相続の現場から ~私は相続人ではないの!?~
皆様、こんにちは。
今回は、私が相続のお手伝いをさせていただく場面におきまして、感じたことなどをお伝えしようと思います。
相続手続きのご依頼をいただきますと、ご依頼者さま以外の相続人さまを訪問させていただくことになります。
亡くなられた方の相続人がお1人でない限り、遺産分割協議書を作成し、それに基づいて相続手続きを行っていくわけですが、ご依頼いただく相続には、ご依頼者さまと他の相続人さまのお住まいが遠く離れている、あまりお付き合いがない、などという場合もあります。
その相続人さまをご訪問して、相続についてのご説明をする訳ですが、訪問に際してはお約束をさせて頂いた上で、お伺いするばかりではありません。
事前にお手紙などはさせて頂くのですが、特に最初のご訪問はお約束がない状態でお伺いさせていただくこともあります。
ご依頼者さまから、訪問先の相続人さまの事をお聞かせいただく場合もありますが、出来るだけ先入観をもたないように訪問させていただくことを心がけています。
特に、依頼者さまと相続人さまとのお付き合いがあまりない時ほど、そのように意識します。
相続人の方々には、依頼者さまよりご依頼をいただいた事で、訪問をさせていただくことになる訳ですが、相続の協議内容は依頼者さまが決める訳でも、もちろん私が決めるものでもありません。
求められれば、アドバイスなどはさせていただきますが、それをふまえて最終的に決定されるのは、相続人の皆様です。
私は、それが円滑にすすむようにお手伝いをさせていただいているにすぎません。
その為、依頼者さま側の代理人ということではなく、訪問させていただく相続人の方々にも、相続に対する委任をいただき、特定の誰かの為の相続ではない、ということをお伝えさせていただいております。
初めての訪問
誰でも、初めて会う方に対して、「その方がどういう方なのか」という事は、すぐにはわかりません。
ましてや、事前のお約束がない状態でお会いした場合、驚かれたり、疑念や警戒をもたれる場合もあることでしょう。
相続人の方々と初めてお会いする時、私は相続の内容や自分の説明をするより、出来るだけその相続人の方の事を教えていただければ、と思っています。
相手の方の事を少しでも教えていただくことが出来れば、自分の事も少しでも知っていただけると思いますし、それによって当初にもたれた疑念や警戒のお気持ちも、少しは違うものになると信じているからです。
先日も、相続人さまにお会いする為、東海地方のある県まで行く機会がありました。
その方からは、有難いことにお手紙に対してご連絡をいただき、日時をお約束してからお伺いできたのですが、もしそうでなければ、お約束なしで訪問をさせていただくところでした。
初めてお会いしたその方は、初めての訪問で多少の戸惑いをみせながらも、私に気を遣って下さって、ご自分のことをいろいろとお話して下さり、短い滞在時間でしたが、最後には次回の訪問のお約束もして下さいました。
相続人の方と、初めてお会いする時には、お住まいが近くても遠くても、ご年齢がいくつの方であっても、少しばかり緊張を致します。
時には、すぐにお話をしていただけなくて、何度か足を運ばせていただき、ようやくご挨拶が出来た方もおられます。
それでも、最終的に相続のお手伝いが完了して、ねぎらいや感謝のお言葉をいただいたりしますと、最初の緊張した気持ちが少し報われたような気持ちになります。
「出会い」といいますと、少し大げさかもしれませんが、お住まいやご年齢の異なる方と、少しの間でも関わらせていただけるという事は、何かご縁が出来たようで、本当にうれしく思います。
相続といいますと、「誰がどのくらい相続出来るのか?」などという事が注視されがちですが、そこに至るまでの過程として、相続人の方々との出会いがあります。
これまであまりお付き合いがなかった相続人の方々にとっても、もちろんの事だと思われますが、私にとっても大切な時間となっています。