「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加える24

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育てとは

 子育てとは、「その子の内側の体験の世界」に「楽しく心地よい刺激と運動」を加えることです。
 この子育て論を訪問の皆様方へ周知したく、コラムへ掲載しております。
 「その子の内側の体験の世界」の子どもさんには、いろいろな特性があります。
 発達障害であるかどうかということではなく、また、それが何だかんだではなく、その子を理解してあげることが重要なのです。
 そのかかわりは胎児から始まります。

 前回のコラムをもう一度掲載します。

 「その子の内側の体験の世界」のキーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」でした。
  その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 その子の特性つまり「その子の内側の体験の世界」を理解し、その子が社会に積極的にかかわることが子育てですと解説しました。
 では、それはどういうことなのかを皆様方が知りたがっていることなのでしょう。
 それは、その子に「楽しく心地よい刺激と運動」を与えることなのです。
 胎児や乳児、幼児(3歳児まで)は「心地よい刺激」です。幼児(4歳以上)以上は「楽しい運動」です。4最上の幼児には「心地良い刺激」は並行して内在します。 

 これが、私の研究における、育児方法であり、「子どもの心身の発達」及び「子どもの心身の伸びしろ値の向上」です。
 この取り組みは、すべて脳科学を基にするものです。
 また、テニス指導においても同様です。よって、テニス指導においては、他のスポーツ指導者とはすべて異なるものです。
 また、この画期的な指導法は「脳を育てること」につながるものです。

 「楽しく、心地よい」身体運動と刺激が、脳をつくるは、別にしてコラム掲載しています。
 また、脳をつくることが「子育て」ですと、別にしてコラム掲載しています。
 どれもこれも、子育てにつながり、またその子の特性を理解しながら、社会へとつなげていけるのです。
 
 「脳を育てること」が「子育て」ですので、皆様ももう一度、最新の脳科学における「運動と脳」の新常識をご理解ください。
 前に解説していることを再度述べるかもしれませんが、子育ての皆様が「子どもの脳のことを理解しながら、「子育て」をこれからもお願いいたします。

 ご注意申し上げますが、脳というと大人の皆様方は「知識脳」つまり「暗記脳」と早合点しますが、「知識脳」ではありません。
 お分かりにならないとは思うますが、子育てに積極的に使うのは「運動脳」です。
 もう一つ大事なのは、勝ち負けだけの「運動脳」を使うのではなく、「自分の伸びしろ値」を上げる「運動脳」を使うことです。

 子育てにとても重要なことを述べました。
 皆様方であれば、どのような「心地よい刺激」や「楽しい運動」を子どもへ提供していただけるのでしょうか?
 「心地よい刺激」は、養育者が積極的にかかわることが重要です。
 「楽しい運動」は、この子には何が「楽しい運動」なのか見つけてあげることが重要です。
 前回は「脳を育てる」を再掲し、皆様方へ「子育て」のご理解を促しました。
 今回のコラムは「楽しく、身体を動かす」です。
 これも、「子育て」にとてもたいせつなものです。


 「運動脳」の解説21

 培ってきた脳の発達Ⅱ

 子どもの心身の発達や神経発達症(発達障害)のケアには「活発に、身体を動かすこと」が必要であることを説明しました。
 「活発に」とは、自ら、自主的に、自分の意思で、自己決定でなど他の人が指示、命令、指導など関与しない、「心地よい身体の運動」が必要ですと解説しました。
 なぜ「楽しい、心地よい身体運動」が人間には必要なのでしょうか。「楽しい、心地よい身体運動」環境を違う視点から考察してみましょう。第二弾です。
 スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンは、その著書「運動脳」㈱サンマーク出版において、次のように述べています。
 <科学が示す「現時点で最新の結論」>
 脳は、身体を活発に動かすとドーパミンを放出して気分が爽快になるようにプログラミングされている。それは、狩りが生存の可能性を増やすからだ。そのほか危険な猛獣から逃げたり、住みやすそうな場所を探したりすることも、生存の可能性を増やす。
 脳は1万年前からほとんど進化していないため、現代の私たちにも、このメカニズムが残っている。そのため、祖先の生存の可能性を増やしたい行為と同じことをすれば、脳はそれを繰り返させようと快感を与えてくれる。
 私たちがランニングやウォーキングをして家に戻ると、脳は食べ物や新しい住み処を探しているのだと解釈し、報酬として多幸感を与えてくれる。運動が身体によいと書かれた雑誌やこの本を読んだからといって、ドーパミンやセロトニン、エンドルフィンは放出されない。幸せな気分になれるのは、生存の可能性を増やす行為をしたときだけだ。
 座りがちでいると調子が悪くなる「お仕置き」をされることも、それで納得がいく。一日中座ってばかりいれば獲物は捕まえられず、新しい住み処も見つからない。座ってばかりいると生き残れない。多くの現代人が心や身体を病んでしまう理由は「脳」と「私たちの環境」の矛盾、そこにある。
 こうして考えれば、運動によってほかの様々な機能を強化できることも理解できる。
 サバンナで祖先が狩りをするときには、集中力を保つことが必須だった。獲物を仕留めるには精神を集中して忍び寄り、わずかな動きも見逃さず、すばやく行動する必要があった。あなたや私が運動をすると集中力が高まるのは、そのためである。
 運動は記憶力も高める。それはなぜか。祖先にとって、動きまわることは新しい住み処や環境を探すことでもあった。座ってばかりいて動かないと、脳は新しい体験をしていないと解釈して、記憶力を高める必要はないと考える。それに、スマホやパソコンを通して新しい経験をするために、脳は進化していない。座って画面を眺めていても、脳はそれを新しい経験だと考えない(覚える必要なしとみなす)ので、記憶力は高まらないのだ。

 前述のとおり、また前回のとおり「楽しい、心地よい身体運動」が脳を発達させることがお分かりになったと思います。
 また、スマホやパソコンなどといったスクリーン漬けが、現代の子どもの心や身体を病ませているのです。
 わが子の神経発達症(発達障害)のケアに限らず、“からだのおかしさ”にお気づきの保護者の皆さまがお多数訪問していただいていることと存じます。
 「身体を活発に動かすほどに脳を変えられる」つまり、神経回路に変化を与えられるのです。神経回路に変化を与えるとは、新しい脳のネットワークが形成されるということです。これをシナプスの可塑性といいます。新しい脳のネットワークとは、保護者の皆さまがお考えになる「定型発達」にということです。神経細胞の刈り込み前、つまり子ども期に早期にケアすることが重要になります。

 次回に続きます。
 

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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