競売になっても住み続けることができるのか?
任意売却をされる方の約30%はこのまま家に住み続けたいというご希望を持たれています。
競売になると出て行かなければなりませんが、任意売却の場合は、それが可能になります。
投資家を活用することで、ローンでなはく家賃を支払い賃貸というかたちで住み続けます。
今日は、“この住み続ける任意売却”に成功した方の事例についてお話ししたいと思います。
田村正治さん(仮名)48歳、妻、美代子さん(42歳)、子供は中学3年生と小学校5年生の男の子の4人家族。
【物件】京都府伏見区の戸建(平成15年に2,500万円で購入)
【所有者】田村正治さんの単有名義
【権利】1番抵当権:京都信用金庫 残債務約1,800万円
差押え:伏見区役所(固定資産税等の滞納):約35万円
【状況】住宅ローンの滞納回数6回目が過ぎ、代位弁済の期日が指定されている
【他の債務状況】カードによる借入債務:約100万円
【ご夫婦の収入状況】夫:派遣社員(工場勤務):月手取り収入20万円
妻;パート:月手取り7万円
【返済状況】住宅ローン:毎月約10万円返済
他借入ローン:毎月約5万円返済
【田村さんの希望】このまま住み続けたい、出来れば自己破産はしたくない。
◆住宅購入からローン破綻
13年前に子供が生まれたこともあり、正治さんの地元、京都の伏見区に新築戸建を購入しました。
当時、正治さんは製造関係の会社に勤めるサラリーマン。
年収420万円、妻のパート収入もあったことから、思い切って購入することにしたそうです。
借りた額が2500万円、毎月の支払いは約10万円。
二人の収入を合わせれば、なんとかやっていけると考えていました。
しかし、それから10年経った平成25年、田村さんの生活環境が変わる出来事が起きました。
それは、正治さんのお父さんの介護です。
自宅近くに一人で住んでいるお父さんが階段から落ち、下半身麻痺となったのです。
一人で歩くことはおろか、日常生活を一人で送ることもできなくなったそうです。
それにより、正治さんはこれまで勤めていた会社を辞め、介護に専念できるように職を変えました。
収入は以前より半分以下になってしまいましたが、父の介護をしない訳にもいかず、やむを得ない選択だったのです。
それでもなんとかやっていけるのではないかと思っていました。
しかし、その生活が始まると、やはり厳しい経済状況がまっていたのです。
住宅ローンだけはなんとか支払うものの、カードなどの支払いがだんだんと負担になり、ついに住宅ローンの支払いに影響が出るようになったのです。
銀行からは滞納が6回続くともうダメ(競売)ですよ。
と、釘を打たれていました。
しかし、払えないものは払えない・・・、ついに6回目の滞納を越してしまったのです。
◆当社への相談
田村さんが当社へ相談のお電話を頂いたのは、銀行から「期限の利益喪失」、「一括弁済請求」の手紙を受け取った頃でした。
すなわち、競売の申し立てがなされる一歩手前の段階です。
電話をかけてこられたのは、奥様でした。
なんとか今の状況(競売)を回避することができないものか、長男の受験、親の介護もあってなんとか今の家に住み続けたいというご希望を持たれていました。
早速、ご夫婦お二人で来社していただき、今後の流れと住み続けるための任意売却について説明をさせて頂きました。
住み続ける為の任意売却は誰もが成功できるものではなく、債権者や役所、投資家、家賃設定など乗り越えなければならない壁がたくさんあります。
その壁を一づつ乗り越えるには、権利者全員の足並みを揃えなければなりません。
100%成功できるものではありませんし、最悪、競売によって自宅を出ていかなければならないこともあります。
そういったことを田村さんご夫婦にご理解して頂き、当社は住み続ける為の任意売却の検討を開始することになりました。
◆「住み続ける為の任意売却」の検討
銀行には任意売却をすることの意思表示を早々に行った為、ひとまず競売の申立てを待ってもらうことができました。
しかし、果たして投資家は現れるか・・・。
田村さんの支払可能な家賃は6万円~7万円。
正直、私もやってみないと分らない、いや厳しいかも・・・という印象でした。
しかし、相談から約2ケ月が経った頃、債権者の認める売却価格と田村さんの希望する家賃で投資したいという投資家が現れたのです。
投資家は一度、田村さんと面談したいという要望がありました。
今後、継続して家賃を支払うことができるかを判断する為の面談です。
早々に面談日を決め、お会いしてもらうことにしました。
面談時間は約30分。
これまでの経緯やお家に対する思い入れなどを聞きます。
また、掃除がいきとどいているか、部屋が散らかっていないかなども見ます。
そういったことを見たり、聞いたりして、投資家として滞納リスクを判断しているのです。
◆結果
結果、投資家より良い返事をいただくことができました。
家賃、6.5万円、保証金なしという、田村さんの希望通りのものでした。
それから、2週間後、決済を行い、無事、任意売却を完了させることができました。
今回、この任意売却では、税金の滞納が約35万円あり、差し押さえがついていましたが、この分についても全て完納することができました。
税金滞納は住宅ローンの残債務請求よりも、厳しい請求をされることが多々あります。
そういったリスクを回避することができたのです。
また、住宅ローンの債務については、500万円程残ってしまいましたが、その返済について毎月1万円づつ支払うという返済計画で債権者に同意を貰うことができました。
そして、他カード類の借り入れに関しても、任意整理というかたちで、利息カットの元本返済。
毎月3万円を3年計画で各債権者に返済する同意も得ることもできました。
これら返済であれば、今のお二人の収入をあわせれば、以前に比べ大きく経済状況は改善できたと思います。
◆成功要因
今回の住み続ける為の任意売却成功の要因は、3点あります。
①早期の相談であったこと
②自宅に対する思い入れ
③人柄
①早期の相談
競売の申立てがなされてからの投資家探しは、限られた時間の中で行わなければならないため、途中どこかで通常の任意売却に切り替えることが必要になります。
しかし、今回は競売の申し立てがなされる一歩前の相談だったため、投資家を探す時間を十分にとることができました。
②自宅への思い入れ
住み続けたいという希望を持たれる動機の中には、単に引越しが面倒だからという場合があります。
こういった動機は投資家にあまり良い印象をあたえません。
確かに引っ越しは面倒臭いものですが、それ以上に自宅への思い入れがなければ、継続して家賃を支払うリスクが高いと考えるからです。
今回、田村さんは、お子さんの受験の関係、お父さんの介護など、今の自宅でなければいけない理由がありました。
また、日頃から家の中が整理整頓されていました。
そういったことで、自宅に対する思い入れが投資家に伝わったのではないでしょうか。
③人柄
人柄を判断するのは非常に難しいものですが、投資家としても今後長くお付き合いしていかなければなりません。
ですので、その方がどんな人なのかということも気になるところなのです。
今回の面談において、田村さんの人柄が投資家に良い印象を与えたのではないでしょうか。
◆最後に
今回のケース、田村さんの希望家賃で果たして投資家が現れるかという高い壁がありました。
しかし、上記の成功要因があるように、正直、やってみないと分らないということを私自信あらためて気付かされました。
住宅ローンの滞納が始まり、もう駄目だと諦めてしまうのではなく、まずは早期に専門家に相談することが大切なのではないでしょうか。
以上、『住宅ローン滞納 任意売却成功事例「住み続けることが出来た」』の事例でした。
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