長い不登校の間「ピアノが弾きたい」という気持ちに応える指導
「自分で決めていいよ」と伝えているのに、子どもは動かない。
だから、もっと声かけを変えよう、言葉を増やそう、と考える先生は多いと思います。
あるいは、「練習しなさいといつも言われるからもう辞めたい」と本人が言っている——そんなケースでは、どう声をかければよいかと悩みがちです。
けれど、動かないときに声かけを増やしても、うまくいかないことが多い。
足りないのは、多くの場合、声かけの量や種類ではなく、設計です。
1. 声かけが増えるとき、設計が抜け落ちている
レッスンや家庭でうまくいかないとき、私たちは「もっと伝えなければ」と、指示を足しがちです。
でも、子どもが動かない理由は、「言われていない」ことよりも、「できそうに感じられていない」ことにあることが多い。
いくら「自分で決めていいよ」と言っても、選択肢が多すぎたり、何をすればよいか見えていなかったりすると、動けません。
声かけを増やす前に、「今、この子にとって、何ができそうな状態になっているか」を観察し調整し直す。
その順番が逆だと、先生も子どもも疲れます。
2. 「任せる」の前に、整えること
「任せる」は、何もしていないのではなく、任せられる状態を整えたうえで、手を離すことです。
選択肢を「全部」ではなく「この中から」に絞る。
ハードルを「できそう」に下げる。
「練習」という言葉に過敏な子には、「家で1回弾く」「ここまで触る」など、言い換えで負荷を下げる。
そうした微調整のあとで「じゃあ、どれにする?」と聞くのです。
任せる設計が先にあって、はじめて「自分で決めていいよ」が届きます。
3. できそうに落とす、という順番
「練習しなさいといつも言われるから辞めたい」と言う子は、「練習」という言葉や状況そのものに、限界を感じている可能性があります。
そこで「練習しなさい」を言い換えても、構造が同じなら反応は変わりません。
大切なのは、できそうに落とすこと。
1ページだけ、一部分だけ、思い出しメモだけ。本人が「教えて」と言うまで待つ流れをつくる。
声かけは、その微調整のうえにのせるから、効くのです。
まとめ
「自分で決めていいよ」で動かないとき、足りないのは声かけではありません。
任せられる状態を整え、できそうに落とす微調整を先にすること。
その視点を持つと、同じ言葉でも、届き方が変わります。
設計を整える先生が一人でも増えれば、もっと楽しめる子どもや先生が増えると思います。



