「やる気にするの、うまいねと言われるようになりたい」——承認が欲しいとき、増やすべきは声かけではない

三上緑

三上緑

テーマ:“困った子”を生まない指導 ― 先生の見立てを問い直す

「やる気にするの、うまいねと言われるようになりたいです」
——ある先生から、そういう声を聞くことがあります。
一生懸命レッスンしているのに、保護者からはなかなかそう言ってもらえない。
もっと声かけを工夫すべきか、成果をもっと見せたほうがよいか。そう考えがちです。
けれど、承認を得るために声かけや成果表示を増やしても、しんどくなるだけのことが多い。
本当に変わるのは、別のところにあります。



1. 「うまく見せる」と「育ちが伝わる」は違う



「うまいね」と言われたいとき、私たちは
「もっと成果を見せよう」
「もっと説明しよう」と、
外に働きかけを増やしがちです。
でも、保護者が感じているのは、多くの場合「うまさ」そのものよりも、子どもがどう育っているかです。
うまく見せようとすればするほど、演出感が出て、「本当にそうなの?」と距離を置かれることもある。
問いを「どう認めてもらうか」から「どう育ちが伝わるか」にずらすと、やることが変わってきます。




2. 承認をもらう方法ではなく、伝わる構造をつくる



承認は、こちらが「くれ」と言って得るものではありません。
育っていることが、自然に伝わる過程を整える。
たとえば、何を大切にしているレッスンなのかを、保護者と共有する。
目に見えにくい成長(集中した時間、自分で選んだ瞬間、あきらめずに取り組んだこと)を、どう言葉にして渡すか。
成果の羅列ではなく、「いま、この子のどこを育てているか」がわかる伝え方を設計する。
そうすると、保護者側から「やる気にされる」「うまくなった」という言葉が出てくることが増えます。


3. 整えると、自然に伝わる



「やる気にするの、うまいね」と言われる教室には、共通点があります。
先生が承認を求めにいっているのではなく、レッスンと関わりの設計が整っていること。
何を大切にしているかが一貫していて、その結果として子どもの変化が目に見える(あるいは言葉で伝わる)状態になっている。承認は、ねらって得るものではなく、整えた先に自然についてくるもの。
その視点があると、自分自身も楽になります。

まとめ



「うまいね」「やる気にされる」と言われたいなら、声かけや成果の見せ方を増やすより、育ちが伝わる設計を整えるほうが近道です。承認をもらう方法ではなく、伝わる構造をつくる。
その考え方を持つ先生が増えれば、先生も保護者も、もっと楽になると思います。

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三上緑
専門家

三上緑(音楽教育家)

一般社団法人カラフルエデュ協会

音楽教育家として「カラフルさん」を肯定。児童心理学と境界線リフレーミングを軸に母・指導者の判断力を整えます。二人の息子を私立小から大学へ導いた経験と音楽指導から子の才能を社会へ繋ぐ未来設計をサポート。

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