「弾く手を止めて聞かない生徒」に伝える方法

三上緑

三上緑

テーマ:個性に合わせた指導で弾ける子に育てる

ピアノのレッスン中に、 先生のお話が始まると同時に、ピアノを自由気ままに弾き始めるお子さんがいます。
こちらは、わかりやすくその子に向けて一生懸命話しているのに‥

なんだか心が、ざわざわとしてしまう。



話し始めると、勝手に弾く。聞いているの?




ピアノのレッスンでは、まずはどのように練習をしてきたのか、弾いてもらうことから始まります。
それから、指導したい点を伝えます。 方法は先生によって様々かもしれませんが、こういったやりとりは、日頃よくあることですよね。


相手が自分に向かって話をしていたら、そちらに視線をむけ少なくても「聞いていますよ」という
態度をとります。特に先生と生徒という関係なら、そうあって欲しいです。

しかしこのような状況で、こちらが話しかけているにもかかわらず、勝手気ままにピアノを触るお子さんがいます。時には、先生が話し出すとまさにその時から弾き出すお子さんも‥
「猫ふんじゃった」の時もあればお気に入りの曲を弾いていることも。
その音にかき消されないように、こちらもより大きな声で話したりするのですが。
こんな事が何度も続く生徒さんには、


「手を止めてしっかりと聞いてください!」と


強い口調に なってしまうこともしばしばではないでしょうか?


すると、その時はピアノから手を離します。でもすぐに洋服の柄を触ってみたり、辺りをキョロキョロ見回してみたりと明らかに気が散っている様子が見受けられます。


挙句の果てに、また同じミスを繰り返したら、 笑顔でもう一度とは言えないかもしれません。(笑)




その時の生徒の状態は?



「人の話を聞く」というスタイルにするために、お口を閉じて、座っているのですが、実は生徒さんの頭の中は、全く別のことに注意が向いているという時があります。

・「あ!先生あれ何?」視線の先に興味が向いている。でも声を出さないでいよう。
・「あの絵面白いな」あっ、でも言っちゃだめ。


<じっとしていなければいけない>ということに、頑張っていたりします。


マナーとして、<人が話しているときに自分勝手に弾きません>という事を伝えることは、必要だと思います。
他で、失敗することもあるからです。
しかし、私のレッスンでは、このお子さんは、ガチャガチャ弾いているけれど、耳はこちらを向いていると受け止めています。


事実、大切なことだからと後に聞くと、覚えていたりします。
また面白いことに、ガチャガチャ弾いているときに、
「はい、じゃやってみよう」と促すと
指示したところから、弾き始めます。


ですから、「手が動いている」という事にだけ目をつむれば、レッスンに参加しているわけなのです。


興味があちこちに飛ぶ



一度に1つの事しかできない私には、到底真似できない事ですが
頭の中に、2、3個の思考が、同時に流れることで、全体のパフォーマンスが上がるタイプなのですね。
考え方を変えると、すごい!天才!だと思います。


この様なタイプの子は、1つに集中させたからといって、2倍理解が進むかというとそうでも無いのです。指摘されたから静かに聞いているスタイルをしているだけで、頭の中は1つに集中しているわけでは無いからです。


しかしながら、色々な所で一生懸命、真面目にやらない子どもと誤解されていると思います。せめて、ここでこの事実を知った先生からは認めてあげてくださいね。


このように、問題と思える事の見方を変えたらとてもトラブルが減ります。
教える側も快適。生徒さんも快適!

本当にそうかな?と今日から観察してみてくださいね。



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三上緑
専門家

三上緑(音楽教育家)

一般社団法人カラフルエデュ協会

繊細な子どもたちのやる気、才能を引き出す独自のコーチング「音いろはメソッド」「未来プランニング」を伝えている。勉強会や個別相談なども実施し、子どもの導き方支援・理想実現サポートを行う。

三上緑プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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