「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える42

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

 子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4歳以上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
 「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
 「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
 前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
 今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
 これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。

 「運動脳」の解説39

 脳のメッセンジャー役
 
 今回は、脳のメッセンジャー役の物質たちです。この物質たちも「楽しい、心地よい運動」が重要に関わってきます。
 脳は、さまざまなタイプの無数の細胞からできています。それらが数百種の化学物質を介して、互いにコミュニケーションを取りながら、私たちの思考や行動を一つひとつ決めています。一つのニューロンは、他の10万個ほどのニューロンから情報を受け取り、それを総合して自身の信号を送り出しています。
 ニューロンの枝と枝の結合部位はシナプスと呼ばれ、最も重要な場所です。結合部位といっても、シナプスは接触しているわけではありません。実際には、電気信号がニューロンの軸索を通って分岐した枝の先のシナプスまで行くと、神経伝達物質がそれを化学信号に変えて、次のニューロンに伝えます。
 信号を受け取る側のニューロンの枝は樹状突起と呼ばれ、そこで神経伝達物質は受容体に受けとめられ、それによって細胞膜のイオンチャンネルが開かれ、信号は電気信号の形に戻ります。受け取る側のニューロンで電荷が一定の閾値を超えると、そのニューロンは自らの軸索に沿って信号を送り、次のニューロンとの間でこのプロセスを繰り返します。
 脳内の信号送信の約80パーセントを担うのは、二種類の神経伝達物質のグルタミン酸とガンマアミノ酸(GABA)で、これらは互いにバランスをとりあっています。グルタミン酸はニューロンの活動を活発にして信号の連鎖的反応を始動させます。一方、GABAはその活動を抑える働きをします。グルタミン酸が、それまで結合したことがないニューロンの間に信号を送ると、結合が促されます。信号の往来が頻繁になればなるほど、ニューロン同士の連絡し合う力は強くなり、結合が増えます。共に発火するニューロンは、共につながります。グルタミン酸は、学習するうえで重要な要素です。
 一方、脳の信号操作とすべての活動を調整している一群の神経伝達物質があります。それが、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンです。これらを作り出すニューロンは、脳におよそ1000億個あるニューロンの1パーセントにすぎないが、影響は大きいのです。ニューロンに命じてもっとグルタミン酸を作らせたり、ニューロンがより効果的に情報伝達できるようにしたり、受容体の感度を変えたりします。また、余計な信号がシナプスに伝わらないようにして脳内の「雑音」を小さくしたり、逆に他の信号を増幅したりもします。グルタミン酸やGABAのように信号を送ることもできますが、その第一の役割は、情報の流れを調節して、神経化学物質全体のバランスを調整することにあります。
 この神経伝達物質の量を増やすためには、自発的な運動が効果的です。つまり、自分にとって「楽しい、心地よい運動」です。この運動の効果は、大抵運動を終えたときに感じられ、その状態は、1時間から数時間にわたり続くとみられています。定期的にこの運動をすれば、分泌される量も徐々に増えていきます。そして、効果も運動後の数時間にとどまらず、丸1日続くようになります。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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