なぜ高学年の生徒が辞めていくのか
必ず、1番初めから終わりまで、通して弾きたい。
あとわずか、と言うところで間違えても必ず曲の初めから弾き直す。
レッスンの時間は限られていますから、頑なにその方法を貫き通されると困ってしまいますね。
どうしても途中から弾きたくない
ピアノのレッスンでは、部分練習が必要になります。失敗したと思ってもそこから弾き直すとか、止まってしまったら途中から弾いてくれても良いのです。
短い曲のうちは、いつもはじめにもどっても良いのですが、曲が長くなってくるとそうはいきません。
また、弾きにくい所を部分的に繰り返して、できるようする事も必要です。
言葉を尽くして、途中から弾いてほしいと説明しますが、「でもイヤ」と静かに始めから弾き直す子。また、聞き入れてくれても心がざわついていて、結局うまくできない子。
困ったなと思いますね、
ある時、眉間に皺を寄せながら繰り返してくれている様子を見て、「そこまで嫌なのね」と知りました。
完全な形にこだわる
こだわりを持つお子さんによく見られる事が、【完璧か、そうではないか】の2者の価値観で生きているということがあります。100点か0点なのです。95点だから100点に近いミス。3点だと0点に近いミス。このどちらも、【失敗】と一括りです。
・難しいことを頑張っているから、止まり止まりでも良い。
・練習の過程だからゆっくりでも良い。
・長くなってしまい、集中力が途切れるから繰り返しなしで弾こう。
・手の届かない和音の音をカットしよう。
これら状況の合わせた判断や、努力の過程に重きをおけず、楽譜通りに出来たか出来ないか。
そこだけで価値判断をしがちです。
こだわっている部分なので、考え方を変えよう!という言葉くらいで変えられないのです。
繰り返し練習の練習が必要な子
では、できないと諦めるのか。
いいえ、練習をしていくことが必要なのです。
2小節位の部分練習は、クーピーで四角く囲み、このカードを5回つなげる、と声かけをしてみます。
電車の好きな子は、1両目2両目などと伝えると聞き入れてくれます。繰り返す1部分のみに注意が向くように見せることがポイントです。
そしてたとえうまく出来なくても、5回繰り返せたならば
「すごーい!頑張ったねー」
と褒め称える。繰り返し練習をしたその事を褒めるのです。
この繰り返しで少しずつ違和感なく、弾けないからその部分の繰り返し練習をする、ということが出来るようになってきます。
こだわりに強かったA君も、これを繰り返していった結果、今では途中から弾き直して進めたり、難しい箇所の説明を聞いてくれて、そこだけを弾くという事ができるようになっています。
ある時、ふと、繰り返し練習をした経験と出来たという実感が繋がると、こうすると出来るようになるんだと納得します。練習はこの事を指すのかと知るのです。
繰り返し練習がなぜ有効なのか、練習すると良いですね。
完璧でないと、意味がないと考えがちな彼らですが、何度も言って聞かせるだけではなく、応援して体験してみて少しづつ出来るようになるのではないのでしょうか。諦めず続けていきましょう。
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