子どもに寄り添える指導者とは
教室で起きている出来事を書きたいと思います。
「できる・できない」よりも、“心が動く”経験を
ケイくん(仮名)がくれた気づき
「弾かない。答えない。しゃべらない。笑わない。」
体験レッスンに来てくれたケイくんは、そんな状態でした。
他のお教室ではうまくいかず、探しに探して、
なんと車で30分以上かかるうちの教室に来てくれたご家族。
お父さまお母さまも、とても熱心に見学されていました。
私が最初にしたのは、「弾かせる」ことではなく、
不安を取り除く関わりです。
「話しかけ方」「説明の順番」「表情」「沈黙の受けとめ方」
これらは、繊細な子どもにとってはすべて“環境刺激”になります。
たった2ヶ月後、ケイくんはこう変わりました。
・先生の声かけに「うん」とうなずく
・自分からピアノに向かう
・そして…笑って「またね」と言えるように
ご家族の表情も、どんどん変わっていきました。
送迎30分・赤ちゃん連れでも通いたい理由
“その子に合わせる”価値
ケイくんのお母さんは、まだ赤ちゃんを抱えながら、
毎週休まず通ってくださいます。
当教室の月謝は決して安くありませんし、空き枠も限られていて、
ご家庭の都合にすべて合わせることは難しいのが現状です。
それでも入会を決めてくださったのは、
「その子に合わせた関わりがある」と
感じてくださったからだと思います。
今、多くの保護者が直感的に気づいています。
「これからの社会で大事なのは、
点数や速さではなく、“自分で考え動ける心”だ」と。
だからこそ、ピアノという習い事に
「自己肯定感」や「安心して挑戦できる場」を
求める方が増えているのです。
ピアノレッスンは“人生支援”
これからの指導者が担う大切な役割
私は思います。
ピアノレッスンは、未来の生き方を支える“心の教室”でもあると。
その子の“今”に寄り添いながら、
小さな成功体験を積み重ねる。
誰かと比べず、「自分のペースでいいんだ」と
実感できる。
そして、「またね!」と笑って帰れる。
そんな経験を積んだ子どもは、きっと将来、
どんな場所でも自分を信じる力を持って進んでいけるでしょう。
私はこの仕事に、心からのやりがいと
社会的な意味を感じています。
もしこの記事を読んで「こんなレッスン、私もしたい」と
思ってくださったなら…
それは、あなたの中にも“これからの指導者”としての
種があるということかもしれません。



