その子の内側の体験の世界21
その子の内側の体験の世界」第70回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子を見守る」2
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
「発達障害」になるかならないかという「診断」の結果だけではないのです。2
疑似的発達障害とは、発達障害の診断とはいいがたい、発達障害と見分けがつかない症状をしている状態を示します。
言動に発達障害と同様の兆候があるようにみえ、周りから発達障害を疑われていますが、実際は発達障害ではない子どもがいるのではないかということです。
つまり、発達障害という言葉が独り歩きしているようにみえることと、その言葉に振り回されている父母や福祉及び教育関係者がたくさんいらっしゃるのです。
誤解されては困りますが、子どものことを案ずる父母や先生方の気持ちを否定するものではありません。
言動が気になる子に対して「発達障害」ではないかと早期に考え、子どもの将来を思って何らかの手立てを考えることは、とても重要なことです。
が、しかし「発達障害」を疑う前に、「発達障害」と決めつける前に、やるべきことをやらなかったり、その術を知らなかったりしてはいないでしょうか。
2022年に、発達障害児に関する調査結果が報告されました。全国の公立小中高等学校の児童生徒、約8万8千人を対象に行われ、結果、発達障害を疑われる小・中学校において、8.8パーセントもいることがわかりました。
この調査は、文科省の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国調査で、教育現場に大きな影響を与えました。この数字はあくまでも学校現場にいる教師が児童生徒の言動を評価したものであり、医師による診断基準に照らし合わせて行われたものではありませんが、40人学級で、4人弱が発達障害を疑われるという極めて異常な数値なのです。
なぜこれほどまでに増えたのでしょうか?実は、2016年8月に発達障害者支援法が成立し、児童生徒を含む発達障害のある人に対し、適切な支援をすることが推進され、発達障害の早期発見も促されるようになったことによるのです。
これを機会に、発達障害者の方と家族を支援するために全国に「発達障害者支援センター」をつくりました。
これを機会に、発達障害という言葉が教育現場に浸透し、教師が「この子も発達障害かも」と安易に思うようになりました。つまり、少し手がかかるだけと思われていた子どもたちまで、発達障害という枠にはめられるケースが現実に増えたのです。
程度の差はありますが、保育園・幼稚園や学校などの現場で、気になる行動をとる子どもたちを「この子も、あの子も発達障害かも」と考えるようになったと思われるのです。
次回に続きます。