その子の内側の体験の世界51
「その子の内側の体験の世界」第57回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子にはたらきかける」14
「知恵づき」の時期
模倣ができるようになると精神発達はステップアップします。独力の手探りだった探索が効率化するのです。例えば、スプーンの「意味」はひとりでいじりまわすだけでなく、大人がどう扱うかを観察して真似てみれば容易にわかります。これが「認識の発達」を加速することになります。
これに加え、相手の行為をなぞって追体験できるようになれば、自分の視点からではなく相手(つまり第三者)の視点からものごとをとらえるピアジェの「脱中心化」も促進されます。
まだ、かたちから入っている段階ですが、「バイバイ」など社会的なマナーも示せるようになります。どんなときにどうふるまうかという大人の社会行動を理屈抜きの見よう見まねながら、模倣を通して身につけていけるようになります。こうして「関係(社会性)の発達」も加速されます。
こうした認識と関係の両者共々の発達の加速が「知恵づき」といわれるものです。
やがて、模倣によって大人の行動を子どもがなぞれるようになると、それを社会的・文化的な約束やルールに則した行動の習得へと導く大人からの働きかけがはじまります。これが「しつけ」というもので、1歳過ぎ幼児期に入ると行われるものです。
次回に続きます。