遺言書をどのように保管するか
皆様、こんにちは。
前回は、以前につくられた遺言書との関係、財産を「誰に、どのように引き継いでもらうのか」、ということについてお伝えを致しました。
今回は、遺言書に記載された方がよいと思われる、他の項目につきまして、お伝えさせていただきます。
③金銭や不動産以外のものについて
一般的に、ご自身の財産とされるものは、金銭や不動産だと思いますが、あまり財産と扱われないもの(いわゆる家財道具一式です)をどのようにするか、その処分方法や任せる方を記載されておいた方がよいと思われます。
それ自体に金銭的価値がない、とされる場合でも、遺言者さまや相続人さまにとっては、思い出として残しておきたい場合もあるでしょうし、仮に処分するとした場合に、そこに費用がかかる場合もあります。
ちょっとしたことでご家族が困らないように、誰にお任せするか、という配慮が必要ではないでしょうか。
また、スマートフォンやパソコンなどで、ネット上の銀行や証券会社などとお取引をされていた場合、そのIDやパスワードなどが不明で解約手続きが出来ない、ということも起こっております。
それらを普段から利用されている場合は、IDやパスワードなどをどのようにして伝えるのか、考えておかれる必要があります。
※具体的には、「遺言者の所有する動産、家財・家具及び日常生活で使用していた物品等(携帯電話、スマートフォンを含む)は、長男〇〇に相続させ、その処分も一任する。また、その処分と移送に要する費用についても、○○の負担とする。」などです。必要であればID・パスワードも記載しておきます。
④予備的遺言について
遺言書は、相続人となる方に財産などの引き継ぎ方を指定するものですが、万一遺言者さまよりも相続人となられる方が先に亡くなっていた場合、その引き継ぎ方はどうなるのでしょうか。
例えば、下記のような場合です。
遺言者さま=A 配偶者=B 長男=C 長女=D とします。
⇒「家と土地はすべてCに相続させる」という遺言で、Aより先にCが亡くなってしまった場合です。
この場合、下記の2つのうち、どうなるでしょうか。
ア、C の相続人(C の配偶者や子供など)が引き継ぐ
イ、指定された相続人がいないので、B・Dで協議して決める
実際の判例などでは、「相続する方が先に亡くなっていた場合、当然にその子供が相続する」という、遺言者さまの意思があったとみられるような状況や、そうみるべき特別の事情でもない限り、原則的には「イ、指定された相続人がいないので、B・Dで協議して決める」となっております。
もし仮に、Cが自分への相続を前提として、家の改装費用などを一部支出していた場合、C の配偶者や子供たちが、それを不満に思われる場合もありえます。
予備的遺言とは、そのような事を防止する為、相続人が万一先に亡くなっていた場合、それ誰に引き継いでもらうか明確にしておくものです。
※具体的には、「遺言者は、この遺言の効力発生時に前記長男〇〇が死亡していた場合、同人に相続させるとした不動産△△は、妻〇〇に相続させる」などです。
次回は、「優しい遺言書のつくり方 ~祭祀承継者、遺言執行者の指定について~」をお伝えさせていただきます。
よろしくお願い致します。