して出てこない気持ちだと思いました。
 
 番組を見終わって、もし、自分が同じ状況だったら、それが家族だったらと置き代えて考えてみたのですが、自分の中で明確な答えは出ませんでした。
 ただ、自分の家族がそのような決断をしたら、恐らく私は思い留まるように説得し、やはり生きていて欲しいと懇願するのではないかと思います。

 安楽死とは、”生きる権利(どうやって生きるのか)があるなら、死ぬ権利(いつ、どうやって死ぬのか)がある”という考え方からきた、一つの選択肢だと思います。
 その考え方については、確かにそうかもしれない、と思う反面、現実に自分がそうなったら恐らく気持ちがついていかないだろうという、少し矛盾した気持ちにもなります。

 今後、日本で安楽死に対する議論がもっと活発になったら、それによって最後を迎えたいと希望する方は確実におられるでしょうし、授かった命を自ら終わらせるという事が、本当に許される権利のなのか、という意見もあるかと思います。

「人間はいつか死ぬと解っているけれど、いつ死んでも今じゃないと思うもの。」
 安楽死を選択された女性のそんな言葉が頭の中に残りました。

遺言書と安楽死、尊厳死について

 私が遺言書をつくるお手伝いをさせていただく中では、「尊厳死」や「安楽死」についてのお気持ちを伺う事も、最近少しずつ増えてきたような気が致します。

 日本では安楽死は認められておりませんので、遺言書に記載する事は出来ません、とお伝えするのですが、無理と解っていても、将来の安楽死を希望される方もおられました。
 尊厳死に関しては、「遺言書に記載されていれば、その様にしてもらえるのでは」とおっしゃる方もおられました。

 尊厳死とは、生命維持の為だけの延命治療を拒否し、自分が自分としてあるうちに、最後を迎えたいという行為をさします。
 以前のコラム「遺言書で延命治療を拒否する意思表示が出来るか」でも、少し触れさせていただいたのですが、遺言書に直接記載する事は適当でないものの、個別に意思表示を明確にしておくことで、その希望は叶えられる方向になりつつあります。

 ただ、その希望をもっておられたとしても、ご本人による明確な意思表示がない場合は、死期を延ばす為だけの延命措置であったとしても、それを中断するという事は、医療行為を辞めるという事になりますので、ご家族が医師と相談の上、その決断をされるという事になります。

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三上隆
専門家

三上隆(行政書士)

相続まちの相談室/行政書士 三上隆事務所

「人との関わり」や「お話を伺うこと」を大切にしておりますので、終活のお悩みや身寄りのない方の今後のご不安、相続の話し合いの部分に至るまで、‟人”と関わる部分を最後までお手伝い致します。 

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