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遺言書をどのように保管するか

2018年9月27日 公開 / 2021年1月8日更新

テーマ:遺言書

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 遺言書 作成遺言書 書き方相続問題

 遺言書についてご相談の中で、「遺言書はどこに保管したらよいのでしょうか」という、お問い合わせをいただくことがあります。

 遺言書が公証役場でつくる「公正証書遺言書」の場合ですと、原本が公証役場に保管されますので、そのような心配はありませんが、「自筆証書遺言書」につきましては、保管場所やその方法について、このようにしなければならない、という法律はありません。
 逆に言いますと、規定やルールがないからこそ、その方法に頭を悩まされるのかもしれません。

 遺言書は、遺言をされた方が亡くなった時に、初めてその効力が発生致します。
 その為、遺言者さまが亡くなる時まで、保管しておく必要があるのですが、将来相続人の方に間違いなく発見していただかなければ、その遺言書の内容は実現されない事になりますので、誰にもわからにように隠すのではなく、見つけていただくことを前提にして保管することになります。

 普段から人目に付くところに置いてある、という方は少ないでしょうし、どのような場所に保管をされている方が多いのでしょうか。

①お仏壇や金庫など
 一般的に多いのは、普段から大事なものを保管している場所に入れている、という方々です。
 この場合、まわりのご家族も「ここには大事なものが入っている」という認識をもたれているでしょうから、遺言書はここにある、という事を事前に伝えていなくても、万一の場合には、遺言書を見てもらえる可能性は高いと思われます。
 
 ただ、金庫などの場合、カギの保管をどのようにするか、というところで同じようなお悩みになるのかもしれません。

②配偶者やお子様に預ける
 こちらは少数派だと思われますが、このような方も耳に致します。
 預けられている方は、内容をあらかじめお伝えした上で預けている、という方が多い様です。

 こちらの場合は、内容をすでにお伝えしている場合は問題ないかと思われますが、内容をお知らせになってない場合で、「法定相続」の割合(配偶者が2分の1、子供は残り2分の1を均等割り、など)の通りか、それに近い内容ではない時には少し注意が必要かもしれません。

 この場合、相続する割合が少なくなっている方には預けないでしょうし、遺言書が自分以外の相続人の方が預かっていた、という事を後から知りますと、あまりいい気がするものではありません。
 それが原因で、遺言者さまが亡くなった後、その遺言書の内容について、「本当に本人の意思なのか?」「そそのかして書かせたのではないか?」などの争いの原因になる可能性もあります。

 また、単純に紛失の危険性もありますし、いざという時に紛失に気付きましても、もう取り返しがつかない状態となってしまいます。

③銀行の貸金庫や、信頼できる第三者に保管を依頼する
 こちらは、費用が掛かる場合がほとんどですが、紛失や改ざんなどのリスクはかなり低くすることが出来ます。
 
 保管という面におきますと、こちらが一番間違いないのかもしれませんが、ここまでするのはどうかな、という風に思っている方もおられるかもしれません。

「自筆証書遺言書の保管制度」について

 遺言書の保管に関しまして、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が新設され、令和2年7月10日に施行される事が決定しております。
 
 この制度は、これまで自筆証書遺言書について公的な保管制度が無く、遺言書の紛失や改ざんなどによるトラブルが生じていたことや、遺言書がない事で相続登記がそのままになり、所有者がわからない不動産が増加している、という問題の緩和の為に創設された法律です。

 この制度の特徴は次の通りです。
①自筆証書遺言書を法務局で保管
 最寄りの法務局で自筆証書遺言書を保管し、データ化してくれます。
 これにより、公正証書遺言書の様に、公的機関が保管してくれることになりますので、紛失の心配がほぼなくなる事になります。
 
 ただ、この制度で遺言書を保管してもらうには、本人確認の為、遺言者さま自らが必ず法務局まで出向く必要がありますので、足元の不自由な方などには、利用しづらい面があるかもしれません。

 また、保管の際には、今後政令で定められる手数料を、収入印紙で支払うという規定になっております。

②自筆証書遺言でも家庭裁判所の「検認」が不要
 自筆証書遺言書つきましては、どのような保管をされていた場合でも、遺言者さまが亡くなり、その遺言書を開封する際には、家庭裁判所による「検認」という手続きを経る必要があります。

 「検認」とは、遺言書の中身の正当性や、法律上の有効性を裁判所が判断してくれるものではなく、遺言書の存在を確定させる為の制度です。
 この手続きを経ていない遺言書は、金融機関での預貯金などの解約に応じてもらえませんし、法務局で不動産の名義変更(相続登記)をすることも出来ません。
 
③遺言書の存在が相続人に通知される
 遺言者さまが亡くなった後は、相続人の方などが保管された遺言書(データ化されて保管されますので、「遺言書証明情報」となります)の交付を請求することが出来ますが、この証明書を相続人などが受け取りますと、その他の相続人の方にも、遺言書を保管していることが通知されることになっております。

 これにより、特定の方だけが遺言書の存在を知るということを防止する仕組みとなっておりますので、遺言書の破棄や改ざんといったことも出来なくなるような仕組みとなっております。

 法務省のサイトにも、制度の概要を説明するページがありますので、ご参照ください。
 ⇒法務局における自筆証書遺言保管制度について

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