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「塾ジイのBAR」13 ー受験校選びのハードとソフトの着眼点ー

久保克己

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テーマ:志望校決定に向けて

学校を見る目を養う

「いらっしゃい。今日は何にする?」
「塾ジイ、今日はビールで。……ところでさ、第二志望の学校って、どうやって決めたらいいの?」
「ほう。えらく具体的な話になってきたな」
「第一志望は本人が『ここに行きたい』って決めてるから分かる。でも第二志望って……」
「『偏差値が届きそうだから』だけで決めるんじゃ、ちょっと寂しいの」
「やっぱり?」
「第二志望じゃからこそ、本人が『ここなら行きたい』と思える学校を探したいんじゃ」
「でも、学校っていっぱいあるだろ?」
「だから、見るところを決めておくんじゃ」
「どこを見るの?」
「まずは、実際に学校へ行って、自分の目で見ることじゃ」
「学校説明会に参加する?」
「そうじゃ。ただしな、校長先生の話を聞いて、パンフレットをもらって、それで帰ってきたらいかんぞ」
「え? じゃあ、どこを見るの?」
「生徒じゃ」
「生徒?」
「そうじゃ。廊下を歩いている生徒が、知らない自分たちにもきちんと挨拶するか」
「そこを見るの?」
「見るんじゃよ」
「ほかには?」
「教室の床にゴミがたまっていないか。机の中はどうか。黒板はきれいに消されているか。掲示物は旬のものになっているか」
「そんなところまで?」
「そんなところじゃ」
「でも、そこまで見て何が分かるの?」
「学校が、生徒の日常をどれだけ見ているかが透けて見えることがあるんじゃ」
「飲み屋」と学校は似ている?
「そして、できれば普段の学校の様子も見てほしい」
「普段?」
「登下校の時間じゃ。先生と生徒がちゃんと挨拶しているか。先生と生徒が自然に笑顔で話しているか」
「説明会の日だけじゃ分からないことだね」
「そうじゃ」
「何より、わしが見てほしいのは、生徒が楽しそうかどうかじゃ」
「そこ?」
「そこじゃよ」
「でも、それだけで学校の良し悪しが分かるの?」
「もちろん、それだけで全部が分かるわけじゃない」
「うん」
「じゃがな……」
「これはな、飲み屋の良し悪しをみるのと似ているんじゃ(笑)」
「飲み屋?」
「そうじゃ。店構えやメニューだけ見ても、本当のことは分からんじゃろ?」
「確かに(笑)」
「店の中はきれいか。店員さんは客をちゃんと見ているか。店に活気があるか。そして何より、客が楽しそうに飲んでいるか」
「……なるほど。学校も同じってこと?」
「そうじゃ。学校の日常は、パンフレットにはなかなか載っておらん」
「確かにね」
「じゃから、実際に足を運ぶんじゃ」

自分の目と、塾のデータ

「でも、塾ジイ。自分の目で見るだけで十分なの?」
「いや。もう一つ、大事なものがある」
「何?」
「数字じゃ」
「数字?」
「そうじゃ。学校の雰囲気だけで決めるのも危ない」
「どんな数字を見るの?」
「大学の合格実績だけを見るんじゃないぞ」
「じゃあ?」
「わしが注目してほしいのは、『入るとき』と『出るとき』の落差じゃ」
「入るときと、出るとき?」
「その学校に、どのくらいの学力レベルの生徒が入学しているのか。そして、その生徒たちが卒業するとき、どんな大学へ進んでいるのか」
「なるほど」
「つまり、入学時のレベルから、卒業時にどこまで伸びているのかを見るんじゃ」
「それなら、その学校が生徒をどれだけ伸ばしているかが分かるかもしれない」
「そういうことじゃ」
「でも、それって自分で調べるのは難しくない?」
「そこで、塾を上手に使うんじゃ」
「塾を?」
「そうじゃ。塾には、これまでの入試や進学についてのデータがある。学校ごとの入学時のレベルや、卒業後の進路などを、いろいろな角度から見ることができる」
「塾へ行くメリットって、授業だけじゃないんだね」
「その通りじゃ」
「学校説明会で自分の目で見る。そして、塾ではデータを見る」
「そうじゃ」
「その二つを合わせて学校を判断する」
「それが大事なんじゃ」

少し辛口な塾ジイ

「じゃあ、ちょっと辛口なことを聞いてもいい?」
「何じゃ?」
「もし、教室は荒れてる、生徒は挨拶しない、先生と生徒の関係も何となくよくない。生徒もあまり楽しそうじゃない……」
「うむ」
「それなのに、『難関大学へ導きます』って言われたら?」
「……」
「塾ジイならどうする?」
「わしならな……」
「その前に、もっと大事な土台があるんじゃないか? と思うの」
「土台?」
「人を育てるというのは、大学合格実績だけを作ることじゃない」
「うん」
「毎日の挨拶。教室の環境。先生と生徒の関係。そして、生徒が安心して楽しく過ごせること」
「そういう日常が土台になる」
「そうじゃ」
「その上に、学力が乗ってくる」
「その通りじゃ」

最後に

「じゃあ、学校選びって……」
「数字だけでもダメ。雰囲気だけでもダメ。両方を見るんじゃ」
「自分の目と、塾のデータ」
「そうじゃ」
「なんだか、第二志望の学校を探すのも、ちょっと楽しくなってきたな」
「それが一番じゃよ」
「『ここなら行きたい』と思える学校を探す」
「うむ」
「そうすれば、第一志望にも思い切って挑戦できる」
「おっ、分かってきたじゃないか」
「じゃあ塾ジイ、もう一杯!」
「おう。今日は学校選びの話をしたからの」
「サービス?」
「……いや、そこは自分で払ってくれ(笑)」

塾ジイからひとこと

受験校を選ぶとき、
「偏差値」や「合格可能性」はもちろん大切です。
でも、それだけでは学校の姿は見えてきません。
実際に学校へ足を運び、
生徒の様子を見る。
先生と生徒の関係を見る。
教室の環境を見る。
そして、塾などから得られるデータを使って、
「入学時」と「卒業時」の落差を見る。
自分の目で見ることと、
数字で見ること。
その両方から学校を考えてみることが、
受験校選びでは大切なのではないでしょうか。
そして第二志望だからこそ、
「ここなら行きたい」
と思える学校を、ぜひ見つけてほしい。
そこが見つかれば、
第一志望への挑戦も、きっと変わってくるはずじゃ。
学校選びは、合格する学校を並べる作業ではない。
「この学校で3年間過ごしたい」と思える場所を探すことでもあるんじゃよ。

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